第1回:シニアビジネスのプラットフォームをめざす
人生100年時代と言われるようになりました。寿命が伸びた現在、健康寿命と本当の寿命の乖離が生じていることをご存じでしょうか?
医療が発達する以前は、その2つは乖離しておらず、健康を害したら亡くなる。それが当たり前でした。しかし、今では、一般的に75歳を過ぎたあたりから体のどこかに不具合が出てきますが、そのあと、10年近く生きることができます。私はこの10年間に問題意識を持っています。現在、この期間の生き方が提案されていないからです。
もちろん、医療や介護の提供はあります。食事に困ることはありません、必要な医療は受けれます。けれども楽しく生きられず、「長く生きてしまっている」状態の方が少なからずいらっしゃいます
我々は、この現状に対して、人生の最後まで自分らしく楽しく生きることができるように、新しい生き方を提案しています。いまや世界中で、この健康寿命と本当の寿命とのギャップがどんどん生まれています。日本に限らず、持続可能な高齢社会のsolutionを世界にも提案していくのが、今、めざしているゴールです。
◆訪問美容からシニアビジネスのプラットフォームへ
弊社の事業は、訪問美容と訪問販売と訪問歯科支援事業の3つになります。これらの事業は、持続可能な高齢社会のsolutionを世界に提案していくというゴールに向けた、第一歩です。
ゴールに向けて大事なことは、まずは「シニアを知る」ことだと考えています。弊社の主力である美容サービスは、一度顧客になった方には継続していただけるものです。2か月に1度30分間、必ず、弊社のパートナーである美容師さん達が、良い意味で利用者であるシニアと“雑談”をしています。この雑談が重要です。何気ない会話かもしれませんが、そこから、シニアのニーズを探っています。
もちろん美容の基本である美しさの提供をしながら、その軸をぶらさないまま、どういったニーズがシニアにあるのか、情報を貯めてきました。これが我々の宝だと思っています。
この宝を知った上で、どういうことにお困りで、どうしたら、シニアがもっと楽しくなるのかを、いろいろな企業と組んでサービスを提供していく。我々は、ある種プラットホームとなり、 シニアが喜び、本当の寿命まで健康的に過ごせるためのサービスを、いろいろな会社と組み、供給したいと考えています。そのための、非常に重要な鍵となるのがやはり、ITです。
次回はITについてお話ししたいと思います。
前回のコラムでは、健康寿命と本当の寿命の乖離が生じていることと、持続可能な高齢社会のsolutionを世界に提示するために、ディチャームがシニアビジネスのプラットフォームになる構想についてお話ししました。今回は、その鍵となるITについて説明します。
◆シニアはITによる恩恵を受けられていない
シニアは、過去20年ほどのITによる恩恵をほとんど受けていません。ITで生活がどのように変化したか、知らない方がほとんどです。
20年経って、ようやく、一部のシニアがスマホを持つようになってきました。80代のおばあちゃんでも持っている方はいらっしゃいます。これから持つ人数は増えていくでしょう。ただ一方で、スマホから提供されるコンテンツは、おそらくいつまでたっても、基本的には若い人向けが大半でしょう。スマホ市場においてシニア層はマイナーだということです。
新しいテクノロジーは、シニアにとって本来は便利なものです。しかし、開発している会社から見れば、基本的に1番厄介な客なので、常に後回しになってしまう。だから、我々の課題は、いかにその溝をつなぐかです。高齢者がITの恩恵を受けられて、より良いサービスをより安く、選択肢が多い状況を実現する。
シニアは市場経済から抜け落ちた方々ですが、新しい技術を用いることによって、もう一度市場経済に戻してあげられる。もしかしたら、さらにITを使うことで、今までやったことのない体験も提供できると考えています。
◆シニアが存在する市場経済を確立する
シニアが市場経済から抜け落ちている状況を解決していくための方策として、ディチャームでは、2つの打ち手を考えています。
1つは、シニア向けのサロンの運営です。我々の顧客の中には、寝たきりに近い生活を送っている方や、認知度の高い方、体が重たい方など色々なタイプのシニアがおります。その中には、元気な方も当然いらっしゃいます。その方々と、オンラインサロンという形で、もっと会社として繋がって、いろんな創発を仕掛けていきます。例えば、我々だったら、5000人のおばあちゃんとLINEで繋がることもできます。LINEでもなんでもいいので、シニアの皆さんと直接的なやりとりをしたいと考えています。
2つ目は家族向けサービスの拡充です。シニア向けサービスでは、受益者がシニアで、負担者が家族である場合がほとんどです。しかし、負担者である家族に情報が行かず、単純にお金の請求だけが行ってしまう点を変えたい。家族にも、色々な困りごとであったりとか、シニアの喜んでいることであったりとか、そういった情報をITを使って配信していきたい。そして、家族がシニア向けサービスに何を望んでいるのかを、もっともっと知っていきたいですね。
次回は、シニアのQOLを豊かにするための取り組みとして、介護保険を用いないサービスへのこだわりについて、お話ししたいと思います。
◆介護事業者との関係性を強化し、シニアのQOLを豊かにする
シニアと繋がるには時間がかかります。これは弊社でも苦労しているところです。シニアと直接繋がっても、家族が許可しない場合もありますし、さらに家族に請求すること自体も難しいこともあります。そこで、家族とつながっている我々のネットワークを、企業に提供することで、シニア市場を提供し、市場の拡大を図りたいと思っています。また、シニア市場に参入したい企業に対して、マーケットデータを提供して、商品開発を支援する事業にも力を入れていきます。
一方で、すでに弊社と繋がりのある介護事業者は、シニアやその家族と繋がった弊社が得た情報を提供する先のステークホルダーです。介護事業者と我々との立場は、ホテルと、ホテルに入っているコンテンツの関係です。介護事業者は場所を持ち、そこに入居者がいます。介護や医療面のプロなので、そのコンテンツはよくご存知です。しかし、シニアがいったいどんなことをして欲しいのか、どんなことをしたら楽しめるのかといったコンテンツは、彼らにとって専門外になるため持っていません。そこで、高齢者のことをもっと知って、弊社に限らず、他社のコンテンツも含めて彼らにコンテンツを充実する方策を提案し、シニアのQOLを豊かにしてまいります。
◆奪い合いではなくて、消費を通じて社会を循環させていく未来をつくりたい
弊社は現在、約2000の高齢者施設と繋がっています。約12万人のシニアと繋がれる状態です。そこには、人がいて、家族がいて、市場としての可能性があり、年々規模が拡大し続けるという特徴があります。
ただし、お困りのシニアが高齢者施設にいる方々だけとは限りません。市場で言いますと、介護施設に入居されている方は2割程度で大半はご自宅で過ごされています。現在、介護保険を使っている方々は800万人ほどいらっしゃいます。
その中で、我々は、介護保険を用いないサービスの提供にこだわっています。それは企業理念である「持続可能な社会の実現」に大きく関係します。結局、保険というものは、富の分配です。シニアに分配すると若者の負担が多くなるし、若者の負担を減らせば、シニアに対する分配が減る構造になっています。ですから、分配の問題で世代間抗争を生む。なおかつ、国の制度として、国のお金を使うので、国がいい意味できちんと管理してくれているので自由度が低いのです。
我々がやりたいのは持続可能なサービスです。そもそも、多くのシニアはお金を持っていますから、彼らがきちんと自分のお金を使って生活の質を上げて、その結果、介護や医療にかからないようにするのが、望ましい姿です。お金をどんどん使っていただければ、経済が回る。それにより若者にお金が回ってきます。奪い合いではなくて、いわゆる消費を通じて社会を循環させていく未来をつくりたい。そのためのディチャームです。
今回はシニア・高齢者向けのアクティビティとして、美術館・博物館での特別見学会、シニア向けのフィットネス、チェスについてお伝えしたいと思います。
認知症を防いだり、進行を遅らせるためには社会的な活動に積極的に参加することが良いと一般的に言われています。スウェーデンでは全国88の美術館・博物館が、認知症の人および付き添いの人が来館しやすいように、特別な見学会をアレンジしています。先月(2015.04)は37の美術館・博物館が認知症の人のための特別な見学会をアレンジするための補助金をスウェーデンアルツハイマー基金から得ました。これまでの2年間で計約700の特別見学会が5000人近くの認知症の人のために開催されました。 アルツハイマー基金の事務総長のヤンソン氏は「補助金を交付することにより、美術館・博物館が認知症の人向けの見学会を引き続き開催することを期待しています。将来は、美術館・博物館に恒久的に取り組んでいただきたいと思っております。芸術や文化が感覚を刺激し、脳を活性化することが知られています。絵画やオブジェを鑑賞することで失った記憶がよみがえるかもしれません」と言っています。
美術館での特別見学会の様子 写真: リュングベリィ美術館
最近、シニア向けフィットネスがブームになる兆しがあります。シニア向けのフィットネスは需要が増え続けており、クオリティーの高いフィットネスが求められています。アクティブエイジというジムではシニア向けフィットネスを促進しており、トレーナーの育成にも力を入れています。シニア向けフィットネスのトレーナーを育成することで、個別のニーズにこたえ、それぞれの顧客にあったプログラムで質の高いトレーニングを提供することを考えているようです。このジムではフィットネスの経験者・未経験者を問わず、多くの人にフィットネスをしてもらうことを目指しています。また、ジムだけではなく、家や野外でもトレーニングができるようになることを考えているようです。また、ただ単に体を動かすだけではなく、シニアの生活がより豊かなものになるように、グループで楽しく運動をして、ソーシャルアクティビティの要素も取り入れることを重視しています。 「高齢者が運動・フィットネスをすることはリスクが伴うのでは?という質問を良く受けますが、その心配はありません。最近の研究で、高齢者のトレーニングは危険ではないということがわかってきています。運動をしない場合のリスクの方がよほど高いと言えます」と同ジムの最高執行責任者(COO)のヴァリン氏は言っています。また、最高経営責任者(CEO)のエクヴァル氏は「シニア向けフィットネスでは転倒などを防ぐために、筋肉を鍛えるのが一番良いと思います。高齢になっても安全で楽しい暮らしができることを目指しています」と言っています。実際、スウェーデンでは毎年約17000人の高齢者が転倒によって、大腿骨骨折などの重度のケガをおっており、約1500人の高齢者が転倒が原因で亡くなっており、高齢者にとっては最も不安な要素になっています。 このほかにも様々なジムがシニア・高齢者向けのプログラムを用意しています。イトリムというジムはスウェーデンのほかにアメリカ、ドイツなどにジムを展開しています。このジムは、エキササイズに加えて食事などのアドバイスも行っており、シニアに人気があります。
シニア向けグループトレーニングでの一こま 写真: SATS
将棋、囲碁といったボードゲームは多様な思考法、戦略的思考などが養うことができるため、脳に良いといわれています。日本では将棋、囲碁が盛んだと思いますが、スウェーデンではチェスが盛んに行われています。今月(2015.05)ギリシャで行われたヨーロッパシニアチェス選手権には3人のスウェーデン人が参加しました。ストックホルム市内の文化センターには常設のチェスコーナーがあります。また、ストックホルムにあるシニアのチェスクラブは毎週3回活動を行っています。
チェスクラブの様子 写真:シニア・チェス・ストックホルムHPより
チェスクラブでのグループ活動に参加することで、交流を深め、ソーシャルアクティビティを高めることができる上、チェスをすることで脳のトレーニングにもなるので、一石二鳥といえると思います。チェスをするときは皆さん真剣にされていますが、チェスクラブに参加しているグンダーセンさんは「何よりも楽しむことが一番大事だ」と言っています。
今回は、最近目に付いたシニアの活動をご紹介いたしました。心身ともに健康で充実したシニアライフを送るために皆さん、さまざまな活動をされています。美術館で絵画を鑑賞し、ジムで体を鍛えて、チェスで脳を鍛えれば完璧といったところでしょうか?
今回は高齢者への投薬に関するスウェーデン国内の状況についてレポートしたいと思います。スウェーデンでは不適切な投薬を防ぐための運動が行われています。高齢者に薬に関する知識を深めてもらい、不必要な投薬をやめるように促す運動などが行われています。
スウェーデンの健康保険委員会によると2005年からの10年間で75歳以上の高齢者への不適切な投薬の割合が41%減少したそうです。向精神薬を過剰に使用するケースが少なくなったそうです。また、抗精神病薬の使用量も減少傾向にあるそうです。しかし、抗精神病薬は確かな効果が確認できておらず、また副作用も考えられるにも関わらず、不安を取り除くためや徘徊などをする高齢者へまだ使用されているそうです。そこで、健康保険委員会は5種類以上の薬を服用している、75歳以上の高齢者に対しての投薬のルール作り、不適切な薬のリスト作りを行いました。ルール作成後も75歳以上の10人に1人は10種類以上の薬を服用していることがわかりました。

写真: ウィキメディア・コモンズ
「薬について考えよう」という運動で行った調査によると患者が薬のことについて理解しているほど、投薬に関する満足度が高くなる傾向にあるということがわかりました。「薬について考えよう」は現在高齢者向けに、オンラインで薬についての知識を深めるためのトレーニングを行っています。スウェーデン退職者機構、退職者協会および元国営の薬局が共同で行っているもので、現在高齢者への不必要な投薬を減らすために活動しています。高齢者が薬に関する知識を身につけることで、自分で薬に関することをある程度コントロール(たとえば不必要な薬を拒否する)できるようになることを目標にしています。
「今日の患者は薬の情報に加えて、医学的に正しい投薬がなされることを望んでいます。そういう意味ではこの取り組みは的を射たものといえるでしょう。」
と、同運動のトップを務めるラーシュ‐オッケ・セーデルルンド氏は言っています。
高齢の患者は医者の言うことに逆らえず、質問することにも抵抗があるのでオンラインでのトレーニングが役に立つと氏は考えています。このような取り組みを6年近く続けた結果、不必要な投薬が減ってきたようです。

ラーシュ‐オッケ・セーデルルンド氏
写真:ホームページより
スウェーデン南部の都市、オスビーにある高齢者施設では入居者へ適切な投薬をするためのプロジェクトを立ち上げました。投薬をシンプルかつ確実に行うことを目標にしています。この施設ではスウェーデンのアルファ社が開発したe-レーケメーデル(e-薬)というシステムを利用して高齢者へ投薬を行っています。このシステムを利用すれば、たとえばインスリンの注入量が足りない場合は、アラームが担当の看護師、スタッフの携帯電話に届きます。
また、薬を渡した後はそのことが自動的に記録されます。以前は紙のリストを使っており、薬を渡したときに入居者にサインをしてもらうというシステムをとっていたそうですが、サインをし忘れてしまい、2度同じ薬を受け取るというようなミスもあったそうです。決められた時間に薬を飲まなければならない場合はアラームをセットしておくこともできます。時間が過ぎそうになった場合、過ぎた場合には通知が届きます。このシステムのおかげで、看護師たちは誰に、いつ、どれぐらい、何の薬をあげたかを把握しやすくなり、仕事の負担やミスが減ったようです。投薬の情報のほかにも入居者の情報にもアクセスでき、さまざまな情報をグラフで表せるようになっています。

e-薬システムを利用する高齢者
写真:アルファ社ホームページより
スウェーデンでは高齢者施設の看護師が医者のアドバイスに基づいて入居者に渡す薬を管理しているケースが多くありますが、これまで入居者に過剰に薬を渡す傾向にありました。不必要な投薬を行わない方が良いとわかっていても、どの薬が必要ないのかは個人によるのでケースバイケースで判断することが難しく、そのまますべて渡してしまうケースが多かったようです。最近ではさまざまな市町村の高齢者施設の看護師が合同で勉強会を開いて、薬に関する知識を増やすための活動も行っています。

勉強会の様子
写真:Nestorホームページより
今回はスウェーデン、投薬の事情、不必要な投薬を防ぐための取り組みを紹介いたしました。薬をとりすぎたために逆に不健康になってしまっては本末転倒ですので、薬を上手に利用し、過剰に飲むことを避ける方向へと進んでいるように思います。
これまでにも高齢者向けの食事、宅配食などについてレポートいたしましたが、今回は病院で提供される食事についてお伝えしようと思います。
病院での食事はお世辞にも良いとは言えない場合が多いと思います。普段非常にアクティブに動いているダイシーさん(85歳、ヨーテボリ市在住)ですが、海外旅行から帰ってきた直後、病気になってしまいました。その際、一週間ほど入院したのですが、そのときの病院食に対して非常に不満を覚えたそうです。一週間の献立を見る限り、特に不満はなかったそうです。ある程度自分で選択することもでき、おいしそうなメニューが並んでいたそうです。しかし、いざ配膳されたものを見ると、見るに耐えないものだったそうです。見た目も良くなく、冷たくて、おいしくなくて・・・とダイシーさんはその感想を言っています。好き嫌いがなく、大体のものなら食べるダイシーさんでさえそう思ったそうです。あまりにもひどいので、食事の度に携帯電話で「証拠写真」を撮ることにしたそうです。

携帯電話で撮影した病院食を見せるダイシーさん写真:アフトンブラーデット 退院後ダイシーさんはスウェーデン国内第二の発行部数を誇る大手新聞社に連絡をとり、このことを記事にしてもらいました。記事が掲載されてから一ヶ月ほどたって、ダイシーさんと新聞社は病院から招待を受けました。どのように調理、配膳されているかを見てもらい、ダイシーさんから指摘を受けて改良した点を見てもらうためです。ダイシーさんらは厨房を見学した後、試食を行いました。厨房の設備や味に合格点を出し、「患者さんにも同じような状態で提供されることを望んでます」とコメントしています。

病院の厨房をチェックするダイシーさん写真:エリザベス・アルフェンビー
スウェーデンで有名なレイフ・マンネルストレーム氏も前述のダイシーさんの指摘は最もだと言っています。マンネルストレーム氏はテレビの料理コンテスト番組の審査員をしたり、料理に関する本を出版したり、料理をプロデュースしたりと大活躍で、スウェーデンの料理界では非常に有名な人物です。もちろん自分でもレストランを運営しています。これまでにも何度かシニアレポートの中に名前が出てきたと思います。そんなマンネルストレーム氏ですが、最近は病院食に注目しています。自身が10年ほど前に入院したときの経験に基づいて、病院食の改善をしたいと考えています。現在、病院食をテーマにしたようなテレビ番組を制作できないか、テレビ局と交渉中だそうです。マンネルストレーム氏自身75歳で「高齢者」ですが、そのバイタリティーはとどまるところを知りません。氏は「できるだけ働きたくないんだけど、楽しいからやってるんだよね」と言っています。

レイフ・マンネルストレーム氏写真:ウィキメディア・コモンズ 病院としても病院食を改善したいという思いはあります。スウェーデン南部の県、カルマル県では2013-2015年を病院食改善期間と定め、病院食の改善に努めています。県立病院では前述の有名シェフ、マンネルストレーム氏にプロデュースしてもらい、病院のレストランにバイキング料理を導入しました。患者の評判はよく、自分で食べる量を調節できるため、食べ残しが減るという副次効果もあったようです。このような努力の甲斐があり、2014年末に県立病院の病院食がスウェーデンで一番であると認定されました。

カルマル県立病院のレストラン写真:マッツ・ホルマーツ
今回はスウェーデンの病院で提供される食事についてお伝えしました。マンネルストレーム氏やダイシーさんなど、バイタリティがある人の活躍によって病院食が改善されつつあるといえると思います。病院で提供される食事が良いか悪いかは入院している患者さんの活力や回復にもかかわってくると思うので、是非多くの病院で質の高い食事を提供してほしいと思います。
北欧では一年間でもっとも重要な日といってもよい夏至祭を迎えました。夏至祭などの日は皆さんたくさんお酒を飲まれます。高齢者の方といえども例外ではありません。今回は高齢者の飲酒についてレポートしたいと思います。
スウェーデンのヨーテボリ大学の研究者グループが長期間にわたって生活スタイルの調査を行い、アルコールの消費の傾向が変化してきていることに注目しました。この調査で生活スタイルの変化に伴い、40年前と比較して女性高齢者のアルコール消費量が劇的に増加していることが分かりました。健康に影響を及ぼす量の飲酒をしている女性高齢者は、1970年代では0,5%でしたが、今日ではその数字は10%にものぼるそうです。研究グループは、昔は女性高齢者の飲酒は憚られる傾向にあったものが今日では寛容になっていることが原因ではないかと分析しています。 1970年代当時、研究者グループは1901年生まれの人を対象に調査を行いました。その後、20年代、30年代生まれの人々が対象となり、1944年生まれのまでの調査が始まっています。ヨーテボリ大学のスコーグ教授によると、女性高齢者のアルコール消費量は今後も増えていると予測されています。 研究対象になったグループの飲酒の習慣は色々な条件に影響されていると言えます。70年代に高齢であった女性たちは人生の大部分を配給に頼って生きており、その当時の女性高齢者のアルコール消費量は男性高齢者よりかなり少ないものでした。その後の世代は蒸留酒よりもワインの飲酒が推奨されつづけました。
配給によってお酒などを受け取る人々
今日の70歳代以上の層のアルコール消費量の増加の原因は、人々がより一層継続的に飲酒をしはじめたこと、おそらく1週間に複数回の飲酒、ワインを楽しむようになったことだろうと前述のスコーグ教授は言っています。
このアルコール消費量の増加がどのような結果になるのか研究者グループは分かっていません。しかし女性が男性よりアルコール感受性が高いこと、高齢になるほどアルコールを分解するのが難しいことは分かっています。これは、一般的には、高齢者の筋肉量が少ないため、全身にアルコールがまわりにくく、脳もアルコールに弱いからだといわれています。 スコーグ教授は、「高齢者が酔っぱらうことによって転倒し、骨折することも考えられます。肝臓も飲酒習慣に影響を受けると考えられますが、はっきりしたことは分かっていません。何はともあれ、高齢者のアルコール消費量が増えている事実がどのくらい危険なことなのか、研究を続けて行くことが大切だ」、と言っています。また、「70歳は2度目の20歳だと私たちは冗談半分に言ってます。つまり、これまで出来なかったことを重い病気になったり、歳をとりすぎてしまう前にやりたいと思うのです。外に出たり、旅行したり。」とも言っています。 今日の高齢者はとても生き生きしています。以前に比べ20年は若いといわれています。70歳の人は以前の50歳の人のようです。知的能力、身体能力があり、少ない手助けで済むというということが、より多くのアルコール消費に繋がっているという部分もあるようです。
スコーグ教授 撮影:ヨハン・ヴィングベリィ(ヨーテボリ大学ホームページより)
スウェーデンの国民健康保険庁が取りまとめた資料によると、スウェーデンのアルコールに関連した高齢者(65-84歳)の疾病や死亡はここ15年の間増加傾向にあります。高齢者はアルコールを”薬”として、飲酒する傾向にありますが、それは推奨されるものではありません。国民健康保険庁によると、アルコールの知識をもったかかりつけの医療従事者が高齢者の飲酒習慣に注目し、問診などをする際に必ず飲酒について聞くことが重要だといっています。また、高齢者の飲酒による疾患を予防するためには、現在の中年世代を対象にした予防政策を行うべきだと提唱しています。

今回のレポートでは、スウェーデンの高齢者の飲酒習慣の問題を取り上げてみました。これまでに、高齢者の飲酒が生活の質の向上させる一つの習慣になりうるということが報告されたこともありましたが、行き過ぎた飲酒が健康を害し、アルコールによる死亡数を増加させることにもなります。今後、自治体、医療機関、老人介護施設などにおいて、どのような取り組みがなされていくのか注目されます。
今月のレポートでは街や住宅街で見かけることが多い、電動車椅子、高齢者向けスクーターに関する最近の調査結果についてお伝えしたいと思います。
スウェーデン・ルンド大学の研究者のスンド氏の調査で、男性高齢者の屋外活動(買い物、公園への散歩など)が電動車椅子、高齢者向け電動スクーター(以下、電動スクーターと略)を使うことによって劇的に増えるという結果が得られたそうです。特に、体調のすぐれない高齢者の場合、電動車椅子、スクーターの導入が屋外活動の促進に与える影響が大きかったそうです。
高齢者向け電動スクーター 写真出典:スウェーデン
ラジオ スンド氏は180人の高齢者を調査対象とし、電動車椅子か電動スクーターを高齢者に支給したのち1年間調査を行いました。調査対象者はデンマーク、フィンランド、ノルウェーの出身者で、平均年齢は69歳でした。電動車椅子・電動スクーターの導入によって男性高齢者の場合屋外での活動量が増えたのに対して、女性高齢者の活動量の増加はわずかでした。スンド氏によると、女性は調査のスタート段階で、すでに活動量が男性よりも多かったことが考えられるということです。女性高齢者は体の様々な不調にも関わらず、掃除、洗濯、買い物といった家事を男性よりもしていることもわかりました。 また、もともと自分を健康ではないと思っていた高齢者がこれらのヘルプツールを支給された後、様々な活動をおこなうようになったということです。スンド氏によると、体調が優れないと思っている高齢者にこれらのヘルプツールが非常に役立つということを意味しているということで、これは男女ともに言えるということです。
テリエ・スンド氏 写真出典:大学HPより
同じルンド大学の作業療法士ペッターション氏はまだ住居や社会の環境が、電動車椅子や電動スクーターに対応していないと言っています。ペッターション氏によると、差別禁止(体が不自由な人が不利になることによる差別などを含む)に関する新しい法律ができたことにより、体が不自由な人のための新しい建築基準をどのようにクリアするか、地方自治体や建築業界は厳しい課題に直面しているということです。
セシリア・ペッターション氏 写真出典:大学HPより
高齢者の増加とともに、電動車椅子や電動スクーターのような移動のためのヘルプツールが増えています。しかしすべての建物がこれらのヘルプツールの利用に適した構造であるとはいえません。ペッターション氏によると、これまで電動車椅子と電動スクーターはこれまで一つの同じヘルプツールとして研究されてきましたが、利用方法を考えれば、両ヘルプツールは異なった条件が必要になると言っています。
電動車椅子の一例 写真出典:1177ボードガイデンHP
ヘルプツールに関する専門知識を持つ作業療法士と住居の設計にかかわる人のコラボレーションが大事で、公共の場所やバス、電車の構造においてもこれらのヘルプツールにあった基準が必要だとペッターション氏は言っています。移動式の床部分は、電動車椅子の重量に耐えられなければならないこと、トイレは、電動車椅子が回転できるような十分なスペースをそなえていること、商業施設では電動スクーターでも移動できるような構造(ものの配置など)にすることなどが例として挙げられます。 ペッターション氏によると、建築物をこれらのヘルプツールにあうように改築する際よく行われるのは、普通の車椅子の利用に適した最低レベルの建築条件に合わせるということです。電動車椅子や電動スクーターの利用者から希望が出ているにも関わらず、政治家や建築家が利用者の要求に応じた改築をすることは難しいといいます。ペッターション氏は、これは電動車椅子のような、より重く、大きな移動ツールに適した住居の改造をしようとすると経費がかかるからだろうと推測しています。 ペッターション氏は、もし2台の電動車椅子があり、一台は屋内用、一台は屋外用とすることが出来れば個人の利便にかなうかもしれないということです。そうすることによって 、住居の改造をあまり必要とせずに、屋内でのヘルプツールの利用性が高まるのではないかと言っています。 しかし、2台所有することはまだ今の段階では難しいかもしれません。スウェーデンでは作業療法士がヘルプツールの「処方箋」を出します。電動車椅子、電動スクーターの場合、作業療法士によって個別に審査が行われます。認められれば無料、あるいは非常に安価な値段でヘルプツールを手に入れることができます。これはヘルスケアに関する法によって規定されています。しかし、規則は利用者の居住する自治体によってことなり、この統一性のないシステムのために、多くの利用者が全額個人負担で(作業療法士の処方箋なしで)車椅子を購入しているのが現状です。
スンド氏の調査から結果が示すように電動車椅子やスクーターを有効活用することが大事ですが、ペッターション氏が指摘しているように、住居の改築が往々にして不十分であることが多いようです。これらの研究が示すように、ヘルプツールの導入に加えて、住居や屋外の環境を整えることが、高齢者のよりアクティブで安全な活動を促すと言えるでしょう。
今月のレポートではスウェーデン高齢者の医療・介護の分野で重要な役割を果たしているデータベースシステム、シニアアラート(Senior Alert)についてレポートしたいと思います。
「シニアアラート」システムでは、65歳以上の高齢者が医療・介護を受ける際にインターネットを通じて、医療関係者が関連情報の登録を行います。転倒、栄養失調、褥瘡(床ずれ)、口腔の分野でリスク評価を行い、行った対策・結果を系統的に登録するものです。このシステムを使うことによって、スウェーデン国内で共通したデータベースができ、それが医療介護を評価し、各組織の怪我の予防策や処置を比較するものとして利用されます。また、各自治体が、最善の医療介護を提供するために利用されます。 シニアアラートは2000年の始め、スウェーデンの南部のヨンショーピング県の医療チームが先に挙げた転倒、褥瘡(床ずれ)、栄養失調の数を減らす目的で改善策をとり始めたのが始まりです。その後、2005年にはヨンショーピング県全体の医療施設でシステムが導入され、2008年には全国的なシステムとしてスタートしました。 医療・介護の従事者はシニアアラートのシステムを使うことによって、上に挙げた分野で予防的な医療介護を提供するようにしています。これらの領域は日々の業務に大きく関わる領域であり、それぞれの領域は密接な関わりがあります。例えば、栄養失調のお年寄りが、よく転倒するようになり、大腿骨骨折、それに伴って、寝たきり褥瘡が引き起こされるということがよくあります。医療・介護の従事者にとって、このシステムを使う利点は、システムが系統的で結果が可視化されているということです。医療・介護の従事者は信頼できる根拠に基づいた各領域の計測や評価ツールを使います。例えば、褥瘡のリスク評価のためには、修正ノートンスケールが使われます。これは1960年代から使われている褥瘡のリスクを評価するためのスケールで、精神状態、水分摂取量や歩行の様子など複数の項目から高齢者のレベルを選択し数値化し、どの程度の褥瘡リスクがあるかを判定するものです。
シニアアラートシステムの概略図 ヨアキム・エドビンソンらによるシニアアラートに関する論文より 出典:Quality management in healthcare 04/2015; 24(2):96-101
このシステムで収集されたデータは研究や健康と経済的観点に基づいた試算にも使われます。倫理上の審査を通過した研究テーマであれば研究者や学生でもデータを研究に利用することができますが、その場合、個人情報や個人番号の扱い方の詳細な説明を要求されます。現在このシステムはスウェーデン国内の約90%の自治体で導入されており、高齢者の医療介護の発展の目的のもと、スウェーデン政府のレポートでもデータベースは利用されています。 医療介護を受ける高齢者にとっても、このシステムは大きなメリットとなります。高齢者は上記の健康上のリスクがあるということが分かり、よくなるために予防策をとり、フォローアップし、健康上の問題が改善すること医療・介護の従事者とともに目指せます。また、高齢者の体の不調や、改善が必要と感じていることを医療・介護の従事者に聞いてもらうことができます。 スウェーデンでは住民全員に個人番号があり、このシステムの登録時にも個人番号とともに、個別の情報として登録されます。しかしこのデータベースから作成される統計は匿名で作成され、個人の情報は追跡することはできません。シニアアラートへの登録は任意で、登録の有無によって、受給する医療・介護に影響がでることはありません。また、このデータベースに登録してある情報の開示を求めることも可能で、誤った情報があれば、訂正を求めることもできます。
アスケルスンド市では、高齢者の病気や怪我の予防の取り組みを進めるため、介護チームが情報や指針を示した資料を用意し、また高齢者にも分かりやすくまとめた資料を配布しました。この予防的取り組みに関する知識が介護従事者に確実に伝わるよう、継続的なフォローアップや、チームによる会議が行われました。 アスケルスンド市では年齢に関係なく訪問医療を受ける患者すべてにリスク判定が行われます。決まった患者担当者が定められたルーチンと様式を使ってリスク判定を行います。そのリスク判定に基づいてケアのための計画が立てられ、実施、フォローアップが行われます。このことによって、複数のスタッフが情報を共有することができます。毎週行われるチーム会議、毎月1回のスタッフ全員の会議では、リスク判定方法についておさらいをします。 何か起こった場合は、そのことがシニアアラートとカルテに記録されます。患者の体調や、看護の変更、新しくとられた措置などはすべてカルテに記録されます。これらの記録によって、例えば、先月、管轄地域で何件の転倒があったか分かります。そして、その結果に応じて、新しい処置や計画を立てます。また、チーム会議で話し合いをし、記録します。3ヶ月以内に新しい処置の結果をみて、フォローアップします。そしてそれをまたシニアアラートとカルテに記録していきます。
シニアアラートシステムを用いた予防ケアのプロセスの概略図 ヨアキム・エドビンソンらによるシニアアラートに関する論文より 出典:Quality management in healthcare 04/2015; 24(2):96-101
アスケルスンド市ではこのシステムを取り入れることによって、転倒の件数が減り、高齢者に関しては家に潜む転倒リスクについてより理解が深まったと言います。また、情報の提供や話し合いを通して、高齢者がより自分の健康の改善に積極的に取り組むようになったそうです。
今回のレポートでは医療・介護のサービス・システムを改善するために役立てられているデータベースについてご紹介いたしました。「シニアアラート」システムは、医療・介護を受ける当事者、医療・介護関係者、介護サービスの改善をすすめる自治体担当者、それぞれの立場の人に有効利用されています。
今月のレポートでは最近(2015年9月上旬)大きなニュースになっているシリアからの難民とスウェーデンのシニアの関係についてレポートしたいと思います。
スウェーデン南部の街マリエスタードに住む、ビルギッタさん(67歳)は現役で仕事をしていたときは事務局長兼マネージャーとして東奔西走しました。そんな彼女も数年前に定年退職した際、心の中が空っぽになった気がしたそうです。家に帰って、掃除をしてただ何かを待つ。そんなことはつまらないことだと思っていました。そんなある日、友達と一緒に教会で開かれたある会合に出席して、難民の受け入れに強い関心を抱くようになったそうです。ビルギッタさんは誰かから必要とされたいと思っているそうです。そして、難民を受け入れることでまさにそれを実現しています。このことは心に開いた穴を埋めてくれたそうです。
ビルギッタさん(中央)とシリアから来た姉弟 写真:カーリン・セーデル
教会での会合で難民に関心を持ったビルギッタさんは家に帰って、押入れの中を整理して、使っていない着物や靴などを集めたそうです。必要としている難民の人達へ渡すために、友達や親戚からもいらなくなったものを色々もらいました。集めた支援物資は家に収まりきれず、今では赤十字の協力も得て、保管場所を確保しているそうです。物資を集めるだけではなく、アパートを見つける、引越し、家の改装など、住居の面倒も見ているそうです。そのほかにも健康診断、眼鏡屋に連れて行く、運転、子供と遊ぶ、お菓子を焼く、スウェーデン語を教える、悩み相談と様々な援助をしています。同時に彼女自身はシリアの文化、アラビア語、宗教などについて勉強しています。一日中、かかりきりで、夜中でもどうすれば懸案事項が解決できるか考えているそうです。 こういった活動も、楽しく、満足いくことばかりではないそうです。多くのシリア難民は戦争体験などによるトラウマを持っているそうです。先に述べたようにスウェーデンでは滞在許可を得やすいといっても将来への不安はあります。やむをえない事情でスウェーデンを去った難民の人ともSkypeで連絡を取っているそうです。 ビルギッタさんは難民の人に直接会うようになりと、すぐになじみ、人気者になりました。ビルギッタさんには3人の実の息子と実の孫が1人のほかに養子の息子・娘がそれぞれ1人、孫6人、ひ孫2人がいます。シリアから来た子たちは「ビルギッタはスーパーウーマンだ」と言っていますが、ビルギッタさんはできることをやっているだけと謙遜しています。 ビルギッタさんは、「もし私が彼らと同じ立場であったら、私が今やっていることと同じことをやってもらいたいと思っています。悲しくつらいときもありますが楽しいこともあります。今ほど人から頼られているときはありません」と言い、充実した生活に満足しているようです。
スウェーデンはこれまでにも多くの難民を受け入れてきました。イギリスのインデペンデント紙やガーディアン紙も最近伝えているように、スウェーデンは非EU国民の難民受け入れの認可率、人口に対する受け入れ率はEU諸国の中でもトップクラスです。最大規模の受け入れは1990年代のユーゴスラビア紛争のときで、17万人以上の人を受け入れました。スウェーデンの人口が900万人程度であることを考えれば、非常に多くの難民を受け入れたことがわかります。また、最近のシリア危機の影響で、10万人近くの難民がスウェーデンに来ると推測されています。 昨冬、退職者協会会長のクリスチーナ・ロゲスタム氏は国内の500人以上の関係者に会い、難民の支持を訴えたそうです。そして、多くの退職者協会に所属するシニアの人たちが指示を表明し、難民の権利を保障する手伝いを始めているそうです。
クリスチーナ・ロゲスタム氏(退職者協会会長・元移民庁長官) 写真:Twitterプロフィールより
「なぜ、退職者協会に所属するシニアの人たちが難民の援助をするのか?」という疑問がわくと思いますが、それに対して、ロゲスタム氏は、 「スウェーデンが(大量の難民を受け入れるという)大きな挑戦をしているので、スウェーデンに滞在するものとして、何とか役に立ちたいという思いがあるからです。お互い助け合い、自国民と難民、皆が気持ちよく住める国づくりをすすめたいという思い。難民の人を助けることで、彼らが早くスウェーデン語を習得し、就職してくれ、税金を払ってくれるようになれば年金問題も解決するという自己中心的な思いも少しはありますけどね。」 と言っています。 スウェーデンの人はおおむね、移民・難民の受け入れに好意的ですが、受け入れを拒否する、あるいは否定的な人もいます。こういった人達に対して、ロゲスタム氏は、 「2点ほど言いたいことがあります。まずは難民受け入れを拒否することは非人道的であるということ。この国に住みたいという限り、できるだけ援助すべきであり、我々には道義的責任があります。そして二点目、スウェーデンは高齢化社会ですので、若い世代(勤労者世代)の穴を埋める必要があるということ。」 と言っています。また、退職者協会に所属するシニアの中にも、移民・難民の受け入れに積極的でない人がいます。こういう人達にも、ロゲスタム氏は、 「これは臭いものにふた的に避けて通れない問題です。助ける必要があります。腹を割って、話し合い、外国人嫌い、極右民族主義者にならないようにすべき。」 という、メッセージを送っています。 また、移民・難民の必要性について具体例を挙げて次のように言っています。 「大都市を見ればわかると思います。もし、すべての移民・難民全員が1日仕事をせずに自分の家にいれば介護現場は完全に麻痺するでしょう(注:スウェーデンの介護スタッフは移民の割合が非常に高い)。健康に問題も出ますし、公共交通機関も麻痺するでしょう(注:介護と同様、交通機関の運転手なども移民の割合が高い)。ですので、スウェーデンの将来のためにはそういった分野での働き手が必要です。」 こういった考えに、「それは難民の人がすぐに就職できることを前提にした話で、そういうことが可能なのか、どうやって実現するのか?」という疑問を持つ人がいます。これに対して、ロゲスタム氏は次のように言っています。 「何といってもスウェーデン語の習得が第一です。これに関しては退職者協会に所属するシニアの人たちがかなり貢献できるのではないかと考えています。例えば友達としていっしょに、お茶しながら、話をすることで。移民・難民のためのスウェーデン語の教師として貢献できないか地方自治体に連絡をとったシニアたちの話を聞きました。1週間に1時間、電話でスウェーデン語のレッスンをするようになったという話も聞きました。 こういった小さなことが、大きな波になると信じています。」 ロゲスタム氏は難民をよりスムーズに受け入れるために、様々なことをしなければならないと考えています。例えば難民のスウェーデンでの滞在許可を出すにしろ、出さないにしろ、早くその決定を下す必要があると考えています。現在のシステムでは決定が出るまでに非常に時間がかかっているので、移民庁の職員を増やして、結果を早く出せるようにすべきだと言っています。また、優先順位をつけることも重要だと言っています。医師、技術者、教師など、技能を持っている人が、ずっと許可待ちの列に並んでいるので、こういった人たちには滞在許可を与えるにしろ、与えないにしろ、スウェーデンは医師や看護師をもっと必要としているので、人材を有効的に活用するために優先的に結果を伝えるべきだと考えています。 ロゲスタム氏がこのように難民問題に熱心なのは移民庁長官を5年間(1988-1992)務めた経験から来ているそうです。 「私のように、移民庁のトップとして5年間も働けば、こういった問題は無視できませんよ。弱い立場の人と会うというのは、本当に心を打たれます。」 と言っています。
今回のレポートでは、難民といかにシニアが向き合っているか、どのように向き合うべきと考えているか、その一端をレポートいたしました。このレポートを書いている時点で、多くの難民が難民受け入れに寛容なドイツとスウェーデンを目指しています。スウェーデンを目指している難民の人達は今(2015年9月上旬)、デンマークに到達したところです。失敗が許されないスウェーデンの挑戦が始まろうとしています。
今月のレポートではスウェーデンのアクティブなシニアについてレポートしたいと思います。
まずはじめに、作家のリンダ・オルソンを紹介したいと思います。リンダ・オルソンはスウェーデンからニュージーランドに移住し、その後2006年に57歳でデビューした遅咲きの作家・ジャーナリストです。デビュー作の「Nu vill jag sjunga dig milda sånger(邦題:やさしい歌を歌ってあげる)」は、デビュー作としては最も売れた作品となり、スウェーデンの大手出版社から出版されました。 彼女は前夫の仕事の関係で、ニュージーランドや日本を含む世界各国を転々とし、その片手間にはじめたのが著作業でした。スポーツと経済に興味がある前夫と芸術や文学に興味があるご本人とで、価値観があわず離婚されました。そして現在ご本人と子供2人と孫3人はニュージーランド在住、お子さんの一人がスウェーデン在住ということで、基本的にニュージーランドが生活の拠点となっていますが、ときどきスウェーデンにも帰ってこられています。 そういった環境の中で生み出された作品ですが、デビュー作での成功後も、エネルギッシュなに著作活動を続けており、次々と新作を出しています。また、英語とスウェーデン語両方で著作活動を行っています。リンダ・オルソンは時としてメランコリックな雰囲気が漂う作品を書いていますが、彼女のエネルギッシュな生き方も読者を惹きつけている理由のひとつなのかもしれません。
リンダ・オルソン 写真出典:Wikimedia Commons
磁器に絵付けをする絵付師のマイブリット・レカンダーさんは「みどりおばさん」としても知られています(「みどりおばさん」: スウェーデンの代表的絵本作家、エルサ・ベスコフの「みどりおばさん、ちゃいろおばさん、むらさきおばさん」の登場人物として有名)。結婚後、一男をもうけ、1960年代に、スウェーデン最古の街として知られるストックホルム県内の小さな町、シグトゥーナにやってきました。街に一目ぼれして、それ以来ずっとそこに住み続けています。この街が本当に好きで、自転車などでよく散策しているそうです。 レカンダーさんはもうすぐ90歳になりますが、Tant Grön(みどりおばさん)というお店を経営しており、今でも現役で毎日絵付けの仕事をしています。緑の葉っぱをモチーフにしたデザインを得意としています。80歳を過ぎたころにこの仕事をやめようかと思ったこともあったそうですが、この仕事が好きでやめることができなかったそうです。
マイブリット・レカンダーさん(写真中央)と お店(写真左) 写真出典: http://kgard.hemsida24.se/
前に紹介したお二人はその道の「有名人」ですが、最後に一般のアクティブなシニアが参加する団体について紹介したいと思います。アメリカ発祥の組織でRed Hat Society(あえて訳せば「赤帽協会」といったところでしょうか)という団体があり、スウェーデンにもその支部がいくつかあります。この団体は50歳以上のシニアの女性が旅行をしたり、パーティをしたり、劇場にいったり、歌を歌ったりと、とにかく「楽しむ」ために設立された団体です。基本的に50歳以上の女性、赤い帽子をかぶって紫の服を着る、病気・政治・宗教の話はしない、という要件を満たしていれば誰でも参加することができます。 スウェーデン国内の支部のひとつ「RHAPSODY in RED」には様々な職業の人が集まっていますが、共通しているのは、皆、仕事や育児・家事などばかりに時間とエネルギーを割いた人生を送ってきて、何かもっと別な楽しみを持たなければいけないと思っているということです。メンバーの一人、インゲルさんもこれまでは自分を犠牲にして、他の人のために働くことが多かったけど、会のメンバーになってからは自分をもっと大事にして、自分のために時間を割くようになったと言っています。会の立ち上げに関わった会長のカリーナさんが最初に「赤い帽子と紫の服を身につけて楽しいことをしよう」と呼びかけたときは、3,4人しか賛同者がいなかったようですが、その後、一気に輪が広がり、今ではカリーナさんの支部だけでも50人を超えるメンバーがいます。
RHAPSODY in RED のメンバー 写真:スウェーデンのRed Hat Society 「RHAPSODY in RED」のホームページより
今回のレポートでは、アクティブなシニアについてお伝えしました。アクティブな人の話を聞いたり、活動を知ることで、元気をもらうことができます。アクティブな人からエネルギーをもらって、何か熱中できること、楽しめることを見つけて有意義なシニア生活を送りたいものです。
毎年恒例となっているシニア展が今年も10月20日から22日の3日間、ストックホルム近郊のエルブシェにて開かれました。今回のレポートではこのシニア展に加えて、別のシニア展についてもお伝えしたいと思います。過去のシニア展の様子については2011.11.28、2012.11.16、2013.11.15、2014.10.22付レポートをご覧頂きたいと思います。
21回目の開催となった今年のシニア展、主催者の発表によると昨年同様、健康についての講座などに加えて、旅行会社、シニア用品を取り扱う会社などが200近くの展示ブースを出展し、盛況だったようです。
シニア展会場の様子 写真:ヤン・アーレイ 討論会では住宅問題に詳しいキリスト教民主党のエバ・サムエルソン氏が登場し、最近の調査結果で若者の人口が減っており、それとは反対に高齢者の数は増えているため、新たに360000戸の高齢者向け住宅が必要であることがわかったと述べました。そして、高齢者にどのように引っ越してもらうか、経済的な援助をどうするかなどについての調査委員会の16の提案にについての説明がなされました。これについて退職者協会のロゲスタム会長は、これまでで一番すばらしく、最も熱望しているもので、かつ、非常に理解できることであると述べ、賛意を表しました。このほかにも同じ討論会のなかで、所得税(譲渡所得)の問題などについても討論が行われました。このような討論を通して高齢者の生の声が政治家に届くのは非常に良いことではないかと思います。
サムエルソン氏(左)とロゲスタム氏(右) 写真:ヤン・アーレイ
前述のシニア展に加えて、「60プラスメッセ」というシニア向けの展示会が最近よく開かれています。女性二人が立ち上げた60プラスグループという会社組織がオーガナイズしている展示会です。もともとは「60プラス」というシニアが集まるインターネットサイトだったものが発展して、展示会となりました。この展示会は「シニア展」と比べると歴史は浅いものの、4年ほど前から全国各地で展示会を開いており、最近では10月22日と23日の2日間、ストックホルムから北西に200kmほどのところにあるファールンという街でメッセが開かれました。 この60プラスメッセに今回初めて退職者協会がブースを出展しました。開催されたファールン地区の支部長は、「いつもと違う雰囲気・場所で高齢者の方に会うのは新鮮でとてもよかったです」と言っています。機関紙などを配るなどして、新しい会員の勧誘なども行ったようです。もうひとつの退職者の組織である全国退職者組合も近くにブースを構えていたようですが、ライバル視するのではなく、連携、協力を模索しているようです(注:二つの退職者組織は共に政治的思想はないと明言していますが、退職者協会は右寄り、全国退職者組合は左寄りと言われています)。 この他に、シニア展と同様に旅行に関するブースや健康、ファッション、財政、ハウジング、スポーツ、園芸などなど幅広い分野のブースが並びました。また、講演会なども行われました。「ドイツ - ベルリンの壁の前と後」と題した、歴史に関する講演や、ヨガに関する講演などが人気を集めました。このほかにもファッションショーなども行われました。
60プラスメッセ会場の様子
写真:http://www.60plusmassan.se/
このように盛んに展示会を開いていますが、その元となったインターネットサイト60プラスでも引き続き盛んな活動が行われています。一年間300クローナ(約4500円)の有料会員制ですが、クラブ活動の紹介、新しい友達を見つけるためのコーナーなどが人気を集めています。
全国各地でシニアに関する展示会が開かれており、大都市に住む人だけでなく、地方にすむ人も講演、政治家による福祉に関するディスカッションなどに参加することができるようになって来ました。今後もシニア展が盛んになり、ますます多くの高齢者が参加するのではないかと思われます。
今月は、スウェーデンの高齢者のインターネットの利用状況についてお伝えしたいと思います。なお、インターネット事情を示すために本文中に統計の結果が出てきますが、統計の結果は全て「Svenskarna och internet 2015(スウェーデン人とインターネット2015)」によるものです。
インターネットは現代の生活になくてはならないもののひとつになりましたが、退職者世代では利用していない人、興味が無い人がいるようです。主に1920年、1930年代に生まれ人、インターネットが爆発的に普及しはじめる1990年代に定年退職した人たちにそのような傾向があるようです。統計によると全人口の約9%がインターネットを利用していないそうです。そして多くの人が高齢者だそうです。視聴覚障害、運動障害、識字障害、認知症などが原因で高齢者の間での普及が進まないという分析もあります。それでも世の中のインターネット化にともないそういった世代でもインターネットを利用する人の数が年々増えてきているようです。パソコンやインターネットに不慣れないわゆる「デジタル難民」の人の数はこの一年間で7万人ほど減ったそうです。 2015年のレポートによると、65%の人が情報化社会に適応できていると感じているそうです。その一方で、60%のスウェーデン人がインターネットを利用しすぎていると感じているようです。 66歳から75歳の人の80%が自宅で時々、62%の人が自宅で毎日インターネットを利用しているそうです。また、76歳以上のグループでは42%が自宅で時々、29%の人が自宅で毎日インターネットを利用しているそうです。
写真: Wikimedia Commons
FacebookやTwitterといったソーシャルネットワークサービス(SNS)はスウェーデンでも多くの人が利用しています。こういったサービスを利用するのは若者が中心というイメージがありますが、スウェーデンではFacebook利用者は若者の間で減少傾向にあり、それとは逆に高齢者の利用者が増加傾向にあるようです。 66歳から75歳のインターネット利用者の半数、76歳以上のインターネット利用者の3分の1の人がFacebookを利用していることがわかりました。また(インターネットを利用しない人を含めた)76歳以上のグループでは13%の人が一度はFacebookページを訪れたことがあるという調査結果が出ました。66歳から75歳のグループでは4分の1の人が、76歳以上のグループでは8分の1の人が毎日Facebookを利用しているそうです。 このほかに画像共有サービス、「インスタグラム」の利用者は、66歳から75歳のインターネット利用者の中で10%、76歳以上では6%という結果が出ました。Twitterの利用者はこれより少し少なく、66歳から75歳のインターネット利用者の9%、76歳以上では4%という結果が出ました。
写真: Wikimedia Commons
パソコンや携帯電話でゲームをするのは12歳から35歳では男の子・男性が多いそうですが、36歳から75歳のグループになると女性のほうが多いそうです。56歳から65歳のグループでは女性インターネットユーザーの21%がゲームをしているのに対して、男性は7%にとどまります。76歳以上になるともともとインターネットユーザーの数が少ないために割合は低くなりますが、性別による差が見られ、お金をかけずに楽しみのためにゲームをしている男性は5%、女性は2%となりました。同じ調査で、お金を賭けてゲームをする人の割合は、76歳以上のグループでは男性はほぼ0%、女性は2%という男女が逆転した結果もでています。
写真: Wikimedia Commons
今月のレポートでは高齢者のインターネットの利用状況についてお伝えしました。何事も効率的にやるのが好きで、そのためなら新しいものをどんどん取り入れる傾向にあるスウェーデン人。高齢者のインターネットやパソコンの利用率は今後も増えていくように思われます。
今回はスウェーデン国内のシニアのスポーツに関することについてお伝えしたいと思います。
新年ですので(このレポートは2016年1月のものです)まずはじめに昨年同様、スウェーデンのシニアの新年の目標を少しご紹介したいと思います。 Q. 新年の目標は何か考えましたか? A. (M.アンダーションさん) 目標はもう少しダイエットすることです。ダイエットに成功したんですがもう少し体重を落としたいですね。それから、今年で定年退職になるんです。主人は最近定年退職したばかりで、年金生活を二人で楽しみたいですね。 A. (G.アンダーションさん) 基本的に私は新年の目標は立てません。皆が健康に過ごしてくれればと思っています。もうすぐ行くタイへ旅行を楽しみにしています。 A.(カグエルマノヴァさん) 特に新年の抱負はないです。目標を立てないとダメですか?達成できないかもしれないから、目標は立てないほうが気楽で良いですね。個人的には特に何も無いですが、世界情勢が気になります。できるだけ早く平和に解決して、皆が安全に過ごせるようになってほしいです。
右上から反時計回りに、G.アンダーションさん、M.アンダーションさん、カグエルマノヴァさん 写真:カタリーナ・ヨハンソン
皆さんはインネバンディ(スウェーデン語: innebandy)というスポーツをご存知でしょうか?日本語では フロアボール、あるいは、ユニホッケー、ユニバーサルホッケーとも呼ばれているスポーツです。アイスホッケーに似たスポーツですが、氷の上ではなく、バスケットのようにコートの上を走ります。手に持ったスティックでプラスチック製のボールをアイスホッケーのように打ち、ゴールを狙うスポーツです。1チーム6人でプレイします。日本ではそれほどポピュラーではないかもしれませんが、このスポーツはスウェーデンでは大変人気で、世界選手権でも最多優勝を誇っており、お家芸といっても過言ではありません。今回はこのインネバンディをするシニアのチームをご紹介したいと思います。はじめにお断りしておきますが、インネバンディは非常にハードなスポーツで、シニアの方はあまりプレイされません。筆者もプレイしたことがありますが、すぐに息切れしていました。 ご紹介するチームは、スウェーデン南部の町、ハルムスタードを拠点に活動しているチームです。チームは設立30年を迎えました。もともとは同じ通りに住む9人がチームを作ったのが始まりで、人からは「タフなベッカゴードの9人」と呼ばれていますが、自称は「インネバンディ娘」です。定期的に参加しているのは52~74才のシニア、9人です。設立当初のメンバーもまだ3人チームでプレイしています。日曜日の夕方に集まり、プレイをし、そのあとはサウナに入ってリラックス。クリスマスには忘年会を兼ねたパーティーをするといった活動をしています。
「インネバンディ娘」写真:エメリー・アスプルンド
練習中は、うまくパスが通ったときに「よし!」といった声が出たり、逆にうまくいかなかったときは「だめ、だめ!」といった声もこだまします。皆さんが想像するかもしれない、「お年寄りのレクリエーション」的なものとは程遠い、プレーヤーの本気が伝わってくる雰囲気です。1時間の間、ほぼ休み無く動きまわります。これは若い人にとってもかなりきついことだと思います。チームメンバーの一人は、体を動かすだけでなく、他のメンバーと生活のことを話したり、映画や本のことを話したりすることも楽しみの一つだと言っています。こういった社会活動も健康で長生きする秘訣の一つかもしれません。
子供のころからはじめて、ずっと続けられるスポーツ。生涯スポーツとして知られていますが、スウェーデンスポーツ連盟は生涯スポーツをより促進する活動を行うことを今後の3つの方針のうちの一つとして挙げました。スウェーデンはもともと自分がスポーツをすることに関心が高い国で、16歳から84歳の人の3割の人が少なくとも一つのスポーツクラブに所属しているといわれています。なかでもシニア世代は今どんどんアクティブになっており、シニア層のスポーツに関する潜在的な需要がまだまだあると見られています。 スポーツが健康に良く、若さを保つということは良く知られており、一般的に受け入れられている事実と思いますが、最近スウェーデン中央大学が、スウェーデンの代表的な元スキー選手で現在90歳を超えている何人かの人の健康状態の調査でも、生涯スポーツとしてスキーをしている元選手は実際の年齢よりも若い体を保っていることが分かりました。これまで生涯スポーツといえば、子供の体力作りなどのためのプログラム、活動が中心でしたが、今後はシニアのための生涯スポーツに軸足が移っていくようにも思われます。
写真:ハッセ・ホルムベリィ
今回のレポートは年の始めということで、まずはじめにスウェーデン人シニアの新年の目標をお伝えしました。また、シニアのスポーツ活動・生涯スポーツについてお伝えしました。今後ますますシニア世代のスポーツ活動が盛んになっていくように思います。スポーツとスポーツ活動を通しての人とのふれあいによってスウェーデン人は健康を保っているのではないかと思います。
今回は日本でもしばしば取り上げられる、「孤独な生活を送っている高齢者」に関するスウェーデン国内の様子をお伝えしたいと思います。
スウェーデンの統計局の調査では60歳以上の女性の39%が、男性の23%が一人暮らしをしているそうです。また、高齢者向けの施設に住んでいる人でも7割の人が時々孤独を感じ、2割の人が頻繁に孤独を感じているという調査結果があります。訪問介護を受けている人も半分以上の人が時々孤独に感じ、1割の人が頻繁に孤独を感じているそうです。 最近スウェーデンのある雑誌で孤独なお年寄りの話が取り上げられました。一部を要約してご紹介したいと思います。 ベンクトさん(仮名・男性)は2年ほど前に奥さんに先立たれ、子供たちは既に独立しそれぞれの家庭を持っているため、現在孤独を感じています。ベンクトさんは以前は働き、余暇を楽しみ、子供に恵まれ、友達もおり、充実した生活を送っていて、心配することは何もありませんでした。ところが今では一変して孤独を感じています。当然ベンクトさんはそういった生活環境が良いとは思っていません。奥様が亡くなられたあとの夏ぐらいまでは特に問題ないと思っていたそうですが、暗くて寒い冬がやってくると鬱になったそうです。時間が解決してくれるだろうとも思ったそうですが、状況は悪くなるばかりだったそうです。孤独な一日ができるだけ短く感じられるようにするために、ベンクトさんは朝10時まで寝ているそうです。そして、朝食を食べ、新聞を読み、毎日車でドロットニングホルム宮殿(スウェーデン国王の住まい)に行って、そこで散歩をするそうです。時間をつぶすためだけに。以前は車の渋滞に巻き込まれるのは嫌だったけれども、今は(時間がつぶれるので)渋滞に巻き込まれたいそうです。孤独な毎日ですが、少しは気にかけてもらっていると感じるときもあるそうです。例えば、子供の一人はほぼ毎日決まった時間に電話をしてきてくれるそうです。しかしその電話も短い会話だけで、その後はまた孤独になります。ベンクトさんは孤独な老人について誰も取り上げていないけど、これは政治問題として取り上げられるべき重大な問題だといっています。「若い人は関心が無いかもしれないけど、自分たちが歳をとってからでは遅いぞ」とベンクトさんは言っています。 ベンクトさんと同じような生活、あるいはもっと孤独な生活を送っている人が多くおり、大きな反響がありました。
ドロットニングホルム宮殿 写真:Wikimedia Commonsより
孤独にもいくつかパターンがあり、物理的にそばに人がいなくて孤独である場合や高齢者施設などのようにそばに人はいるけど精神的に孤独を感じる場合などがあります。いずれの場合も、自分の考えを人と共有することができなかったり、助けてくれる人がいないと孤独を感じ、病気の原因にもなります。そのため、孤独な状態にならないようにしなければなりません。 前述のベンクトさんのような人が多くいるため、様々な人がいろいろな形で孤独なお年よりを支援しようとしています。例えば、スウェーデン南部の街の診療所では観劇、音楽鑑賞、旅行などを通して孤独な老人を支援する試みを行いました。しかし、いわゆる「専門家」や政治家の人たちにとっては難しい問題で、「解決するのは簡単ではない」という声を良く聞きます。 そういう中で参考になるのは実際に配偶者と死別するなどして、孤独を感じている人、感じていた人からのアドバイスだと思います。共通しているアドバイスはやはり、社会に出て人と接するということのようです。新しい趣味を見つけて、新しい友達を見つける、映画、観劇、コンサート仲間を作る、飲み友達、食事友達を作るというアドバイスが多く見られます。エヴァさん(女性)は、ご主人と死別して、子供もおらず、孤独を感じたそうです。エヴァさんはフランス語の語学講座に通い始めることから始め、その後、色々な講座を受講し、新しい友達を作り、孤独を感じなくなったと言っています。家に一人孤独にいることを避けるために進んで他の人と一緒に住める高齢者施設に住むことを選択した人もいます。中には、引っ越した先で新しい友達ができない、新しい友達を作ろうとしても、既にグループが出来上がっていて新しい人が入れる雰囲気ではない、と感じている人もいるようです。そういう人たちのために、退職者協会の人たちが色々な事を楽しむサークルを作ったりもしています。
シニアサークル 写真:サラ・リングストレーム、退職者協会ホームページより
このほかに、他の人を助けることに生きがいを見出すと良いとアドバイスしている人もいます。ボランティア、移民にスウェーデン語を教える、子供に本を読み聞かせるなどできることはたくさんあると言っています。また、逆に孤独を悲観的にとらえず、受け入れ、楽しめば良いという意見を言った人もいます。リズベットさん(77歳、女性)は、一人で瞑想、気功を行うことで、心の平穏を保っているそうです。そして、一人でも音楽を聴いたり、歌ったりすることで、人生を楽しんでいるそうです。
ITを駆使して社会との連絡を保つ方法も情報工学の研究者らによって行われています。例えば、スウェーデン北部にあるウメオ大学の研究者はパソコンの前にあまり座らない、携帯電話をあまり使わない高齢者をサポートするため生活用品の中に情報機器を埋め込む方法を提案しています。プロトタイプで、製品化はされていませんが、例えばソーシャルネットワークなどでメッセージを受け取ったときに、緑色に光るカーテンなどを開発しています。このほかにも箱に取り付けたカメラで顔の表情を捉え、解析することで心身の健康状態がわかるようにできる仕組みなどを提案しています。
光るカーテンとウメオ大学のウォーターワース教授(左) 写真:ミカエル・ハンソン
今回のレポートはスウェーデン国内における孤独なシニアに関する現状、孤独な状態を避ける方法についてレポートしました。孤独な状態を経験した人の意見を聞いたり、政治レベルで話し合ったり、ITを駆使したりと、今後様々なアプローチで孤独解消のための試みが続けられるのではないかと思われます。
前回のレポート(2016.02.11付 「孤独について」)ではシニアの孤独を避けるための方法についていくつか例を挙げましたが、その中に「人を助けることに生きがいを見出す」というものがありました。今回のレポートではシニアが「人を助ける」ことができるプログラムを一つご紹介したいと思います。
2005年ごろ違う世代の人と交流を図るための小規模なプログラムが始まりました。そのプログラムで違う世代が会える場所として選ばれたものの一つが学校でした。シニアの人に学校に補助教員として来てもらい、授業のサポートをしてもらうというもので、シニア・イン・スクール(スウェーデン語:Senior i skolan)と名付けられ、2012年に活動が始まりました。シニア・イン・スクールへの関心は高く、規模はすぐに大きくなるだろうと担当者は予測しています。学校の担任の先生と共通認識を持つために、事前に講習に参加し、補助教員としての役割(どこまでやるか、やらないか)をしっかり理解した上で教育現場に配置されるようになっています。 シニアの人にとっては新たな活躍の場ができ、また、子供たちにとっても、普段あまり交流することがないシニア世代と触れ合うことができ、双方にとってメリットがあることになったようです。シニア・イン・スクールプログラム補助教員として参加しているカイ・ダールマンさんも、「昔は子供の近くに両親、おじいちゃん、おばあちゃんがいたけれども、今では両親が近くにいれば良い方で、おじいちゃん、おばあちゃん世代の人と子供が交わる機会が少なくなってきてるからね」、と言っています。 学校の先生も、「最初はうまくいくかどうか少し不安に思っていたけれども、うまくいっている」と言っています。クラス内のグループワークをするときなどにも補助してくれる人がいると助かるそうです。
前述のカイさんは、5つの小学校で補助教員として働いています。カイさんは算数の授業のアシスタントをしています。報酬の無い完全なボランティアですが、子供たちからお金以上のものをもらっているとカイさんは感じています。カイさんはできるだけ長く続けたいと言っています。 子供たちもカイさんに満足しているようです。カイさんのクラスの子供たちは、「もっと長い時間カイさんといたい」、「進級するともうカイさんと会えなくなっちゃう」、「授業が楽しくて、いい感じ!」、「カイさんにとっても楽しいと思うよ。家にいてもつまんないだろうし」と言っています。

カイさん(中央)写真出典:SVT
マルグレートさん(68歳)は小学校中学年のクラスで補助教員として働いています。マルグレートさんも定年退職後「何をしたらいいのか?」と考えた人の一人で、最終的にシニア・イン・スクールプログラムでボランティア補助教員として働くことを選んだ人です。ボランティアだとお金をもらってやるよりも気軽にできるし、「必要とされている」ということを実感できることが気に入っているようです。学校の先生もマルグレートさんがいることで、子供たちにいろんなことを教えてもらえるし、クラスが落ち着いた雰囲気になる、と言っています

マルグレートさん 写真出典:GP
グニッラさん(72歳)は元高校の教師で、定年後この経験を役に立てないのはもったいないと思って、小学校の補助教員・代用教員として働き始めました。最初はシニア・イン・スクールプログラムの補助教員としてでしたが、高校教師をしていたという経歴が認められ、給料が支払われる代用教員としても働き始めました。代用教員になった今も、週に一度別の学校で、シニア・イン・プログラムの中の教員補助としても働いています。 教師は一日中忙しく、子供たちとの時間が取れない場合もあり、そういうときにクラスに子供たちと接することができる自分のような人がいると良い、とグニッラさんは言っています。また、自分にとっては他の教員と交流することで社会的なふれあいを持つことも大事だそうです。 グニッラさんは教えたことが子供たちに理解してもらえた瞬間が一番満足するそうです。そして今では、他の教員や児童にも信頼されているそうです。グニッラさんはどれくらい続けれるか分からないけど、やれるだけやると言っています。

グニッラさん(中央)写真:ヨールゲン・ヨハンソン
今回は学校でシニアが補助教員として活躍している様子をレポートしました。このように、活躍できる場所が増えるのはシニアにとって非常に良いことではないかと思います。また、今回ご紹介したシニア・イン・スクールの場合は、シニアだけではなく子供たちとっても良いことで、二重の効果があるのではないかと思います。
今回のレポートでは少し趣向を変えて「日本」についてお伝えしたいと思います。「スウェーデンからのシニアレポートなのにどうして日本について?」と思われたかもしれませんが、スウェーデンのシニアにお薦めの日本体験・訪問先を紹介したいと思います。 ひとくちに「日本」といってもさまざまで、スウェーデンの若い世代は日本のアニメ・漫画、コスプレ、オタク文化を思い浮かべると思います(「オタク」などもそのままスウェーデン語として使われています)。今回はシニアにどのようなものが人気か、スウェーデンのシニア向けの雑誌に掲載された記事を中心に紹介したいと思います。
スウェーデン人シニアに人気の旅行先としては東南アジアのタイなどが挙げられますが、もう一足伸ばして日本までいつかは行ってみたいと思っているシニアは多いと思います。そんなシニアに以下の4都市が雑誌に紹介されています。 1.東京 やはり日本に行くとなれば東京が一番最初に挙げられる訪問地となるようです。最近では広島などの地方都市の知名度・人気が上がってきていますが、やはり東京ははずせません。 「空気はきれいで、ほとんどの人が地下鉄を利用するために車を利用する人の数は限られている」と紹介されていますが、スウェーデンに住んでいる人が「空気がきれい」と感じるか少し疑問に思いますし、また、確かに地下鉄を利用する人は多いかもしれませんが、車の数には圧倒されると思います。しかし、そのあたりはご愛嬌ということで。 東京で訪れるべき場所としては、上野公園、東京国立博物館、渋谷の交差点(人口密度が高いことで有名)、築地市場、スカイツリーなどが挙げらています。 2.京都 こちらは「日本らしさ」に関しては他の追随を許さないといっても過言ではないでしょう。京都で見ることができるものとして、神社仏閣に加え、伝統的な手工芸、織物、茶の湯、庭園などが挙げられています。 3.直島(香川県) 3番目に挙げられているのが香川県の直島。これは少し意外な気がしました。神社仏閣めぐりに疲れたら、直島に来ればよいと紹介されています。一足伸ばして、岡山などを拠点にしていかなければならないが、直島は落ち着いた場所で、美術館など文化的なものが沢山あり、日本の有名な建築家安藤忠雄設計のホテルにも泊まることができるとも紹介されています。最近直島は現代アートを中心に町おこしをしているので、アート・文化的なものに興味があるスウェーデンのシニアにとっては人気の場所なのかもしれません。 4.広島・宮島 平和記念資料館と市内の観光が挙げられています。資料館の展示物を見れば何が起こったかを知ることができ、近くに核兵器廃絶を願って燃え続ける平和の灯があると紹介されています。また、市内は少し殺風景なため、宿泊場所としては宮島がお薦めだとしています。厳島神社と大鳥居が紹介されています。
直島(香川県)写真:Wikimedia
日本で体験すべきこともいくつか紹介されています。スウェーデンの若者にとっては、マンガやアニメに関する場所、渋谷、原宿などでのショッピングなどが挙げられるかと思いますが、シニアにとってはやはり伝統的なものがお薦めのようです。 1.花見(桜) 「桜はとてもきれいで、日本人はそれを見てすがすがしい気分になります。」 「桜は日本では国民的関心事でニュースで桜の咲き具合(開花予想など)をチェックしている。」 「公園で同僚と花見をするので公園は人でいっぱいになる。」 などと紹介されています。確かにどれも間違っていないように思います。 2.神社・仏閣 奈良の大仏と共に、京都の清水寺、宮島などが挙げられています。 3.旅館 「床にマットを敷いて(畳に布団を敷いて)寝るのはあまり気持ちよく思わないかもしれませんが、これはやっておかなくてはいけません」と紹介されています。ベッドに寝る習慣があるスウェーデン人にとって床に寝るというのはやはり特別な体験のように思います。
ストックホルムにある和風ホテル「やすらぎ」の一室 写真:やすらぎHPより
4.日本食 もちろんそうでしょう。そしてスウェーデン人が一番に思いつくのはやはり寿司です。そして、回転寿司がお薦めだと紹介されています。確かに日本語がわからない人にとっては普通の寿司屋さんで注文するよりもハードルはぐっと下がるように思います。このほかに広島のお好み焼き、神戸牛、和牛がお薦めの日本食として挙げられています。 5.温泉 理由は良くわかりませんが兵庫県の城崎温泉がお薦めの温泉として挙げられています。そして、前述のように旅館に泊まることを薦めています。「温泉の入り方」も簡単に紹介されています。スウェーデンにも温泉のような施設はありますが、水着を着て入るのが普通で、裸ではいるというのはかなり抵抗があるかもしれませんが、スウェーデンのシニアにも是非挑戦してもらいたいところです。 6.新幹線 日本の人にとっては普通の交通手段のひとつかもしれませんが、スウェーデンの人にとっては時刻表どおりの運行、きれいに清掃された車内、脱帽して礼儀正しく挨拶する車掌さんなどはどれも驚きであるといえるでしょう。
今回のレポートでは、スウェーデンのシニアに日本がどのように紹介されているかを書いてみました。「やっぱり」というものから意外なところまで色々あったかと思います。スウェーデン人シニアが知っている日本語の単語としては、俳句、盆栽、芸者、腹切り、柔道、カラオケ、シイタケ、豆腐、寿司などがありますが、日本を訪れてもらって是非日本のことをもっと知ってほしいと思います。また、なかなか行けないかもしれませんが、日本のシニアの方にもスウェーデンを訪れてもらい、いろいろなことを知ってほしいと思います。
5月に入り、スウェーデンもようやく春らしくなってきました。今回は「スウェーデン紀行」シリーズの一つとしてヴァルプルギスの夜についてお伝えいたしたいと思います。
ヴァルプルギスの夜はスウェーデン語でValborgsmässoafton(ヴァルボリィスメッソアフトン)あるいは単にValborg(ヴァルボリィ)と呼ばれます。「ヴァルプルギスの夜」は映画や小説、音楽の題材にもなっているので、聞いたことがある方もいらっしゃるのではないかと思います。北欧をはじめ、ヨーロッパの一部の国で行われている行事です。行事としては日本の正月に行われるどんど焼き(どんと焼き、どんどん焼き)あるいはキャンプファイヤーのように火を燃やし、春の訪れを祝うものです。4月30日の夜に行われる行事ですが、この日はスウェーデンではちょうどカール16世グスタフ国王の誕生日でもあるため、お祝いムードが高まります。国王は今年(2016年)ちょうど70歳になりました。古くから大学の街として知られる、ウプサラやルンドでは学生たちによってヴァルプルギスの夜の行事が大々的に行われます。
ストックホルムでのヴァルプルギスの夜の様子
写真:Ola Ericson imagebank.sweden.se
シニアはどのようにヴァルプルギスの夜をどのように過ごすのでしょうか。いくつかご紹介したいと思います。 カリーナ・ベックさん(女性・55歳) 家でゆっくりします。外には出ません。 クラエス-エゴン・ウッドさん(男性・76歳) 釣りに行くよ。 ハシブ・ハイドさん(男性・50歳) 他の人は店を閉めるけど、うちはいつも通りレストランを開けて働きます。 シェル・スベンソンさん(男性・定年退職者) 外に出て変な人に会うのが怖いね。買い物をするにしてもさっさと済ませて帰ると思う。祝うために公園とかに行くんだったら、どんな年代の人が来てるのかをチェックしたほうが良いね。若者が多いところだと年寄りはトラブルに巻き込まれやすいからね。 ブリタ・ヘルベリィさん(女性・50代) 湖のほとりで火をたきます。そしてコーラス隊の一員として歌を歌います。打ち上げ花火もやると思います。 オッケ・イングブランドさん(男性・50代) ヴァルプルギスの夜は全く祝わないね。ただちょっと打ち上げ花火を見て、いつもよりちょっと良い夕食を食べるぐらいだね。 グニッラ・カルメフェー・モエさん(女性・50代) 田舎の別荘(サマーハウス)に行って祝います。森の中で自分たちで火を焚きます。 (60代・女性) 年によって違いますね。家で主人とゆっくりしたり、旅行に行ったり、友達と外にでたり、色々ですね。
「ヴァルプルギスの夜は孫に会います」と語る女性 写真:NSD.se シニアの方々の回答からお気づきになったかもしれませんが、伝統的な行事にもかかわらず、実はお年寄り、シニアの方々はあまり積極的に行事に参加していないようです。というのも最近では、多くの若者がヴァルプルギスの夜に外に出てお酒を飲み、騒いでトラブルを起こすといったことが問題になっているからだと思います。もともとは落ち着いた雰囲気で春の到来を祝うという行事だったと思うのですが、最近は若者のお祭りの日というような感じになってきているようです。
ヴァルプルギスの夜の伝統的な食べ物といえばニシンの酢漬けです。スウェーデンのクネッケと呼ばれる薄い乾燥したパンと共に食べるのが一般的です。レシピの一例を紹介します。 材料: 新じゃがいも 500グラム クレームフレーシュ3/4dl サワークリーム 1dl 赤玉ねぎ小1個 小さなリンゴ1個 塩と黒コショウ ニシンの酢漬け2缶 チャイブ1束 ラディッシュ バター25g クネッケ 作り方: 塩水の中でジャガイモを茹でる。茹でた後に水気をとって冷めるまで待つ。ジャガイモを小さく切る。ボウルの中にジャガイモとサワークリーム、クレームフレーシュを一緒にいれてフォークで軽くジャガイモをつぶす。みじん切りした赤玉ねぎとみじん切りしたりんごをその中に混ぜる。塩と黒コショウで味付けする。ニシンの酢漬けの水気を取る。バターを鍋の中でとかす。潰したジャガイモとニシンの酢漬け、薄く切ったラディッシュ、チャイブを細かく切ったものをクネッケの上にのせて、その上から全体にバターをかける。
ニシンの酢漬けとクネッケ
写真&レシピ http://www.pickipicki.se
今回のレポートでは、スウェーデンの伝統的な行事の一つ「ヴァルプルギスの夜」についてお伝えしました。ヴァルプルギスの夜は日本ではあまりなじみのない行事かもしれませんが、スウェーデンで最も重要な行事、夏至祭とクリスマスやイースターといったものにも匹敵するような行事です。
今回はスウェーデンでのシニア・高齢者向けの散髪などの訪問美容サービス事情をお伝えしたいと思います。
体が不自由な高齢者でもファッションに気を使ったり、髪の毛を整えたりしたいものです。しかし、なかなか美容室に行けないという人もいます。そういった人のために訪問美容サービスがあります。例えば、スウェーデン南部の街で散髪のサービスを提供しているエリザベスさんは、体が不自由な人のために電動の椅子が備え付けられた車を使って、自分の店舗までの送迎サービスを提供しています。
電動椅子付の車による送迎と車に積み込まれた散髪のための道具
それでも店舗に来ることが難しい人には、道具一式を持って訪問し、その場で直接散髪を行っていますエリザベスさんは高齢者住宅、介護施設などを訪問して、散髪を行っています。
こういった訪問による散髪サービスでは移動式のシャンプーステーションが使われることもあります。その一つとしてドイツの会社の製品ですが、鏡、シャンプー台、シャワーヘッドなどがコンパクトにまとめられたものがあります。重さ23kgほどでタイヤがついており、簡単に移動できるようになっています。
移動式シャンプーステーションとその使用例
専門学校で美容を学んでいる学生が高齢者向け住宅を訪問して散髪などを行うといったこともよく行われています。また、シニア向けの展示会などに積極的に参加し、シニアのためのネイルケア、散髪などについて学んでいます。
専門学校の学生とシニア
このほかにも、高齢者住宅に住む人のためにファッションショーを企画した人もいます。看護士・介護士として働くエリーナさんは常々体の不自由なお年寄りのために何か楽しいことができないかと思っていました。そこで、デザイナー兼クリエーターとして働いていた経験をいかして、ファッションショーをすることを思いついたそうです。ショップや知人の協力を得て、高齢者住宅で実際にファッションショーを開きました。モデルはもちろん高齢者住宅の入居者です!
モデルになった高齢者住宅の入居者
スウェーデンの高齢者住宅では入居者に健康で過ごしてもらうことはもちろん、精神的にも満足してもらうこと、幸せだと感じてもらうことが重視されます。そのためにもファッションショーのような楽しい企画は大切だといえます。入居者の中にはそういったイベントが苦手だという人もいるようです。例えば、ここで紹介したファッションショーの開催を入居者に告げたときは、体調が悪いなどの理由で、参加したくないという人もいたようですが、ファッションショーの当日になると楽しく参加してくれたそうです。参加を無理強いをすることは入居者の精神的な満足度を下げることになるで、すべきではありませんが、こういった活動・イベントに参加する機会を提供するのは良いことではないかと思います。
今回のレポートでは、スウェーデンの美容サービスについてお伝えしました。訪問による散髪やケアではなく、常設のスパを備える高齢者住宅施設も増えてきています。それほど大きなものではありませんが、散髪やマッサージ、人口日光浴などのサービスを受けることができ、入居者の満足度も高くなってきています。
以前のレポート(2015.09.10付レポート、シニアによる難民受け入れ)で難民の人が受け入れに寛容なスウェーデンやドイツを目指していることをお伝えしました。その後、スウェーデンはできる限り沢山の難民を受け入れましたが、それも限界に達して、デンマークとの国境での審査を取り入れるなどして難民のスウェーデンへの入国を抑制し始めました。そのため、2016年6月現在はひとまず落ち着きを取り戻したように思います。現在は多くの難民の人がスウェーデン国内で滞在許可が下りるのを待っています。そして、そのような中でシニアのボランティアの人たちが難民の受け入れに一役買っています。今回は受け入れの様子、今後の課題についてお伝えしたいと思います。
スウェーデン全国に新しい生活を求めてやってきた主にシリアからの難民がいます。スウェーデン中部のダーラナ地方にある人口1000人ほどのシルヤンスネース地区には140人ほどの難民が住んでいます。この地区に住む人たちに支えられながら新しい生活を模索しています。村にあるホテルは、昨秋よりシリア、アフガニスタン、イラクなどからの難民の人たちに開放され、スウェーデン当局から正式な滞在許可が下りるのを待っています。村の人たちに暖かく迎えられたので、多くの難民は滞在許可が下りた後もこの村に留まりたいと考えているようです。特に村の年金生活者の人たちが難民の人たちを助けるためにボランティアとして積極的に参加しているようです。 スウェーデン人のインゲガードさんは地区の学校の教師として働いていましたが、5年ほど前に定年退職しました。ある日インゲガードさんは以前勤めていた学校から電話をもらい、難民の子供たちのためにスウェーデン語教師として働いてもらえないかと頼まれたそうです。言葉の習得は非常に重要なことですし、誰かのために何かができるということはいいことだと思い、インゲガードさんは快諾したそうです。彼女は友達と難民のための編み物教室も始めました。編み物を教えることに加え、編み物教室を通してスウェーデン語を話すということも考えてのことでした。このほかにも毎週スウェーデンの人とコーヒーを飲みながら気軽に話ができるラングエッジカフェ(語学喫茶)を開いています。毎回多くの人が参加しているそうです。 シルヤンスネース地区の人が難民がやってくると最初に聞かされたときは懐疑的で、少し心配になったそうです。しかし、実際に難民の人が来ると、お互い助け合い、人情に触れることができ、心配は杞憂に終わったそうです。また、村の人の古着、家具などを難民の人のために集めて、Facebookで告知するといったこともしています。ネット上に告知することでほしいものが簡単に見つかるようになりました。このような活動のほかにも家族といっしょに料理をしたり、ピクニックに行ったりして交流を深めています。
シリアからの難民とスウェーデンのボランティア 写真:ウルリカ・パルムクランツ
若い世代の移民・難民は今後スウェーデンで高齢者介護に携わることが期待されています。現在、高齢者介護に携わる人の数は減少している一方、80歳以上の高齢者の割合は今後増えるとされており、介護現場での人手不足に拍車がかかると予想されています。そういったこともあり、若い難民の人を8人ほど実習生として受け入れた高齢者施設もあります。早くから介護に携わってもらい、将来そのまま介護の現場に残ってもらうことを考えています。また、働いてもらうことによって、仕事を通してより早くスウェーデン語を習得してもらうという狙いもあります。語学学校にも看護、介護の現場でのスウェーデン語を重点的に学べる学校もあります。
看護専門スウェーデン語学校の学生たち 写真: ヘルシンゲ・ウートビルドニング
このほかに今問題として取り上げられているのが、難民の人たちの精神的な状態です。多くの人が戦火を逃れて来た人たちで、トラウマを持っていると考えられています。難民の中で最も多い年齢層は25歳~55歳です。そのため、25年後には多くの人が高齢者になります。そしてこれらの人たちの10万人近くが戦争経験のために心的外傷後ストレス障害(PTSD)を抱えていると推測されており、将来ケアが必要であると考えられています。そのような人のためのケアの体制はまだ十分整っていません。スウェーデン当局はこの問題を把握しているものの、はっきりとした戦略を打ち出せずにいます。PTSDを抱えた人は認知症になりやすいとも考えられており、また、高齢になるとスウェーデン語を忘れてしまい、母国語しか話せなくなるといった事態も起こりえます。そのようなときのために、言語力がある看護師、介護士の養成も課題になっています。そういった意味で、先に紹介したような母国語に加え、スウェーデン語に堪能な移民・難民の背景を持つ看護師の存在が重要になってくると思われます。
今回のレポートでは、難民の受け入れ状況、今後考えられる課題についてお伝えしました。簡単に解決できる問題ばかりではありませんが、草の根的なボランティア活動でスウェーデン人、難民の人が共にできる限りのことをしているように思います。
スウェーデンは日本とは違い、夏が最も過ごしやすい時期です。このレポートを書いている8月はスウェーデンではもう夏が終わりに近づいているという感じになります。そんな中、夏の最後を楽しもうとしている人たちがやるのがザリガニパーティです。その名前のとおりザリガニを食べて楽しむというものです。今回のレポートではシニアたちのザリガニパーティの様子、レシピなどをお伝えしたいと思います。
世界遺産にも指定されている銅山があるスウェーデンの都市、ファールンでは先日シニアたちのザリガニパーティが開かれました。50人限定というパーティだったのですが定員を超える応募者があり、盛況だったようです。パーティではザリガニをはじめパイや飲み物が提供されました。また、オーケストラによる演奏もあり皆さん楽しまれたようです。
オーケストラによる演奏などでパーティを楽しむシニア 写真:ホーカン・ロムリン
ザリガニパーティの参加者はよく頭にとんがり帽子をかぶります。そして、仲間たちと話をして楽しいひと時を過ごします。このようなザリガニパーティは高齢者施設でも年中行事の一つとしてよく行われています。健康寿命が長いとされているスウェーデンですが、このように楽しむことが健康の秘訣なのかもしれません。
高齢者施設でザリガニパーティを楽しむお年寄りたち 写真:マリータ・ヴァス
ザリガニパーティで使われるザリガニは今はトルコ、スペイン、中国などから輸入されているものが大半を占めています。そして新聞などでは毎年どのザリガニが良いかの評が掲載されます。調理法はハーブの一種であるディルと一緒にゆでるだけというシンプルなものが一般的です。
今年のベストザリガニについての記事 出典:Aftonbladet
ザリガニパーティで出されたパイ 写真:ホーカン・ロムリン
サイドメニューとしてよく出されるものの一つとしてパイがあります。ここではアンズタケのパイのレシピをご紹介したいと思います。
アンズタケのパイ
アンズダケ 200g
エシャロット1個
バター コーンスターチを水で溶いたもの 大さじ1
料理用生クリーム1dl
白ワイン1/2 dl
ヴェステルボッテンチーズ 1 ½- 2dl
市販のパイ生地
卵1個
パセリ 好みで
豚バラ肉100g
1. オーブンを175度に暖める。エシャロットをみじん切りにし、バターでいためる
2. アンズダケを綺麗にし、一口大に切る。バターで数分いためる。
3. エシャロットアンズダケ、コーンスターチを水で溶いたもの、生クリームr白ワインを混ぜ、温める。
4. チーズをソースに入れ、弱火で温める。最後に卵とパセリを入れ、火から下ろす。
5. パイ生地をちょうどいい大きさにのばし、パイ皿にのせる。
6. アンズダケのソースをパイ生地の上に能勢、20−25分、パイに色がつくまで焼く。
7. 好みで部だバラ肉を細かく切り、フライパンで炒め、パイの上に振りかける。
今回のレポートでは、スウェーデンの夏の楽しみの一つであるザリガニパーティについてお伝えしました。陽気にパーティを楽しむシニアの方々の姿を見ていると、いつまでも童心を忘れず、楽しくすごすことが健康を保つ秘訣だと感じます。
スウェーデンのシニアに人気の健康法のひとつに水泳があります。今回のレポートでは水泳事情についてレポートしたいと思います。
スウェーデンでは水泳の教育が盛んです。小学校では達成すべきノルマが課せられています。水泳が苦手な子には課外授業で水泳を行う場合もあります。また、習い事として水泳教室に通っている子供もたくさんいます。これには、速く泳ぐことを目指す競泳のためではなく、湖や海で溺れないようにするための技能を身につけるといった要素がかなりあります。 シニアの間でも平日、休日にかかわらず、プールには多くの人がトレーニングに来ています。プールは早朝にも開いている場合が多く、朝、出勤前にひと泳ぎ、といった人もいます。ゆっくりプールの中を歩いたり、平泳ぎでゆっくり泳いだりするのがもっとも一般的です。こういった人たちは筋肉を保つなど、健康を保つためのトレーニングのひとつとして水泳を行っています。こういったトレーニングは夏冬問わず一年中行われています。また、孫と一緒に来ている人もよく見かけます。コミュニケーションをとる機会としても水泳が一役買っているように思います。
写真:medley
スウェーデンでは夏ともなれば、老若男女を問わず、皆、湖などで泳ぎます。多くの人は平泳ぎなどで泳いでいます。しかし、以前行われた調査によると(人口1000万人弱の)スウェーデンにおいて200万人の成人が、200m泳げるとは思わないと答えています。スウェーデンライフセービング協会では水の事故を防ぐためにシニア向けの水泳教室を開く必要があるといっています。ライフセービング協会は波がないプールで200m泳ぐことと、波がある海などで200m泳ぐことはまったく違うということも指摘しています。また、水泳の能力は一度身につけても、トレーニングを続けなければ能力が落ちるので、5年前に200m泳げたからといって、今も泳げるとは限らないともいっています。
写真:スウェーデンライフセービング協会
このようなことから、高齢者向けの水難事故防止、水難事故の際の救命法に関する無料のコースをライフセービング協会が開催しています。高齢者向けのコースは10年ほど前に始まり、年々関心と需要が高まっているそうです。ひとクラス6~8人で、1時間の講義・実践が10回行われ、理論と実践両方について学びます。
スウェーデンの水泳界で活躍しているシニアといえば、バーブロ・トーネレーフさんです。御年86歳。85-89歳のクラスで活躍している選手です。バーブロさんは若いころは水泳のトレーナーなどをしていましたが定年退職した後、本格的に水泳のシニア大会などに出場する競技生活に入りました。いまでも週に2回1000mを泳いでいます。
バーブロ・トーネレーフさん 写真:マグヌス・ヤルマーソン・ネイデマン(SvD)
バーブロさんは、年々タイムは遅くなってるけど、自分にとって大会に出ることは水泳活動の一部ではあるけどもそれだけではないし、トレーニングすること自体に意味があると言っています。トレーニングすると充実した気持ちになるし、体の調子も良いと言っています。また、歩くときはバランス悪いけど、水の中だとバランスは関係ないからね、と笑いながら話しています。 バーブロさんのご主人亡くなってからは、水泳のもつ意味がより重要になったそうです。水に触れることで落ち着くし、水泳仲間との年齢差、男女差が関係ない年齢差、男女差ないつきあいを通して交流を深めることができる、水泳のない人生なんて考えられない、と言っています。
今回のレポートでは、スウェーデンのシニアの水泳事情についてお伝えしました。心身の健康を保つために水泳を行っている人が多くいるように思います。水泳はゆっくりとした動きで、水中で行うことから、体への負担が少ない健康を保つための運動として、みなさん積極的に取り入れているようです。
これまでにもスウェーデンのシニアの住宅事情について何度かレポートしましたが、最近形態が多様化してきており、また、シニアの住居に対する考え方も変わってきたようですので、レポートしたいと思います。これまでは、大きな自宅にできるだけ長く住む、そしてその次は管理の行き届いた高齢者施設に住むというものが一般的でしたが、シニアの人たちの住宅事情も変わりつつあるようです。
まず始めに、ヨニーさん(70歳)とカーリンさん(68歳)の住宅事情についてみてみたいと思います。 数年前にヨニーさんとカーリンさんは息子さん夫婦の家に引っ越しました。住居が1階部分と2階部分に分かれている、いわゆる「二世帯住宅」への引越しです。日本では二世帯住宅はそれほど珍しいものではないかもしれませんが、スウェーデンでは子供が二十歳ごろに独立すれば親が子供の面倒を見ることもなく、また子供が年老いた両親の面倒を毎日みるというようなことはありません。そのため二世帯住宅というのは非常に珍しく、筆者もこれまでに聞いたことがありません。ヨニーさんの知り合いも当初この二世帯住宅に関してかなり懐疑的で、ヨニーさんは「本当にうまくいくのか?」とよく聞かれたそうです。しかし、カーリンさんは「息子夫婦の家への引越しは今までの引越しの中で一番良かった」といっており、ヨニーさんもそれに同意しています。そして今では自信を持ってうまくいっている言えるそうです。二世帯住宅ではお互いが助け合うことができるし、生活の面でとても経済的だと感じているようです。 前述のように二世帯住宅の概念はスウェーデンにはないため、スウェーデンでは非常にユニークな発想といえるのですが、このアイディアはアジアの伝統から思いついたそうです。ヨニーさんの義理の娘がベトナムから移住してきた中国系の方で、彼女から年老いた両親の面倒を子供がみるといったアジアの文化を知ったそうです。これからはスウェーデンにおいても、もしかするとこういった二世帯住宅が増えてきてシニアの住宅事情も変わってくるのかもしれません。
ヨニーさん一家と二世帯住宅 写真:エメリー・アスプルンド
続いてカイサさん(71歳)の場合をご紹介したいと思います。カイサさんはご主人を亡くし、寂しく思っていました。しかし、友人から「一人で住まないといけないってわけじゃないんだから」とアドバイスを受け、Facebook上で同居人の募集を始めました。多くの応募があったそうですが、カイサさんは23歳の女性、シモーネさんを選び、いまでは彼女と同居しています。ホームステイでも間借りでもない共同生活で、友達のような感じだそうです。一緒に食事をし、シモーネさんはカイサさんに何でも打ち明けることができ、色々相談に乗ってもらっているそうです。カイサさんも若い人と一緒に生活することで、気持ちを若く保つことができるので、他のシニアの人にも同じような共同生活をすることをすすめています。 こういった共同生活の需要は高まっているようで、最近、ストックホルム市とリンショーピング市で「Ett tak två generationer (一つ屋根の下に二世代)」というプロジェクトが立ち上げられました。大都市では住宅難であるため、住居を提供したい人(主にシニア)と住居の提供を受けたい人(主に若い世代)のマッチングを行うプロジェクトです。このようなプロジェクトを通して、シニアと若者の共同生活が今後増えていくことになるかもしれません。
「どうやったら若い人たちはうちらの街に良い家を見つけられるのかなぁ?」 「どうしたらお年よりはできるだけ長く自分の家に住み続けられるのかしら?」 写真:プロジェクトホームページより
最後は小さな家に引っ越したクリスチーナさんのケースを紹介したいと思います。 クリスチーナさんは最近小さな家に引っ越し、質素で清貧の生活を始めました。将来を見据えてのことですが知人からは、別に今引っ越さなくてもいいんじゃない、といわれたそうです。クリスチーナさんは掃除、メンテナンスなど家に関する仕事を減らし、経済的負担を減らすためにも小さな家に引っ越したと言っています。そして後悔はしていないと言っています。 クリスチーナさんは引越しのアドバイスとして、まず将来階段を上ることが難しくなるかもしれないので、一階部分に住むのが良いと言っています。また、引越しに際して、場所を節約するためにソファーとしても使えるベッドを購入したそうです。テレビは本棚への埋め込み式にして、邪魔にならないようにし、冬はそこに炎を映し出して、暖炉のように見えるようにしているそうです。植物は天井から吊るし、キッチンには果物を入れるカゴを天井から吊るしているそうです。それから、車輪がついた移動可能な台を2つ持っているそうです。これはどこにでも簡単に移動できるため非常に重宝しているそうです。捨てられものは全て捨て、地下の倉庫はからっぽ、「あとで使うかもしれないもの」も何も残していないそうです。まさに「足るを知る」を地で行くクリスチーナさん。こういったシニアの生活の仕方もあるかもしれません。
クリスチーナさん 写真:ダン・ハンソン
今回のレポートでは、新しいシニアの住宅事情についてレポートしました。シニアの住宅事情はこれまでのように画一的なものではなく多様化しつつあり、それぞれの人が自分にあったスタイルで生活していくようになっていくように思われます。また、そのためには快適に生活するための工夫をする能力、自分のスタイルに合った居住環境を見つけるスキルなどが求められてくるようになるのかもしれません。
毎年10月下旬にストックホルムで開かれているシニア展が今年(2016年)も、10月18日から20日まで開催されました。このレポートではその様子をお伝えしたいと思います。過去のシニア展については2011.11.28、2012.11.16、2013.11.15、2014.10.22、2015.11.11付レポートをご覧頂きたいと思います。
シニア展2016
毎年お伝えしているのはストックホルムでのシニア展の様子ですが、このシニア展はスウェーデン第二の都市ヨーテボリ、第三の都市マルメでも開催されています。これまでいづれも好評だったため、来年(2017年)からはストックホルムでは、春と秋、年に二回開催されることになりました。主催者のレオン・ギアナリディス氏は「おかげさまで好評を博しており、新たな出会い、インスピレーション、面白いことを求めて毎年いらっしゃるリピーターの方も沢山います」と言っています。 前年同様、200以上のブース、多くの講師陣が参加しており、来訪者も主催者発表によれば、昨年よりも12%増えて、13297人だったようです。「いろんな方に役に立てていただけるよう、幅広い分野のブース、アクティビティをご用意しました」と前述のギアナリディス氏は言っています。 来場者は入館するときに一度パスを見せれば、中では無料で全てのアクティビティに参加できるようになっています。例えば、著名人、専門家による講演などを聞くことができます。
講演の一コマ 写真: Magnus Adolfsson
講演のほかにも健康増進に関するアクティビティや血圧測定、聴覚測定、ヨガ、ダンス、10分間で終わるワイン講座(おつまみ付き試飲コーナー)などなど沢山のコーナーがあります。また、20分でできるメークアップ講座なども人気だったようです。ギアナリディス氏は「色々面白いものがあるのでどれか一つをお薦めするのは難しいですね。色々インスピレーションを得てもらえればと思っています」と言っています。
健康に関する講座 写真: Magnus Adolfsson
メークコーナー 写真:シニア展Facebookページ
このシニア展は高齢者に有用な情報を提供するためのものですが、高齢者を購買層としている企業にとってはブースを出展して、自社を売り込む機会というビジネス的な側面もあります。旅行社、健康グッズ関係などがその一例です。先にも書きましたように、シニア展には幅広い分野のブースが出展されています。今年は新たにクリーニングなどのサービスを行う会社が出展したようです。高齢者にとっては日々の掃除は大変な場合があります。そこに当て込んでのことですが、そういったサービス自体は珍しくありません。しかし、「今年」初めて出展したのにはわけがあります。スウェーデンでは家事に関するサービスを利用する場合、減税対象となり、人件費に対する支払いが実質半分近くになります(注:限度額があります)。例えば、掃除、洗濯、ベビーシッター、庭の手入れなどのサービスが対象となります。また、この「家事」の対象が今年(2016年)8月から拡大され、引越しなど大掛かりなものの移動、ITサービス関係なども減税対象となりました。適用範囲が広くなったため、これを機会にビジネスチャンスを広げようとするものです。そのため、「今年」から多くの企業が高齢者にもアプローチをしようとしているものと思われます。今後、IT、引越しなどの分野でビジネス拡大を考える企業が増えてくるかもしれません。
クリーニング会社のパンフレット
今回のレポートでは、ますます好評のシニア展2016についてお伝えしました。様々なアクティビティが用紙されており、来場者にも好評だったようです。また、「家事」に関するサービス利用時の減税の対象が拡大されたことによる、今後の高齢者向けビジネスへの影響についてもお伝えしました。
孫を持つということはうれしいことでしょう。自分の子供ではないので、すべての責任をとることなくかわいい孫と接することができると思っているおじいちゃん、おばあちゃんも多いことでしょう。孫はさしずめ人生のデザートといったところでしょうか。しかし、孫といえども他の人と同様人間関係が大事なようです。今回のシニアレポートではタイトルどおり、スウェーデン流「孫との付き合い方」をお伝えしたいと思います。
最近、「助けて、孫ができちゃいました!(Hjälp, vi har fått barnbarn!)」 という本が出版されました。著者のエリック・シーデンブラドー氏自身は14年前(2002年)に最初の孫ができ、最近7番目のお孫さんが生まれました。シーデンブラドー氏は「新しい生命の誕生は毎回同じように偉大なものです。私と妻は孫が生まれたときには一刻も早く会いに行くことにしています」と言っています。 そんなシーデンブラドー氏は自著の中で、孫との付き合い方で大事なのは柔軟性と距離感であるといっています。孫たちは基本的には親(すなわち自分の子供)に依存しています。ですので、おじいちゃん、おばあちゃんとどの程度、そしてどれくらい身近に接するかは孫自身が決めることかもしれません。ですので、もっと近づきたいと思っても、時には思いとどまって距離感を保つことが重要なようです。

おじいちゃん、おばあちゃんが孫と親しくしたいと思うようになったのは比較的新しい現象のようです。以前は日曜日やクリスマスに時々会いに行く程度だったようですが、最近はもっといろいろな機会に孫に会いに行く傾向にあるそうです。シーデンブラドー氏は「以前はおじいちゃんがタバコを吸っているのを遠めに見て、おばあちゃんがあったときにほっぺにキスをしてくれる程度で、それほど近い関係ではなかった」と言っています。
著者のエリック・シーデンブラドー氏
若い世代とおじいちゃん・おばあちゃん世代とでおじいちゃん・おばあちゃんはどの程度孫に関わるべきかというディスカッションが行われたそうです。例えば、おじいちゃん、おばぁちゃんが週に2回孫を幼稚園に迎えに行くのは多すぎるのか、孫を習い事に連れて行ってあげるべきか、といったことです。シーデンブラドー氏は、「どのように、どの程度深く孫と関わるかという問いに対する答えはありません。どれくらい近くに住んでいるかといったことなどいろいろな要因があると思うので、それぞれが自分で答えを見つける必要があります」、また、「おじいちゃん・おばぁちゃんであることを恐れるな。自分らしくあれ。Yes、Noを相手に伝えるのはシニア世代ともなれば難しいことではないし、言いづらければ別の日に言えばいいこと。」と言っています。 また、孫の親の考えを尊重すべきだとして、シーデンブラドー氏は次のように言っています。 「私の義理の娘はベジタリアンなので孫にはホットドックはあげません。ちょっとぐらい体に良くないものを食べたとしてもいいだろうとは思うのですが、孫の親の考えは尊重すべきです。」 「常に一歩引く準備をしておくことが大事で、おじいちゃんとしてもっと孫の近くにいたいと思っても、孫のことを決めるのは孫の親です。おじいちゃんの役目は耳を傾け、理解してあげることだ」
デンマークの心理学者はおじいちゃん、おばぁちゃんが親とは違うように振る舞うことは良いことだと言っています。 このことについてシーデンブラドー氏は、次のように言っています。 「自分の子供時代を振り返り、いろいろな考え方、異なる趣向を持った大人の親戚に触れたのは良かった」 「孫と親の間に深く入り込むべきではないが、孫と会ったときは自分たちと孫の間に独自の関係を生み出す自由も持っていなければならない。」 「子供にとっては親とは違う大人に触れるのは良い事。必然的に親や孫との付き合い方も変わってくる。 社会、生き方を学ぶことができる。」
シーデンブラドー氏は、自著の中で、孫との付き合い方について、次の8つのアドバイスを書いています。 ・孫と会うありとあらゆるチャンスを逃すな。 ・プライバシーを尊重すべし。干渉しすぎるな。 ・できないことは約束するな。 ・義理の娘・息子にも気を配るべし ・孫に高望みするな。 ・子供、孫に対して自分の意見・立ち位置がしっかり伝わるように振る舞う。 ・甘やかすのはほどほどに。 ・ポジティブシンキングをする。 「これは孫との付き合いに限ったことではないが、思い通りにならなくてもあきらめるな。落ち込むな。ケセラセラの気持ちで次へ向かう事が大事。これはおじいちゃん、おばぁちゃんが身に付けないといけないスキル。やっかいな孫であればあるほどおじいちゃん・おばあちゃんの存在が重要になってくる。」というアドバイスも送っています。
スウェーデンの代表的児童文学者・「長くつ下のピッピ」の作者、アストリッド・リンドグレーンと孫たち
シーデンブラドー氏は、「時が経てば経つほど、子供、孫の存在はシーデンブラドー氏の人生の中で重要になってくる。古臭い言い方かもしれないが、終わりのない旅のようなもの。もちろん、子供や孫のいない人生がつまらないというつもりはないが、子供、孫を持つのもいいもの」と言っています。 また、いままでで孫との一番の思い出は?という問いには、 「一言じゃ答えられない。プールで遊んだり、森を散歩したり、ただ座って何かについて語り合ったり、 説明しきれないほどのそういった小さな出来事。これからもできるだけたくさん思い出を作って、心に刻んでいこうと思っています」と答えています。
今回のシニアレポートでは、これまであまり取り上げなかった「孫との付き合い方」についてお送りしました。せっかく孫ができても関係がこじれてしまっては残念です。このレポートが、おじいちゃん・おばあちゃん力を付け、楽しいシニアライフを送ることができるようになる一助になれば幸いです。
今回のレポートでは、新年ですので(このレポートは2017年1月のものです)まずはじめに昨年同様スウェーデン人シニアの新年の抱負を少しご紹介したいと思います。そして、スウェーデン人シニアの気ままな旅についてご紹介したいと思います。
マーヤさん 写真:ヘンリー・ルンドホルム
看護師として働いているマーヤさん(70歳)は、もっと自分を大事にして、働く量を減らしたいです。 旅行したり、友達と会ったり、音楽を聴いたりしたいです、と言っています。
アンネ-マリーさん 写真:クララ・アルブンゲール
アンネ-マリーさんは昨年は、劇場・オペラといったような文化的なものに触れる機会を増やすという目標を立てて、実際にそうしたそうです。 今年はまだ特に目標は立てていないけれども、働きすぎないことかな、と言っています。 スウェーデンの人はやはり、効率的に働いて、働く時間をできるだけ減らしたいと思っている人が多いようです。
それでは、本題。今回は世界中を着の身着のまま旅する男性五人組のスウェーデン人シニアを紹介したいと思います。「Löses På Plats (レーセス・ポ・プラッツ (現地で解決)」、略してLPPと名づけられた旅です。 この5人はもともと同じ町の出身で、1970年代まではその町に一緒に住んでいた仲だったそうです。全員もともと環境問題に関心があり、反原発などの環境問題に取り組んでいました。時には一緒にカヌーを漕いだり、料理をしたり、また、あるときは地元のバスの終点まで乗るというようなことをしていたそうです。 そんな中、2003年に仲間の一人が脳卒中になり、手遅れになる前に、どこか遠くに旅に出たいと思いたったそうです。ペルーのマチュピチュに行きたいと思ったそうです。仲間はすぐに立ち上がり、旅行に出かけたそうです。これが世界中を旅することになる最初のきっかけだったそうです。それ以後、これまでの十数年間で、自然が多い田舎を中心に27カ国訪問したそうです。 はじめのうちは旅行に出る前に計画を立てていたそうです。しかし、ルート、旅程などについて綿密な計画を立てても初日で予定通りに行かなくなったりしたそうです。そして計画を立てている途中で、「どうやって解決しようか」といったことも考えるようになったそうです。結局出した答えは「現地で解決すればいいじゃないか」でした。これがLPP(現地で解決)の旅の始まりです。 その後、アゼルバイジャンのどこかでバスに乗ってたり、寝る場所の当てもない旅をしたり、ルーマニアでのぎゅうぎゅう詰めのタクシーに乗ったり、キルギスタンでペットボトルからのシャワーを浴びたりしたそうですが、そういった旅の中で助けてくれるいろんな人に出会えたそうです。
5人組シニア 写真:個人蔵
そんな旅の中でいくつか縁起を担いでいることがあるそうです。一種のジンクスで、 ・空港を出たら左に行く ・待つときは座って待つ ということをしているそうです。そうすると必ず問題が解決されるそうです。そういった信仰のようなものを持つと、今まで知らなかったなんともいえない感覚を持つようになったそうで、そういった感覚も面白いものだと感じるようになったそうです。 そして、先頭を歩く人が選んだ道を行き、他の人はそれに絶対反対してはいけない、という決まりもあるそうです。あるとき仲間の一人が先頭を歩き、空港を出たとき、しきたりに反して、右に曲がったそうです。それでもそれが良いことに繋がると信じてそれに従ったそうです。何事も信じることが大事だそうです。
他にもこのLPPの旅に一緒に行きたいと言う人もいるけれども5人がちょうどいいそうです。また、普段は奥さんたちと一緒に旅もするけど、このLPPの旅は別だそうです。5人で旅をしていても、喧嘩をしたり、イライラしたりすることはないそうです。 前述のように信じて、一種の信仰のようなものを持っていればそういったことはないそうです。そして、5人いればだいたいどんな状況でも怖い思いをすることはないし、話し相手に困ることもないそうです。旅をしてると時々奇異な目で見られることもあるそうですが、仲間の一人曰く、「所詮年寄り5人なので怖がられることはない」そうです。 この5人組は現地で解決の旅の趣旨とは違う旅もしています。お金を集めて、ネパールで貧しい人のために学校や診療所の修復もしています。
ネパールにて 写真:個人蔵
また、こういった旅をまとめたものが昨年(2016年)一冊の本になりました。
2016年に出版された本 パー・ノード著「LPP現地で解決-共に旅する男たち」
今回のシニアレポートでは、新年の抱負に続き、旅をし、貧しい人たちを助け、本を出版し、とアクティブなシニアライフを送っている5人組の紹介をしました。 筆者も将来こういったアクティブなシニアライフを送ることができればと思っています。
今回のレポートでは、定年退職後会社を立ち上げたシニアたちについてお伝えしたいと思います。
健康寿命が長くなった現在、定年を迎えてもなお働き続けたいと思っている人がたくさんいます。スウェーデンでは定年後、自営業を始める人の割合が増えています。2015年の統計によるとシニア世代の42%が自営業だそうです。定年後また他の人・会社に雇用してもらうのに比べ、いくつかの利点があるようです。 まずはやはり、自分で時間を管理できる、仕事時間・仕事量を自分で決めることができるということのようです。若いころはいつも忙しく、締め切りに追われるような毎日というような仕事スタイルだった人も、定年退職後は新しい機会を利用し、新しい仕事のやり方で仕事をすることがつづけたいとできるので、まだまだ仕事をしたいと思っている人にとってはチャンスがあるようです。
リスベスさん(女性)は市役所で主任を務めていましたが、趣味は裁縫だそうです。仕事をしているときは事務処理、市の予算関係の仕事、調査などの仕事があり、趣味の裁縫にはあまり時間が割けなかったそうです。そのリスベスさんは年金受給資格がある年齢になるとすぐに退職して年金生活に入ったそうです。早く年金生活に入るほど月にもらえる額は少なくなりますが、お金は退職までに貯金していたそうです。 裁縫技術を生かして、趣味が高じて、という形でオーダーメイドの洋服などを作る会社を立ち上げました。リスベスさんによると新しい会社を立ち上げるのは人が思っているほど複雑で難しくはないそうです。 「ベンチャー企業支援センターや税務署に聞けば、いろいろアドバイスしてくれる。必要なときに彼らにただ聞けばいいだけ。」とリスベスさんは言っています。 今は基本的に毎日工房に座って裁縫をしているそうです。結婚式用のドレス、キリスト教の洗礼のときに使う服などを作っているそうです。それに加えて新たに、ガラス工芸の技術を身につけ、ガラス工芸品も作り始めたそうです。 「誰にも指示されることはないし、自分で好きなだけ働くことができる。自由度が高い。役所で働いていたときにはできなかったことです」とリスベスさんは言っています。
リスベスさんの作品
ヘンリーさん(74歳・男性)はシニアの人に特化した引越し業を経営しています。友人と話しているときにシニアの人の要望にこたえるために、シニア層に特化した引越し屋さんが必要だということになったそうです。 そして、現在の引越し業を始めたそうです。奥さんは何でそんなに働く必要があるのかと言うそうですが、ヘンリーさんは娯楽に興じるよりも仕事をしていた方が生きがいを感じるそうです。 ヘンリーさん曰く、「定年後自分の会社を持つことの利点は、好きで仕事をやってるだけで、暮らしのために週に50~60時間も働かなくていいということ。これが一番いい」。 また、アニカさん(65歳・女性)は63歳で介護職を退き、音楽関係の会社を立ち上げたそうです。自分で作詞・作曲した歌の販売などを行っています。時には自分でも歌っているそうです。
アニカさん。アニカさん作製のビデオクリップより
このようにさまざまな人が、定年退職後にいろいろな会社を立ち上げています。
会社設立に関する専門家のビョーン・ルンディエンさんは「定年退職者のための会社経営術」という本を出版しています。
「定年退職者のための会社経営術」 ルンディエンさん曰く、定年後会社を立ち上げたほうが良い理由は次の5つだそうです。 1.定年退職後(65歳以上)は減税されるので、税引き後に残るお金が多くなり、これまでと同じように働かなくても同じ収入を確保できる。 2.働くことで年金の積み立てを行い、将来の年金受給額を増やすことができる。 3.年金は生活保護ではないので、会社経営で稼いだからといって支給額が減るわけではない。 4.経験を生かすことができる。歳をとっているということがデメリットにならない業種がある(コンサルタントなど)。 5.働くことで、若さ、エネルギー、健康を保つことができる。 ということで、定年退職後会社を立ち上げ、働くことは経済面、生きがいなどの精神面両方にとって良いようです。
今回のシニアレポートでは、定年退職後もいろいろな分野での活躍を求めて会社を立ち上げた人たちについてレポートいたしました。やはり、好きな仕事を無理せずやるというやり方が一番良いように思います。 この点に関しては若い世代よりもシニア世代のほうがチャンスがあると思うので、いろんな分野で元気に活躍してほしいと思います。
転倒による怪我などを防ぐためにトレーニングをして体を鍛えることが非常に重要視されています。今回のレポートでは、スウェーデンでのシニアのトレーニングに関する様子をお伝えしたいと思います。
高齢者の転倒による怪我・死亡は非常に大きな問題になっています。 年齢の増加とともに転倒のリスクは高まります。筋力の低下、バランス感覚の低下、病気、視覚・聴覚機能の低下、薬の服用、体重の低下などが原因と考えられています。 スウェーデンでは、転倒による死亡事故は交通事故死の4倍、その数は15年前に比べて2倍になっています。また、高齢者人口の増加に伴い、高齢者の怪我・病気に関する自治体の財政負担は年々大きくなってきています。 スウェーデンの社会保険庁の調査によると転倒による死亡率には地域差が見られるそうです。例えばスウェーデン北部の県、イェムトランド県では転倒が原因で死亡した人は10万人に28人(2015年)だったのに対して、ゴットランド県では10万人に5人だったそうです。 社会保険庁は各自治体が転倒による怪我を防止するための各自治体の取り組みの違いがこういった違いを生み出しているのではないかと推測して、関心を寄せています。 また、他の調査結果でも地域差が見られました。「80歳以上で、転倒が原因で病院に行った人」の数は県別に見ますとストックホルム県が一番多く、1000人に当たりに72人だったそうです。一番少ない県はイェヴレボリ県で1000人に当たりに53人だったそうです。また、市町村レベルで見た場合、1000人当たりに30~86人になるそうです。 このような事情から、社会保険庁は転倒防止に関わるスタッフの教育に力を入れています。
転倒事故は運動、バランス感覚のトレーニングをすることで予防可能であると考えられています。怪我や病気を予防するためには運動をすることが良いことは研究でも明らかになっていますし、トレーニングの重要性もパンフレットなど使った啓蒙活動が行われています。 しかし、あるシニアはこれでは不十分だといっています。研究して、啓蒙活動を行っても状況は改善しておらず、実行する(実際にトレーニングをする)ことに重点を移すべきだと言っています。 研究、啓蒙活動が盛んでも実際にトレーニングする機会が少なかったり、十分なサポートが受けられない現在の状況を打破しなければいけないといっています。 例えば、ストックホルム郊外の町、ナッカでは90歳以上の人を対象にしたトレーニングコースがありますが、そういったコースを増やすべきだといっています。
トレーニングをする90歳以上の高齢者 写真:プル・フリスク
そうすれば、高齢者がより健康になり、自治体の医療費の負担を減らすことができ、削減した分を健康維持のためのヘルスケア、高齢者のトレーニングの補助などに当てれば良いと提案しています。
こういった声は良く耳にするため、スウェーデン北部の町ウメオではシニアのトレーニング・運動のサポートを始めました。 市の福祉課とレクリエーション課が協力し、65歳以上の健康増進を目的として、ダンス、水泳、ウォーキングなどさまざまな活動の補助を始めました。最初の一歩として、日本円にして総額約600万円の予算を組み、プールの見学会などを催しました。 担当者は、「体を動かすことは心身両方のために重要だということを知っています。これは若い人でも高齢者でも同じです。65歳以上の人に関して言えば、転倒などによる怪我を防ぐ上でも日ごろから運動することは重要ですし、その後も健康であり続けるために重要です。そのため、福祉課とレクレーション課の連携は非常に重要になってきますし、重点課題と位置づけています」と言っています。 また、退職者協会は各支部でウォーキング、ジム、ヨガ、エクササイズ、ダンス、プール、ボーリング、卓球などさまざまなフィットネス活動を行っています。
最近シニア専門のトレーナーも誕生しました。クリストファーさんはシニア専門のトレーナーで、これまでに5年間さまざまなシニアにトレーニングを行いました。クリストファーさんは最初は週に1、2回のトレーニングでよいと言っています。 時々まとめてやるよりは、コンスタントにやったほうが良く、最初から高いハードルを設定しないほうが良いといっています。また、普段いるところでトレーニングをはじめるのが良い、家でも良い、とアドバイスしています。 高齢になってトレーニングをしようと思うと「危険ではないか?」と思われるかもしれませんが、クリストファーさんによると、「これまでに自分がトレーニングした高齢者で大きな怪我を負った人は一人もいなかった」ということです。
高齢者にトレーニングをするクリストファーさん 写真:ヨナタン・ナックストランド
今回のシニアレポートでは、高齢者の転倒事故とトレーニングについてお伝えしました。転倒事故を防止するため、健康寿命を長くするためにもやはり常日頃トレーニングをするのが良いように思います。今後、シニアのためのトレーニング環境が充実してくるものと思われます。
今回のレポートでは、シニア男性の料理サークルのメンバーの声をレポートいたしたいと思います。
スウェーデン南部の小さな街で20年近くいっしょに料理サークルで料理をしているシニア男性グループがいます。サークルの参加者は様々です。この地に何百年も住んでいる家系の人もいれば、定年退職後、ストックホルムから移り住んできた人もいます。職業も農家をしていた人、警察官、暖炉職人、菓子職人な様々です。
キッチンで調理するシニアたち 写真:クリスチーナ・ヴィーリエン
調理は前菜担当、メインディッシュ担当、デザート担当の3つのグループに分かれてしています。数時間で自分たちでゼロから始めたフルコース料理が完成します。皆さん、みじん切りにしたり、焼いたり、皮をむいたり、ホイップしたりと、講師役の”料理の匠”の指導の下、調理をされています。 このサークルの最高齢の参加者は81歳で20年前のサークル設立当初からのメンバーです。また、一番若いメンバーは最近メンバーになった66歳の人だそうです。最近メンバーになった人は、「これまではあまり台所に立ったことはなかったんですが、このサークルに参加していろいろとインスピレーションをもらってます」と言っています。 また、別の参加者は「新しいことを学ぶのは楽しいし、こういったサークルに参加して、いろいろな人と交流するのは楽しいね。クリスマスパーティやバーベキューもやるし。社交的になることは大事だね」と言っています。 参加者の一人、トーマスさんも「ここでインスピレーションをもらって、家でいろいろ試せるしね」と言って同意しています。また、アンデッシュさんは「ただ残念なことが一つあるんだ。二週間に一回しか開催されないんだ!」と言っています。 サークルに参加して8年になるメインディッシュ担当グループのヤンさんは「最高なのはここにいる仲間だね。料理はよくやってるよ。掃除するのとかはあんまり好きじゃないからね。お袋が料理を教えてくれたんだ。簡単なやつから初めて、少しづつやっていったよ。家にいるときはほとんど料理してるよ」と言っています。その横にいた参加3年目のヨニーさん曰く、「俺は一人暮らしだから、嫌でも自分で料理しないといけないんだけどね」 デザートグループのケンネスさんは一部は家で作るものの、ここに来て皆と一緒にいることが大事だといっています。「いろんなことを吸収できるからね」
料理サークルが開かれてる集会所
現在この料理サークルで2週間に一度講師をしているラウリさんは「以前はレストランを経営してて、がむしゃらに働いてたけど、なんだかいっぱいいっぱいになっちゃってね。なにか別のことを始めようとおもったわけ。それで料理教室の講師になろうと思ったわけ」と言っています。 毎回作るメニューはラウリさんが考えています。季節に合わせた料理を考えるようにしているそうです。サークルで作る料理はスウェーデンの家庭料理ばかりというわけではありません。次回はアジア風の料理を作ってみるそうです。 また、ただ料理を作るだけではなく、それぞれの料理の名前と背景などについてもディスカッションするように心がけているそうです。
料理サークルで指導にあたっているラウリさん
今回のシニアレポートでは、男性シニアのための料理サークルに参加している皆さんの声をお届けしました。 今回ご紹介したサークルのほかにも、退職者協会の支部が会員のための活動の一環としてこうした料理教室、特に男性のための料理教室をたくさん開いています。今回ご紹介したサークルメンバーの声にもありましたように、退職後は積極的に人と交わる場に出ていくことで元気なシニア生活を送ることができるのではないかと思います。
今回のレポートでは、定年退職後も積極的に働き続けるシニアについてご紹介したいと思います。どうして、そしてどのような形で働いているのかをレポートいたしたいと思います。
インゲルさん(女性)は毎週木曜日と金曜日に掃除道具一式が入った箱を車に積み込み、自分で運転して仕事に行っています。インゲルさんは掃除婦として働いているのですが、実は74歳です。インゲルさんは65歳で定年退職した時に、仕事をしないということは考えられず、次に何をすればいいのかを友人に相談したそうです。友人は掃除婦として働いたらいいんじゃないとアドバイスしてくれたそうで、それ以来掃除婦として働いています。現在はシニアを雇用している人材派遣会社に籍を置き4件の顧客を持っています(事務所の掃除、お年寄りの家庭の掃除、子供がいる家庭2軒)。インゲルさんはゆっくり丁寧に掃除をするよう心がけており、顧客にも評判がいいようです。 ご本人は仕事のスケジュール、仕事量、共にちょうど良いと思っているようです。また、インゲルさんは長期休暇はとっていません。「月曜日から水曜日、土日は休みだからね」と笑いながら言っています。収入は手取りで月3万円程度だそうです。ご本人は「お小遣い程度だけど、年金が少ない私にとっては大事な収入」だと言っていますが、「お金も大事だけど、適度に外に出て、人に会うのも同じくらい大事だと思ってる」とも言っています。掃除婦として働くことで、自分の病気を予防することができるし、余計な薬を飲まなくても済むと思っているそうです。 家にいるだけだと、刺激がなくて退屈な生活になってしまうので、このような形で仕事をすることは大事なことだと思っているそうです。また、ダンス、ジム、カルチャー講座、読書、孫、知人に会いに行くなどやりたいこともやっており、外に出て人生を楽しんでいるそうです。インゲルさんは、もちろん強制されるべきではないが、他の人にもこういう生き方をおすすめしたいといっています。
ケント=アーネさん(男性)は63歳で定年退職後、家で退屈な日々を送っていたので、奥さんの勧めでシニア専門の人材派遣会社に登録したそうです。仲間もほしかったそうです。現在では70歳になるイミーさんとペアを組んで仕事をしています。週4日、朝、ケント=アーネさん(男性)の家にシニアを専門に雇用している人材派遣会社から送迎車が迎えに来ます。そのまま仕事場に行き、仕事を始めます。ケント=アーネさんとイミーさんは普段は、コーヒーブレイクをとることはあっても昼食のための休憩は取らないそうです。ケント=アーネさんの昨年の収入は手取りで150万円程度だったそうです。これも貴重な収入に違いありませんが、ケント=アーネさんはお金よりも、仕事をすることの楽しさを味わうこと、体を使うこと、そして社交的であることがより大事だと言っています。
ここでご紹介したケースのように、シニアに働く場所を提供するためにはシニア専門の人材派遣会社の存在が欠かせません。シニア人材派遣、年金受給者人材派遣、ベテラン人材派遣、ベテランパワーといった名前のシニアを専門に雇用している人材派遣会社があります。何れもまだ働きたいと思っているシニアに働く機会を提供しようという機運が高まった2007~2010年に設立された会社です。
人材派遣会社のホームページ
シニアを専門に雇用している人材派遣会社を経営するアンデッシュさんは「今日では、年金をもらっているけど働いてもいる、と言っても何もおかしくありません。現在登録している人の最高齢は76歳ですが、年齢制限(上限)はなく、68歳で働くのは普通です」と言っています。 働く時間は人それぞれだそうです。一か月のうち数時間しか働かない人もいれば、普通の仕事と同じように週40時間近く働く人もいます。働くモチベーションは、男性と女性で異なるそうです。男性の場合はとにかく働きたい、何かしたいというのが主なモチベーションで、女性の場合は社交的な生活をするためにという理由が最初に来るそうです。また、収入を得ることに関しては、以前何の仕事をしていたか、一人暮らしかどうかによって少し変わるそうですが、皆さん基本的にはそれほど重要視していないということのようです。 依頼内容としては、小さな街では掃除、ガーデニング、大工仕事、塗装などが多く、個人からの依頼では、子供の子守、洗濯、介護の補助などが多いそうです。また、大都市では企業のスタッフ補助などが多いようです。 シニアの仕事について研究しているルンド大学の二ルソン博士は人材派遣会社は登録している人が自由に職種や労働時間を選べるようにすることが大事だといっています。定年退職後どのような形で働きたいのかあらかじめ考えておくことが大事だとアドバイスしています。
今回のシニアレポートでは、定年退職後も積極的に働き続けるシニアについてお伝えしました。シニアを専門に雇用する人材派遣会社が誕生してから10年弱、人材派遣会社が活躍の場を提供し、定年後も積極的に働き続けるというスタイルが確立され、そして一般に認知されるようになってきたように思われます。
今回のレポートでは、スウェーデンのシニアの恋愛事情についてレポートしたいと思います。若いころの恋愛とはまた一味違う、キャリアを積んできたシニア、若いころあった束縛から解放されたシニアの恋愛についてお伝えしたいと思います。
アン・オルソンさん(66歳)は1995年に離婚して一人になってから、隔週で子供の面倒を見て、子供の面倒を見なくてよいときは大人の女性として人生を楽しむという生活を始めました(スウェーデンでは離婚した場合、父親と母親が一週間ごと交代で子供の面倒をみるという生活スタイルは一般的です)。離婚後、アンさんは新たな出会いを求めるためにネットのデーティングサイト(出会いサイト)を利用してきました。そして今では「デートのプロ」を自任しています。 「シニアになっても輝いている人がいるのに、自分はお菓子を食べながらテレビを見ているだけ」と劣等感を感じるのは何とも切ないものです。そういった切ない思いをしないためにもアンさんは恋愛することを勧めています。「恋愛は人生のスパイスですから」とアンさんは言っています。 アンさん自身は男性に会うことが好きだそうです。いつもインスピレーションをもらえると言っています。夢はいい人が現れたら、特別な関係を持つことだそうです。60~68歳ぐらいで、ユーモアがあって、自分というものをしっかり持っていて、アクティブで、旅行・映画・ゴルフ・コンサートが好きな人が理想だそうです。 アンさんは最初、個人情報を知らない相手に渡すことに抵抗があったそうですが、最近はそれほど気にしていないそうです。リスクを取らなければいい出会いはない、見知らぬ人とおしゃべりをするだけという軽い感覚でやるのがよいと言っています。時にはひどい出会いもあるけど、それは気にしないそうです。 ネットで相手を見つけることに抵抗がある人もいるかもしれませんが、アンさんは基本的にうまくいくと保証できると言っています。たとえデートがうまくいかなかったとしても、新たな出会いそして新たな知り合いができることはエキサイティングなことだと言っています。
スタファンさん(男性、67歳)は図書館司書として働いていましたが、2010年に離婚しました。その後の生活は問題なかったそうですが、何か恋愛関係を持ちたかったそうです。そんな、スタファンさんですが、同窓会で38年ぶりに学生時代同じサークルにいた同級生のハリエットさん(68歳)に再会して、意気投合し、メールで頻繁に連絡を取り合う世になり、レストランに行き、コンサートに行き、そして最近同棲するようになったそうです。出会ってから、数週間後にはFacebook上で「恋愛関係にある」と書き、6~7週間後には2週間の海外旅行にも出かけたそうです。ご本人たち曰く、また16歳か17歳ぐらいに戻ったような感じだそうです。将来結婚することも考えているそうです。 そんなお二人からのアドバイス -恐れるな -外に出て常に出会いを求める -Facebookは連絡がつかなかった旧友を見つけることができる便利なツール

80歳を超えてから同棲をはじめたカップルがいます。イングボールさんとフランク-ベッティルさん。共通の趣味であるダンスを通じて15年前に知り合ったそうです。当時、イングボールさんはずいぶん前に離婚した状態で、フランク-ベッティルさんはパートナーと死別したばかりでした。初めは同じアパートの別々の部屋に住んでいたそうですが、日中一緒に散歩するなどほとんど一日中一緒にいるのに、夜になると別々の部屋に戻ることがなんとなく不自然に思えたので、同じ部屋に住むことにしたそうです。 二人はダンスのほかにアコーディオンも弾き、一緒に作曲もするそうです。また、高齢者施設に慰問に訪れて演奏などもしているそうです。フランク-ベッティルさんは大工として働いていましたが、スポーツ好きでスキー、サイクリング、マラソンなどの趣味も持っています。イングボールさんは高齢者施設の看護師として働いていました。芸術、絵画に興味があるそうです。 イングボールさんとフランク-ベッティルさん
ひ孫もいる二人ですが、自分たちの生活に干渉されたくなかったので、一緒に住むことは親戚には特に相談しなかったそうです。二人とも人生をできるだけ楽しもうとしています。イングボールさんとフランク-ベッティルさんはサムボ(政府公認の事実婚。お試し婚。結婚している場合とほぼ同じ権利・義務がある)の関係にありますが、結婚する予定はないそうです。結婚するには歳をとりすぎているし、紙の上でのことなので特に重要視してないそうです。 そんなお二人からのアドバイスは、「お互い助け合い、人生をできるだけたのしもう」です。
今回のシニアレポートでは、シニアの恋愛事情についてお伝えしました。いつまでたっても情熱を持ち続け、人生を楽しむことは若さを保つ秘訣かもしれません。恋愛、新たな出会いを通して充実したシニアライフを送っていただきたいと思います。
ランチが食べられるようになる施設の一つ
完成予想図(不動産会社ホームページより)
フェーンスモモデルの開発者の一人、オーサ・スヴァン氏
スンツヴァル市内のフェーンスモン地区の在宅介護で試されることになりました。スタッフの人数は33人、介護を受ける人は53~97歳130人でした。2012年に最初の試験運用を始め、2014-2016年に改良が施され、2016年夏から本格運用、スンツヴァル市全域で取り入れられるようになりました。
このバンガード方式を改良して作られたフェーンスモモデルでは何かを「変更(改良)」するためには知識に基づいていなければならないという考えに基づいています。このモデルでは何かを改良(実行)するために3つのステップがあります。それぞれの段階での内容は前の段階での結果に基づいています。組織の管理者とスタッフは共同作業で実際の問題を解決するために次の3ステップを一緒に行います。
1.チェック
現在の活動の把握。何が、何故起こっているのかを知る。まずユーザー視点から見始める。このステップのゴールはニーズにこたえるための知識を得ること。
2.プラン
小規模での試験運用。目的に合う結果を得るために違った方法を試してみる。ステップ1で得たニーズにこたえるための知識をもとにプランを作る。このステップのゴールは改良のために何をすべきかという見識を産み出すこと。そしてそのタスクはどのようにオーガナイズされるべきかを理解する。
3.実行
このステップではステップ2で生み出された新しいシステム、例えば役割、責任、サポート体制の変更を実行する。
このようなステップを踏んで管理することによって、介護現場の状況を改善することができたそうです。このフェーンスモモデルは今年(2017年)、スウェーデン南部の街ルンドにあるリビングスカ記念財団よりエルドレ賞(高齢者賞)を受賞しました。
今回のレポートではスウェーデンで紹介されている、シニアのための「若く見えるヘアスタイル」(主に女性向け)についてお伝えしたいと思います。
具体的なTIPSの前に、まず勇気を出して色々なヘアスタイルを試してみよう、というアドバイスがされています。「気に入らなければまた髪の毛を伸ばせばいいだけ」と、気楽に考えることが大事だそうです。そして、「皆さん人とは違っていて、それでいて若く見えるヘアスタイルを見つけようとされていますが、例えば50歳なのに20歳のように見えるようにしようとは思わないこと」、ともアドバイスしています。髪型・メイク・洋服をマッチさせて実際より老けてみえないようにする、というのがポイントだそうです。 そしてヘアスタイリストは、ほとんどの女性が同じ間違いをしている、と言っています。メイクのし過ぎ、結局は実際より老けているように見えてしまう変な髪の毛の色、というのがよくある間違いだそうです。ちょっとしたことを変えるだけで、ガラッと雰囲気が変わるので、ちょっとした変化と、ちょっとした勇気が必要なだけと言っています。 それではスウェーデンで紹介されているヘアスタイルに関する5つのTIPSをご紹介したいと思います。
もちろんその人の顔立ちにもよりますが、もう長い髪が似合う歳ではないかもしれません。人の顔は歳を取るにつれて、面長になる傾向があります。長いストレートヘアは顔を必要以上に面長に見せてしまう可能性があります。ですので、髪を以前よりも少し短めにするほうがいいかもしれません。間違いなく、ボブかピクシーカットがおすすめです。この二つは間違いなく、ほとんどの人が無理なく若く見えます。 Mappieと呼ばれるアクティブな50歳以上の女性を対象にした雑誌 M-マガジン。ヘアスタイルの特集。
もし若く見られたいなら、フリンジヘアを試してみるのもいいかもしれません。フリンジにもストレート、パーティッド、ブラントなど色々な種類がありますが、一つだけ注意しておかないといけないことは、顔が幅広く見えてしまう傾向にあるということです。ですので、色々な種類を試して自分に合うものを見つけることをお勧めします。
レイヤーカットは若く見せるための定番です。ダイナミックかつ新鮮で、エキセントリックな感じもちょっと与える髪型です。ただし、似合う髪型にするには技術がいるので、腕のいいヘアスタイリストに頼むのが良いでしょう。よくあるのはロングヘアーで、ストレートあるいはカールした髪型でのレイヤーカットですが、短めの髪でももよく似合います。ボリュームがある感じの髪型になるでしょう。レイヤーカットはもっと短い髪でもできます。その場合のポイントはフリンジをうまく組み合わせること。サイドのほうに向けて切ってみて、いい感じに乱れたようになれば、若く見えるかもしれません。
(こちらのアドバイスは、一般的な日本の方には当てはまらないかもしれませんが、そのままご紹介したいともいます。) 誰しも一度は金髪にするものです。金髪(金色)は若さと直結していると言ってもよく、若く見られたいときは大体皆さん金髪を選ばれます。しかし、いつもそれでうまくいくとは限りません。かといって、銀髪も少しリスクがあります。そして、肌の色との兼ね合いもあります。一般的に、こげ茶色の肌は金色系の色と相性がいいです。いずれにしても、派手で奇抜すぎる色は避けたほうが良いでしょう。2~3のお気に入りの色のコンビネーションを試してみるのも手かもしれません。

前掲のM-マガジンのヘアスタイル特集
もし、ボブスタイルにするのであれば、後ろ髪をちょっと短くすると良いかもしれません(ただし、もし額が広いのであれば、実際よりも老けて見えるかもしれません)。 髪型を決める際には自分の顔立ちに合わせて髪型を選ぶ必要があります。例えば雑誌やインターネットで調べて、いい髪型があったとしても、そのモデルの人が自分と全く違う顔立ちだと、同じ髪型をしても合うとは限りません。何が一番自分に似合うかをよく考えましょう。そして、肌の色も考慮に入れる必要があります。プロのヘアスタイリストの意見を聞くのもお勧めです。専門家だけあって色々なことを知っていますし、経験もあります。 そして最後に、髪型を変えることで若く見せるだけでなく、何歳になっても自分自身(内面)が魅力的であるようにしましょう!
今回のシニアレポートでは、若く見えるためのヘアスタイルに関するTIPSをお伝えしました。ここに挙げたTIPSを是非試して、ご自分に似合う新しいヘアスタイルを見つけていただきたいと思います。
今回のレポートでは、孤独や鬱に悩む高齢者のための電話の相談窓口(ホットライン)についてレポートいたしたいと思います。
多くの高齢者が誰とも会話をすることなく、孤独に座っています。スウェーデンでは約15万人(全人口の1~2%に相当)の高齢者が鬱状態にあるとされています。そして、毎年1500人の人が自殺によって命を落としており、このうちの1/4は高齢者です。これは毎日一人の高齢者が自殺していることになります。そのため鬱状態にある高齢者に温かい言葉をかけて元気づけることは非常に重要なことです。最近では孤独な高齢者のためのホットラインサービスがあります。2016年には約2000人の高齢者が高齢者ホットラインを利用しました。利用者数は年々増加しているそうです。こういった高齢者ホットラインは多くのボランティアによってその活動が支えられています。
相談に乗るオペレーター 写真:高齢者向けホットラインのサービスを行っている組織MiNDのホームページより
トーシュテンソンさんはボランティアでこの高齢者向けホットラインのサービスを手伝っています。2週間に一度、水曜日に約2時間半、トーシュテンソンさんはスウェーデン全国の高齢者の人たちから電話を受け、話をしています。この程度の頻度と時間であればボランティアでやっていけると言っています。トーシュテンソンは現役で仕事をしていたころは高齢者介護の分野で働いており、定年退職後も経験を生かせる関連分野で仕事をしたいと思っていたそうです。このボランティアを始めた最初のころは電話をかけてきた高齢者の方に何か「解決策」を提示しようと一生懸命だったそうです。そして、できるだけ早く解決策を提示しようとしたそうです。しかし、すぐにそういうことではないと気が付いたそうです。すぐに解決できるような問題であれば、すでに解決されているはずで、簡単な解決策がある相談ばかりではないと気が付いたそうです。 「人生の危機に関しては、一歩引いて、ちゃんと話を聞き、確認する必要があると思いました。時にはただ誰かと話をしたい、自分の思っていることを誰かと共有したいだけということもあります」とトーシュテンソンさんは言っており、状況に合わせて対応しています。 「孤独」は高齢者が抱える大きな問題の一つです。連れ合いを亡くした、外出することが難しい、親戚や友人が遠くに住んでいるなど、様々な状況があります。そしてそういう状況では何も話さず、空虚な時間を過ごすことになります。トーシュテンソンさんは「会話は一種の特効薬で、何か人生に光が差し込んできたような気がして、幸せな気持ちになります」と言っています。
トーシュテンソンさんのもとに高齢者からかかってきた電話の例をいくつかご紹介したいと思います。 最初の電話はある高齢者女性からのもので、彼女は定期的に電話をかけてくるそうです。話すことが好きで、病院でもらった新しい薬の話や、今度テラピーを受けるといった話だそうです。トーシュテンソンさんはそんな話を注意深く聞いてあげ、時に温かい言葉を投げかけ、時に簡単な質問をします。この女性は「私は何度も自殺未遂をしたことがあるんだけど、トーシュテンソンさんは知ってました?」と聞いてきます。 トーシュテンソンさんは「一回はあったとは知ってましたが、何度もとは知りませんでした」と優しく落ち着いて答えます。しばらく会話をしていると女性の声が少し明るくなったように感じました。トーシュテンソンさんはだれがいつ電話をしてきてどんな会話をしたかをノートにメモしています。次回電話で話すときにそのメモを役立てています。それに加え、ボランティアに携わっている人は全員、パソコン上でどんな会話をどれくらいの時間をしたか、電話をしてきた人の状態などをメモしてデータベースに保存しています。
写真:高齢者向けホットラインのサービスを行っている組織MiNDのホームページより
次にご紹介するものは以前にも電話をしてきたことがある、小さな町に住む高齢者女性です。この女性は夜よく眠れないと言ってきています。毎日平凡で、何の進展もなく、どこかへ行っても誰とも話さず、孤独だと言ってきています。トーシュテンソンさんは夜起きているとき何をしているかや今日何が起こったかと質問します。女性は「何も」と答えるだけです。「時々料理をしたりもするけど、歳をとる食欲もそんなにない」と言っています。それから、その女性は「ある有名な政治家が「高齢者の孤独はスウェーデンで最も憂慮すべきことの一つだと」インタビューで答えていたのを聞いて、大きくうなずいたと」といったような話にもなりました。そのような話をしているうちに女性はトーシュテンソンさんの質問にも答えてくれるようになり、女性の気持ちがだんだん軽くなってきたのが分かったそうです。 三番目の電話は男性からで、最近お母さんを亡くされ、孤独を感じている方です。不安、孤独などについてトーシュテンソンさんに語り、トーシュテンソンさんはどう思っているかを聞いてきました。トーシュテンソンさんは「アドバイスを送るのは難しいです。」と素直に答えます。そして、「教会にも相談なさってるようですし、同じような境遇の人が集まる教会での集会のようなものに参加されてみてはどうですか?あるいは心療科に行かれるのもいいかもしれません。」と具体的な代替案を提案していきます。会話を進めるうちに電話をかけてきた男性は簡単な解決策はないのだと気づきました。 自殺に結びつくことが最も深刻なことですので、トーシュテンソンさんは「鬱と自殺は強く結びついていますので、ネガティブな考えを取り去り、希望を持ってもらえるようにすることが非常に重要になってきます。」と言っています。そして、「この活動をやっていて、多くの高齢者の精神状態があまりよくないことを実感します。そして、こういった高齢者向けのホットラインを充実させる必要があると感じます。また、それと同時に、こういったホットラインを通した会話の次にはどうなるのか、次の段階に何をすべきか、ということも自問しています。」と言っています。
今回のシニアレポートでは、スウェーデンの高齢者向けのホットラインについてレポートいたしました。今後もこういったホットラインの需要は増えると思われます。今後、よりサービスを充実させ、孤独な高齢者を減らしていくことが大事だと思います。そして、将来的にはすべての高齢者がホットラインを利用する必要がないような、精神的にも肉体的にも健康に過ごせる日が来て、ホットラインが発展的になくなる日がくることを願っています。
様々な分野でデジタル化・オンライン化が進んでいる昨今ですが、最近スウェーデンで行われた調査によれば、まだ40万人(スウェーデンの全人口の約4%)近くの高齢者がデジタル社会から取り残されているそうです。今回のレポートでは、高齢者のデジタル社会におけるスウェーデン国内の状況、今後の対応などについてレポート致したいと思います。
■デジタル社会と高齢者
「新技術と高齢者の日常」についての調査・研究で、65歳から85歳までの高齢者を対象に、デジタル技術(パソコン・スマホ・タブレットなどの端末・インターネットなど)の使用・不使用について調査が行われました。次のグラフがその結果です。
65歳から85歳の高齢者のデジタル端末(パソコン・スマホ・タブレットなど)の所有台数とその割合 出典:Artikelförfattarnas forskning
このグラフから65歳から85歳までの高齢者で5台以上の端末を所有・使用している人も数%いますが、20%の人がインターネットに接続できるデジタル端末を一台も所有していないことがわかります。こういった人たちはパソコンやインターネットが登場する以前と同じ生活スタイルで生活しています。そのため、日常生活でバスの時刻表を調べたり、銀行口座に関する操作をしたり、電話帳を調べることが難しくなります(注:スウェーデンでは様々な分野でオンライン化が進んでいます。バスの時刻表はまだほとんどのバス停で掲示されてはいますが、バス停によってはもう掲示していないところもあります。時刻表はスマホのアプリ、インターネットで調べる方法が一般的です。また、銀行口座(振り込みなど)の操作は基本的にオンラインで行われます。そのため、銀行に行っても日本のようにたくさんお客さんがいることはまれです。電話帳については数年前から基本的に発行されなくなりました。こちらもインターネット上で検索するのが一般的です)。20%の高齢者という数字は無視できない数字です。最近ではアンケートなどがFacebook上で行われたり、ネット上で行われたりしていますが、この20%の人達の意見は反映されていないことになります。 高齢者がデジタル機器を使用していないのは、世代的なもので、まだ高齢者になっていない、現在デジタル機器を使用している人たちが10年、20年後に高齢者になれば自然と高齢者のデジタル端末使用率は増えるのではないかと思われる方もいるかもしれません。この考えはある意味正しいけれども、完全にそうだというわけではないようです。研究者によると、これはデジタル社会への移行期の一時的な問題ではないようです。研究者によると、デジタル端末を所有し、デジタル技術を使用することは世代だけの問題ではなく、年齢の問題でもあるそうです。調査結果を分析したところによると、定年退職後にデジタル端末の所有率、デジタル技術の使用率が下がるという傾向があることがわかりました。そのため、完全に世代の問題ではないというわけです。 また、次のような人がデジタル端末を所有しており、その使用率も高いことがわかりました。 -収入が高い人 -仕事でデジタル端末を使用していた人 -家族とのつながりが強い人・交友関係が広い人 デジタル技術を使用するには維持費もかかります。スウェーデンでは一般的に個人でパソコンや携帯端末を所有したり、インターネットを利用したりすると、年に10万円はかかると言われています。そのため、収入も重要な要素となります。また、仕事でパソコンなどを使用してこなかった人たちにとっては、デジタル技術・インターネットを利用することはまだ敷居が高いようです。仕事で使用している人、近くに使い方などの相談できる人にとっては問題ないかもしれませんが、そうでない人にとってはまだ抵抗があるようです。 定年退職後は収入も人との繋がりも減る傾向にありますし、歳を取るにつれ、毎日のように出てくる新しい技術・新しい端末の使用方法を習得することが難しくなります。ラジオやテレビは使い方を覚えるのはさして難しくありませんし、10年でも15年でも使うことができます。しかし、デジタル端末の使い方をマスターするのは難しく、サポートの打ち切り、端末が対応しておらずアップデートができないなどの理由で5年以上使うことはまれです。また、新しいタイプの端末・装置が登場したとき、新しいものに移行できずに取り残されてしまうこともあります。例えば、パソコンは操作できたけど、タブレット端末はできない。パソコン・タブレット端末は操作できるけど、スマートウォッチは使いこなせない、などなど、新しい種類のデジタル端末が出るたびにふるいにかけられるように、新技術についていけない人が出てきてしまい、デジタル社会から取り残されていくようになります。
写真:シニアネット・スウェーデン協会のホームページより
デジタル化の弊害がクローズアップされているように見えますが、こういった調査結果をもとに研究者たちがデジタル化を阻止しようとしているわけではありません。デジタル化・オンライン化を進めるにあたって、情報弱者の意見ももっと取り入れるべきだと提案しています。インターネットを利用してオンラインで様々な処理ができるようになってきていますが、デジタル、オンラインサービスを利用できない人のために代替のサービスも用意すべきで、行政は従来通り電話、郵便、家庭訪問によるコンタクトも引き続き提供すべきであると研究者は言っています。また、すでにデジタル端末を使用している高齢者に対するサポートも重要だと言っています。新しい技術、新しい種類の端末などがでても、デジタル端末を使い続け、デジタル技術の恩恵を受け続けることができるようサポートをする必要があると言っています。そういう意味では、例えば民間団体の「シニアネット・スウェーデン協会」の取り組みなどはよい例だと研究者は言っています。この協会ではシニア向けのIT講習、オフラインでの会合などを催しています。国民がデジタル社会・デジタル技術の恩恵を受けられるように、国民のデジタル機器使用のスキルの底上げは重要課題であると認識されています。民間団体(NGO)の活動だけでは限界があり、国が援助すべきだと研究者は言っています。
■まとめ
今回のシニアレポートでは、デジタル社会における高齢者の現状について報告いたしました。デジタル化から逆行すること、デジタル社会からまた昔の非デジタル社会に戻ることは基本的には考えにくく、今後もデジタル化・オンライン化は進むと思いますが、誰もが恩恵を受けられるようにサポートを充実することが重要になってくると思われます。
毎年10月下旬にストックホルムで開かれているシニア展が今年(2017年)も、10月24日から26日まで、3日間開催されました。2011年から毎年お伝えしているストックホルムでのシニア展の様子ですが、参加者・展示ブースの数は右肩上がりに増え続けており、ますます盛況です。今年は、来場者数は延べ14309人で前年比で+7.6%、展示ブース(参加企業)は約260でこちらも去年を上回っています。3日間で30件近くのシニアを対象にした講演・音楽公演も行われました。今回のレポートではそのうちいくつかをピックアップしてお伝えしたいと思います。
■DJグロリア
会場では「DJグロリア」によるディスコが開かれました。スウェーデンで最年長の女性ディスクジョッキー(DJ)である「DJグロリア」ことマデリン・モンスソンさんは73歳です。 モンスソンさんは60歳の時、9年間看病したご主人を亡くし、その二ヵ月後にはお母様も亡くされました。無気力、鬱の状態に陥ったそうですが、医者には健康上の問題はないと言われたそうです。そういった状態から抜け出すためにジム通いを始めたそうですが自分に合っているとは思わなかったそうです。ジムの中で流れる若者向けの「酷い音楽」にうんざりし、シニア向けのジムにも参加したけれども、今度はあまりにもスローテンポで合わなかったそうです。 そこでエアロビのインストラクターになることにしたそうです。自分でエアロビのトレーニング中に使う音楽の再生リストを作成したところ参加者の評判が良かったそうです。そのとき、DJになることに興味を持ったそうです。友人の息子さんがDJをしており、その人からアドバイスをもらい、62歳の時一念発起し、DJの勉強を始めました。そして64歳からDJとしての活動を始め、現在はスウェーデン最年長の女性DJとして活動し、50歳以上のシニアを対象としたディスコ「グロリア50+ディスコ」を運営しています。ライブでは前もって再生リストを作ることはせず、その場で、お客様を見ながら、掛け合いで、曲を選択するそうです。シニア展の会場でもライブを開催し、来場者がDJグロリアの曲に合わせて踊っていました。 DJグロリアはエネルギッシュな人で、DVDを出したり、雑誌に登場したり、退職者協会が主催する健康をテーマにした旅行に招待されたりと、多方面で活躍しています。そんなDJグロリアさんは「時には違う環境に身を置いて、脳を刺激して、クリエイティブになろう」と言っています。
DJグロリア 出典:シニア展Facebookページ
これまでにも何度かレポートいたしましたが、定年退職後も働き続ける人が増えてきています。シニアは昔に比べて元気でアクティブ。定年退職しても完全に仕事から退くのはまだ早いと考えている人が多いようです。シニア展では、シニア人材派遣会社「ベテランクラフト」のベンクトソン氏が講演を行いました。 シニア人材派遣会社(55歳以上対象)のベテランクラフトには55歳以上の人が1万人以上データベースに登録されているそうです。ベテランクラフトのベンクトソン氏によると、定年退職後数か月もすると、現役時代はあった社会とのつながりが薄くなり、パートナー(妻・夫)がまだ現役で働いている場合は一層疎外感が強くなるそうです。人材派遣会社に登録することで、社会とのつながりを保つことができるとベンクトソン氏は言っています。ベテランクラフトでは、いつ、どれくらいの量仕事をするかを自分で決めることができると言っています。1週間に1日だけ働くのも良し、一か月しっかり働いてお金を貯めてその後長期旅行に行くのも良し。その人に合わせたいろいろな働き方が可能です。求人は個人の依頼主から会社の依頼主まで合わせて1週間に150~200件あるそうです。派遣会社では事務員、教師、庭師、職人など幅広い分野での人材を提供しています。しかし、1万人登録していても顧客からの要望に応えることができない場合もあるそうです。そのため、顧客の要望にできるだけ応えられるように社内でも能力開発を行っているそうです。例えば、木を伐りたい人のためにチェーンソー使用のための免許取得のコースを用意しており、登録しているシニアの能力を開発していく活動も行っています。
■シニアのファッション
主にシニアの女性向けの製品を展開しているアパレル会社社長のベルグッデン氏がシニア展でファッションについての講演を行いました。 最近、シニアの方もファッションに注目しているそうですが、流行を追うという意味ではなく、着心地が良く、質がいいものに注目しているということのようです。ベルグッデンさん曰く「流行を追いつつも、自分に合ったものを求めている」そうです。シニアのファッションと普通のファッションとではどう違うのかというと、シニアのファッションでは「自分の体にフィットするかが問題」なのだそうです。 ベルグッデンさんンは、シニアのファッションについて次のように言及しています。 「歳と共に体形が変わってくるので、それに合わせてファッションをどう変えるかということを考えなければならないようになります。ゆったりした服を着てみたくなるかもしれませんし、歳と共にたるんできた腕を隠すために長めのシャツを着たくなるかもしれません。それから、幅広の靴を履いたりすることも必要になってくるかもしれません。シニアももちろんファッショナブルでありたいと思っています。できればかかとの高い靴を履きたいと思っているかも。でも多くのシニアが外反母趾などの問題を抱えています。そのため、靴は小さすぎないものを履くことが重要になってきます。ファッショナブルでありつつ、快適であることを目指しましょう。この秋(2017年)はビロード・メタル系で、明るい柄のものが流行だ。色に関しては引き続きピンクが流行です。ピンクという色はシニア、特に銀髪の人にとっては有難い色なんです。私自身、髪を染めるのをやめて銀髪にしたとき、トーンが変わったことに気が付きました。そして、突然明るい色が似あうようになりました。銀髪の方はパステルカラーが良いでしょう。」「年相応の恰好をしないといけないのでしょうか?」という質問には「そんなことはありません。本人が何を着たいかです。朝着替えてみて、いい感じだと思えばそれでいいのです。自分に合った洋服を着ると自然とファッショナブルになります」と答えています。
アパレル会社社長ベルグッデン氏
■まとめ
今回のレポートでは、ますます好評のシニア展2017についてお伝えしました。講演を行った人たちの中から3人の方を選びご紹介いしました。ご紹介したシニアの生き方、働き方、ファッションの他にも旅行、健康、飲食関係など様々な講演が行われ、今年も盛況のうちにシニア展は幕を閉じました。
今回のレポートでは久しぶりにスウェーデン紀行をお送りしたいと思います。毎年12月、クリスマス近くになるとになるとスウェーデンもいわゆる忘年会シーズンとなります。スウェーデンではクリスマステーブルという意味のユールボード(Julbord)を食べるクリスマスパーティが頻繁に開かれます。職場の集まり、習い事の集まり、家族と一緒になど様々なグループで何度もユールボードを食べることもよくあります。今回はこのユールボードについてお伝えしたいと思います。 ユールボードは少し高級なレストランやホテルのレストランなどで食べることができます。バイキング形式となっており、自分の好きな料理を取っていくスタイルです。
典型的なユールボード
クリスマスでないときでも食べるものもありますが、代表的なクリスマス料理としては「ヤンソン氏の誘惑」、「ユールフィンカ」と呼ばれる少し特別なハム、ミートボール、ニシンの酢漬け、ソーセージ、そしてgravad lax(グラヴァード・ラックス)と呼ばれる生に近い鮭に香辛料などで味付けしたものなどがあります。このほかに豚の角煮のようなものもあります。
ヤンソン氏の誘惑
「ヤンソン氏の誘惑」はジャガイモ、玉ねぎ、アンチョビなどで作るグラタンのようなものです。また、ユールフィンカは、軽く塩で味付けされたハムで、少し厚めに切って供されます。ニシンの酢漬けは、様々な味のソースで味付けされたものが供されます。ユールボードは食べる順番がある程度決まっており、基本的には冷たい料理から食べ初めて、暖かい料理へと進みます。
ユールフィンカ
伝統的には上でご紹介した料理が並びますが、ここ数年新しいメニューも追加されているようです。例えば、ベジタリアンの人のためのメニューが追加されたりしているようです。また、同じスウェーデン国内でも地方によっていくつか、その地方独特のメニューがあるようです。また、高齢者施設などでもユールボードを食べますが、高齢者にとってはカロリーが高すぎたり、胃に負担がかかったりするような場合があるので、特別なメニューも追加されているようです。
様々な味のニシンの酢漬け
バルト海クルージングでのユールボードも人気です。ストックホルムからお隣のフィンランドやラトビア、エストニアなどへ船が毎日出ており、24時間~48時間のクルージングが楽しめます。船室は安い部屋ですと4人で3000円程度(4人一部屋)で非常にお手頃です。クルージング会社としては客室では収益を上げず、船内のレストランや免税店、その他のお店でショッピングをしてもらうことを期待しているものとおもわれます。船内のレストランでは通常もバイキング形式の食事などが楽しめますが、クリスマス時期はこれがユールボードとなり、特別なメニューが追加されます。退職者協会の会員の方もよくクルージングでユールボードを楽しんでいるようです。
船内のレストランでユールボードを楽しむシニア 出典:退職者協会PROのホームページより
今回のレポートでは、クリスマス時期に食べるユールボードについてご紹介いたしました。筆者も職場で一回、家族で一回とすでに二回ユールボードを食べています。そして、あと一回は食べる予定になっています。午後3時ごろには暗くなるこの季節、ユールボードはスウェーデンの人たちに、楽しい、華やいだ時間を提供してくれます。
今回のレポートでは、エクササイズ・日常生活での運動についてお伝えしたいと思います。これまでにも運動・トレーニングの重要性についてはレポートしたことがありますが、今回は簡単にできる運動方法もご紹介したいと思います。
毎年、年末年始は食べ過ぎて、しかも運動不足になりがちです。そして、今年こそは積極的に運動をしようと思い、トレーニングジムに登録したりします。筆者もその一人です。 スウェーデンでのテレビ出演などで知られている医師のマグヌス・エリクソン氏の運動・トレーニングに関する見解を以下にご紹介したいと思います: これまでに運動は健康によく、また、寿命を延ばし、病気を予防あるいは健康を回復するためにも良いという報告が多くなされています。認知症、鬱、心臓疾患などの対策にもなるといわれています。しかし、そもそも病気になってしまったりすると運動することが難しくなります。また、健康であっても、もともと運動をすることが嫌いな人もいます。運動をするということは、長寿や病気予防に対して絶対的な保証はないとはいえ、一般的に良い効果があります。 「トレーニングをしていない」というと「自分の健康に気を使っていない。ダメな人。病気になるのも自己責任」 といった、マイナスのイメージを持たれがちです。また、トレーニングというと何か特別なもので、体のどこそこの部分を強化してという意識をもって、ジムなどで時間を決めてちゃんと行うというイメージが付きまとっています。そして日常生活で体を動かすこと、例えば、バス停まで歩く、掃除・洗濯をする、雪かきをするなどはあまりトレーニングとはみなされません。しかし、これらも立派なトレーニングで非常に効果があります。 病気であったり、精神的に不安定な状況であったりすると普通に体を動かすことは難しくなります。そういった状況ではさらに筋力が弱くなることを防ぐために筋肉を使うことがより一層重要になります。専門的ないわゆる「トレーニング」ではなく、体を単に動かすことも重要です。ここで「体を動かす」というのは筋肉を使う動作すべてという意味です。筋肉を使えば使うほど筋力は回復します。また更に使えば、高齢者でも筋肉を増強することができます。病気などで、通常通り体を動かすことができない場合は、筋肉がさらに弱くなることを防ぐために「筋肉を使う」ということが特に重要になってきます。 高齢者が体を動かすことに関しては、バランス感覚のトレーニング、(骨の)強度、体調がキーワードになってきます。30歳を過ぎると、10年で5~10%の割合で筋肉が衰え、骨の強度も急激に落ちてきます。また筋肉の瞬発力は体のバランスに直結するため、筋肉を強化するだけでなく、その瞬発力も大事になってきます。
マグヌス・エリクソン医師(右) 写真:テレビ番組Kvartersdoktornのホームページより
医師のマグヌス・エリクソン氏はこのように言っており、1回に30分ほど、汗をかいて心拍数が40~50%上がるような運動(散歩、掃除、スキーなど)をするとよいでしょうと言っています。また、「(ジムなどで)トレーニングをすることは良い、そして(日常生活で)体を動かすことはもっと良い」と言っています。
マデリン・モンスソンという名前をどこかで聞いたことがないでしょうか?以前ご紹介したスウェーデン最高齢の女性ディスクジョッキー(DJ)のDJグロリアの本名です(2017.11.15日付レポート参照)。以前のレポートで少し触れましたように、マデリンさんはDJとしてだけではなく、トレーナーとしても活躍しています。マデリンさんは家で簡単にできる、トレーニング方法をたくさん提案しています。シニアでも簡単にできる、あまり体に負担がかからない運動です。今日はその中の一つ、「座ったままトレーニング」をご紹介したいと思います。座ったままのトレーニングですので、汗だくになるようなトレーニングではありませんが、それでも血液の循環や、筋肉増強、バランス感覚を養うのに効果があるとマデリンさんは言っています。それではエクササイズのやり方をご紹介したいと思います。 まずは、背もたれのある椅子に座って、全身の力を抜きリラックスをします。椅子の背もたれに丸めた背中をつけて、腕や肩、脚の力を抜きます。両手は腿のところに置いておきます。ちょっと沈んだような感じで座ります。静かにゆっくり、自然に呼吸します。 次に椅子の前の方に移動します。背もたれから離れて、背筋をまっすぐ伸ばします。少しきつくないですか?これが「アクティブに座る」ということです。これで腹筋を鍛え、姿勢をよくすることができます。肩をリラックスさせてください。目を閉じてエクササイズに集中してください。馬に乗っているようなつもりで、ゆっくりと自然に呼吸します。そしてさらに3回呼吸してから、再び椅子に深く座り、背もたれに背をつけます。少し背中を曲げて、リラックスします。リラックスして座っていることを感じて、背中を休めてください。これでワンセットのエクササイズです。 このエクササイズを毎日、一日数分やってみてください。目標は背もたれなしで「アクティブに座る」状態を疲れることなく、長く続けることができるようになることです。何かが劇的に変わるということはないかもしれませんが、もし長時間座るような生活をしているのであれば、体が弱ります。できるだけ体を動かす必要があります。30分に一回は体を動かしましょう。腕を回したり、膝を動かしたり、少し歩いたりしましょう。それだけでずいぶん違います。 このほかにもキッチンエキササイズというのもあります。普段よく使う食器やコップをあえて高いところ、あるいはものすごく低いところに置くというものです。こうすることで、取り出すたびに屈伸や伸びをする運動をすることになります。こういったちょっとした運動の積み重ねがシニア世代には効果的です。
デモンストレーションをするマデリン・モンスソンさん 写真:クリスチャン・ポール
今回のレポートでは、日常でのちょっとしたエクササイズの重要性、そのエクササイズの例をご紹介しました。健康な体をキープするために日常生活の中で、こまめに運動をすることを心掛けたいところです。私も意識して運動を生活の中に取り入れようと思います。
今回のレポートでは、シニア・高齢者向けの料理の向上を目的に行われている料理コンテストについてお伝えしたいと思います。
高齢になると食欲の衰え、栄養不足などが問題となります。味覚は衰え、歯も悪くなってきます。そういう状況では、栄養があって、食欲が出るような料理の存在が重要になってきます。残念なことに、「シニア向け料理」というとだいたい悪い意味で使われます。例えば、電子レンジで温めるだけの、プラスチック容器に入った味気ない料理というような意味です。 そういった状況を改善すべく、アーラというスウェーデン・デンマークを拠点に乳製品を製造・販売している会社が毎年シニア向けの料理のコンテストを開催しています。シニア向けの他にも、同時に幼稚園児向け料理、学校給食料理のコンテストも開催しています。コンテストのシニア向け料理の部門にはシニア向けの料理を提供しているレストラン、シニア向けの料理を重視しているレストランであればだれでも参加できます。書類審査でセミファイナリストが選ばれ、3チームがファイナリストに選ばれます。そして、その中から優勝者が選ばれます。勝者には正賞であるアーラ金牛賞の他に賞金約50万円が贈られます。 2017年度の優勝チームは、スウェーデン南部にあるボースタッド市の介護福祉施設のレストランでした。2017年度の優勝チームのシェフのミカエル・ラーセンさんはインタビューで「高齢になると若いころに比べ、味覚が30%ほど落ちると言われています。そのことを考え、料理からスパイスを取り除かないようにしています。以前は、スパイスの量を減らしていたのですが、今では逆にスパイスの量を30%増やしています」と言っています。
2017年度金牛賞を受賞したミカエル・ラーセンさん(左から3人目)とそのチーム 写真:イダ・エクルンド
2018年度のファイナリストはカテリンホルム市のイーゲルコッテンレストラン、ヨーテボリ市のトレー・スティフテルセルとテービー市のバーダーガ・シルバーパークの三つのレストランに決まりました。この三つのレストランは、規模は大きくありませんが、シニア向け料理をメインにしているレストランです。 イーゲルコッテンは自然素材にこだわっており、数種類のランチメニューとサラダバーから好きなものを選べるようになっています。シェフは色々な味を試すことをお客さんに進めており、夕方にはパブを開いたり、ランチにライブミュージックを提供したりと色々工夫しています。また、年に一度、2日間にわたり、料理祭りを開いています。
イーゲルコッテンの料理
トレー・スティフテルセルは自家製のパンが売りです。バーベキューやザリガニパーティーなどなど様々なイベントを開催しています。また、イベントを通じて、良い料理を提供するには何が必要かも一つ一つメモしています。 バーダーガシルバーパークでは飼っている4羽の鶏からの新鮮な卵を料理に使っています。また、温室で育てている新鮮なハーブも料理に使っています。また、お皿の端がわかりやすいようにふちを赤く彩ったお皿を使うなど、細かい気配りもしています。
決勝に残ったバーダーガシルバーパーク。視認性を高めるため、お皿のふちに赤い線が入っている。
2018年度のコンテスト優勝者は2018年5月に決まります。
今回のレポートでは、シニア・高齢者向けの料理のコンテストについてお伝えしました。こうしたコンテストを通して、質の高い料理をより多くの高齢者の方々に提供できるようになれば良いと思います。
今回のレポートでは、3~4年前にも一度お伝えしたことのあるシニア向けのファッションショー、シニア自身によるファッションショーについて久しぶりにレポートしたいと思います。 以前のレポートについては2014.08.18付けのレポートを参照していただければと思います。
最初は今月(2018年3月)スウェーデン南部にある街、ランドスクローナの高齢者施設でのファッションショーについてお伝えしたいと思います。 入居者の一人、ウルフさんは「ファッションは大事だよ、その人のスタイルが現れるからね」と言っています。けだし名言です。ウルフさんは紳士的な服装を心掛けているそうです。「紳士的な服装」とはどういった服装なのかを聞いてみると・・・「そりゃ、俺みたいなファッションさ」。
ウルフさん 写真:スベン-エリック・スベンソン
ウルフさんが入居している高齢者施設で開かれたファッションショーでは、入居者がモデルとなって特設のキャットウォークに颯爽と登場しました。このファッションショーは、年二回、この高齢者施設を訪れて展示販売を行っているアパレルメーカーによって企画されたものです。通常は展示して販売するだけなのだそうですが、今年は何かちょっと違った、楽しいことをやりたいということでファッションショーを企画したそうです。
出番を待つモデル(入居者) 写真:スベン-エリック・スベンソン
続いてお隣フィンランドの街、ヤコブスタードでのファッションショーについてお伝えしたい思います。ヤコブスタードはフィンランドの街ですが、スウェーデン語話者が半数近く住んでおり、ヤコブスタードという街の名前はスウェーデン語の名前です。フィンランド語ではピエタルサーリとなります。 この街ではチャリティー団体の主催で年に3~4回ファッションショーが開かれており、ここでもモデルはシニア・高齢者住宅の入居者です。 参加者からは「もう70歳近くになるけど、やっぱり緊張するわね」、「モデルは熟女で美人ぞろいよ。百歳になるけどね」、「自宅で鏡の前に何度も立ってファッションをチェックしたわ」といった声が聞かれました。 ファッションショーで使われる洋服は様々なルートから集められ、このファッションショーでアパレルメーカーの評判も決まります。 「洋服は基本的に高齢者向けにデザインされているので、どれも着やすいものとなっています」と主催者は言っています。 ファッションショーでの収益は社会福祉課に寄付されるそうです。
ファッションショーでの一コマ 写真:ペトラ・ハービスト
また、スウェーデンの退職者協会の一つであるSPFもファッションショーを開催しています。こちらはファッションショーとともに夕食会、コンサート、くじ引き大会なども行われ、ひとつのイベントとして確立されている感じがあります。参加者は本職のモデルさながらにキャットウォーク上に登場します。
SPF主催のファッションショー 写真:SPF
今回のレポートでは、シニア・高齢者向けのファッションショーについてお伝えしました。生活の中にこういったスパイスを加えるのも良いのではないかと思います。参加者の声などを聞いてみると、着やすくてファッショナブルな服を着ることは若さを保つ秘訣なのかもしれないと思ったりもします。
今回のレポートでは、シニア向けのウェブサイトについてレポートしたいと思います。具体的には退職者協会のホームページについてですが、退職者・高齢者に関する情報が非常に充実しています。
スウェーデンには大きな退職者協会が二つあります。スウェーデン最大の退職者協会であるPROは1942年に設立された協会で、30万人超の会員がいます。ちなみにスウェーデンの全人口は約一千万人です。PROは政治的に中立であることを表明していますが、その出自から社会民主労働党に近いとみなされています。社会民主労働党は何度か下野したことがあるものの、この百年間のほとんどの期間、スウェーデンの政権与党であり続けている党です。
PROのホームページ(2018年4月17日)
もう一つの退職者協会であるSPFは1939年に設立された退職者協会で、30万人近くの会員がいます。SPFのホームページには、娯楽、年金、住居、健康、仕事になどに関する記事・情報が数多く掲載されています。また、ほかにも意見交換ができる投書コーナーのようなものもあります。ホームページに掲載する記事の執筆に関わっているスタッフも充実しており、頻繁に新しい記事・情報が掲載されています。
SPFのホームページ(2018年4月17日)
例えば、住居に関することでは高齢者のためのTIPSや高齢者施設、高齢者にとっての住居の在り方に関する考察などについての記事があります。また、良い点ばかりでなく、問題点を指摘したり、問題提起をしたりしています。仕事に関する記事では、現役で活躍するシニア・高齢者の様子が紹介されており、やる気、インスピレーション、元気をもらうことができます。人間関係に関する記事では孤独、家族との関係などの記事があります。旅行に関するコーナーでは、シニアが訪れた世界の様々な土地を紹介しており、旅心をくすぐるとともに、シニア向けの度のTIPSが書かれています。また、シニア向け、協会のメンバー向けのツアー旅行の案内などもあります。料理に関するコーナーでは季節の料理をレシピと共に紹介、手に入りやすいおすすめのワインなどの紹介も行っています。健康に関するコーナーでは健康寿命を延ばすためのアドバイスをしたり、病院や薬の問題点の指摘をしたりしています。カルチャーコーナーではおすすめの本の紹介(シニア向けの本、シニアが書いた新刊本など)、劇場の情報などが掲載されています。色々なこと取り留めも無く並べましたが、シニアに関する様々な情報が掲載されていることがお分かりいただけたのではないかと思います。 また、55歳以上の人を対象にしたSPFの姉妹サイトSilvergenerationen(シルバー世代)では意見交換(掲示板)コーナーがあり、社会問題のディスカッションから家族が相手にしてくれないといったような悩み事相談まで様々なやり取りが活発に行われています。また、ブログコーナーではシニア世代の人たちの日常が綴られています。
Silvergenerationenのホームページ(2018年4月18日)
スウェーデンの二大退職者協会であるPROとSPFのホームページについてご紹介しましたが、オンラインでのやり取りだけではなく、実際にメンバー同士が交流するいわゆる「オフ会」も充実しています。また、スウェーデン各地にシニアのクラブがあり、それぞれのクラブのホームページにはその地域のローカルな情報が沢山掲載されており、メンバーが活発に交流しています。
オフ会の様子(クリスマスパーティー) 写真:SPFのホームページより
今回のレポートでは、シニア・高齢者向けのホームページについてご紹介いたしました。ホームページ上の記事や情報を活用して、充実したシニアライフを送って頂きたいと思います。また、メンバー同士で交流することも、社会活動に参加できるという意味で非常に良いのではないかと思います。
今回のレポートでは、シニア向けのヘルプツールについてお伝えしたいと思います。日本にもあるものかもしれませんが、スウェーデンのヘルプツールショップで目についたものをいくつか紹介したいと思います。
最初は大きな文字のトランプカードとカードホルダーです。これぐらい大きな文字ですと視力が落ちても楽しむことができそうです。また、カードを手に持つことが難しい場合でも、カードホルダーを使えば持てるかもしれません。ヘルプツールというと、生活のために最低限必要な、デザイン性があまりよくないものというようなイメージもありますが、こういったデザイン性もあり、楽しみのためのヘルプツールももっとあってよいのではないかと思います。
大きな文字のトランプとカードホルダー
続いて、高さが調整可能なベッドです。高さが調整可能なベッド自体は珍しいものではないのかもしれませんが、車いすなどを使っている人が赤ちゃんと触れ合えるようにするためにこういった「ヘルプツール」を導入する視点が斬新だと思います。
高さ調整可能なベビーベッド
続いて、ちょっとした小物の紹介。鍵を回すことが困難な人のためのツールですが、これ以上ないくらいシンプルで非常に分かりやすい構造です。
鍵のためのグリップ
続いて紹介するのはスウェーデンオリジナルという触れ込みの電子レンジで温めるショールです。 このような感じで売っています。
使い方は、まず初めに、霧吹きのようなものでショールを少し濡らします。
そして電子レンジで約2分温めます。
これで20~25分温かさを保つショールの出来上がりです。ショールは腰、お腹や肩、足などに巻き付けることができます。

ここでは比較的アナログなヘルプツールを紹介しましたが、今はたくさんのデジタルヘルプツールもあります。以前にもご紹介しましたが、アラーム、センサー、GPSなどを使ったものもそういったものの一つです。また、担当医と携帯電話のアプリを使ってテレビ電話で話すというようにインターネットを利用するものもあります。 リンネ大学のステファン・アンダーソン氏はIT、デジタルテクノロジーを用いたヘルプツールがどのように受け入れられているかを調査しました。文献調査、介護に携わっている人へのインタビューなどを行った結果、ある程度予想できたように、多くの人がオンラインシステム、ネット上での介護に関するレクチャー、ソーシャルネットワークなどの恩恵を受けていることがわかりました。しかしその一方でそういったデジタルテクノロジーを利用したものにストレスを感じるときもあることも明らかになりました。その例として、担当者が替わる度に新しいホームヘルパーにデジタルツールの使い方を教えるのが煩わしいといったものがありました。また、「使い勝手が悪い」ネット上のツール・システムなどにもストレスを感じることが多いようです。
今回のレポートでは、シニア・高齢者向けのヘルプツールについてお伝えしました。私見ですが、楽しむためのヘルプツールがもっと増えるとシニア・高齢者の方の楽しみがもっと増えるのではないかと思います。また、使い勝手の面などでまだ発展途上ではないかと思います。今後、改良されて、より便利になることを期待したいと思います。
今回のレポートでは、高齢者の孤独についてお伝えしたいと思います。以前にも(2016年2月のレポート)お伝えしましたが、また最近取り上げることが多くなってきたため、もう一度お伝えしようと思います。
スウェーデンでは2018年現在、4分の1の高齢者(約50万人)が孤独を感じていると言われています。それにもかかわらず、サポート体制はまだ十分ではないようです。高齢者の心の健康に関するサポートが十分でないことはスウェーデン国内の半数の自治体で高齢者の精神に関するサポート・治療ができるクリニックがないことからもわかります。 スウェーデン・ヨーテボリ大学の高齢者健康センターのスコーグ教授は、高齢者の心のケアが重視されていない理由として以下の3つを挙げています。 - 高齢者は若者と違い一人一人特徴があり、同じ方法・方針で対処するわけにはいかない - 多くの精神科の先生・研究者は高齢者の精神に興味を持っていない - 精神科の先生・研究者の数が不足しており、高齢者の精神まで手が回らない スコーグ教授は各自治体に少なくとも一ヶ所は高齢者の心のケアができるクリニックがあるべきだと言っています。鬱が自殺の最大の原因であり、最も重大なことなので、高齢者の心のケアの専門家の存在が重要だと警鐘を鳴らしています。
スコーグ教授 写真出典:Wikimedia commons
こういったことを受けて、例えばスウェーデンの政党の一つであるキリスト教民主党はすべての自治体が高齢者専門の健康相談窓口を設けるべきだと言っています。80歳以上の独居老人に対して1億6000万スウェーデンクローナ(約20億円)の予算をつけるべきだと提案しています。すでにいくつかの自治体では高齢者のための相談窓口を設けていますが、キリスト教民主党の担当者はすべての自治体が同様に窓口を設け、孤独を減らし、生活の安全を高め、健康増進、必要な医療の聞き取りなどをするべきだと言っています。キリスト教民主党は現在下野していますが、高齢者の健康に関する政策に重点を置いており、影の内閣の予算において、上記のようなことを提案しています。その他にも高齢者関係の政策、予算を提案しています。 政権与党のスウェーデン社会民主労働党も対策を打ち出しています。孤独老人を減らすために2000万クローナ(約2.5億円)を体育協会に、1000万クローナ(約1.3億円)をアウトドア協会に、3000万クローナ(約4億円)をその他の孤独老人を減らすために活動しているNGO団体などに投資すると言っています。また、キリスト教民主党と同様に高齢者のためのいつでも連絡できるしっかりとした相談窓口を各自治体に設置すると言っていますが、具体的な財源は明らかにしていないようです。
児童・高齢者・共同参画担当大臣のレナ・ハーレングレン氏 写真出典:政党HPより
5年前にニルスさんは奥様を亡くされました。それ以来悶々とした日々を送ってこられたそうです。孤独や鬱の感情が入れ代わり立ち代わりやってきたそうです。ニルスさんが参加している同じような境遇の人の集まり(病院内の一種のテラピー)に行って話をすると少し気持ちも楽になるそうです。奥様が亡くなられたときは自殺するようなことも考えられたようですが、心のケアを受けるためにお医者さんの勧めで、この会に入ったそうです。しかし、その会は病院が試験的に行っていた集まりで、病院の方針でこの夏に終わることになりそうだということです。現在何とか存続してもらうように署名活動をしているそうです。 ニルスさんは高齢者の孤独については政治家がイニシアチブをとることが重要だと思っているようです。ニルスさんの家の近くに新しく幼稚園が建てられたのを見て、高齢者のためにも高齢者が集まる「幼稚園」に相当するようなものを建ててほしいと思ったそうです。「同じ年代の男友達の多くが死んでしまいました。年を取ってなんで惨めな思いをしないといけないんでしょうか?私は常に誰かと接していたいと思っています。」とニルスさんは語っています。
今回のレポートでは、高齢者の孤独・心のケアについてお伝えしました。社会の関心が高まり、政府も積極的に動くことで、ゆっくりではありますが、少しずつ高齢者の心のケアができる体制が整っていくのではないかと思います。
今回は、スウェーデンのルンド大学における高齢者向けの仮想現実環境の研究開発に関するレポートをお送りしたいと思います。
スウェーデン南部の街ルンドにあるルンド大学のイングバール・カンプラッドデザインセンター(家具のイケアの創業者イングバール・カンプラッドの名を冠したデザインセンター)のバーチャルリアリティー(VR)研究室では、外出して自然に接することが困難な高齢者が自宅で「仮想現実自然」を体験できるようにするための研究を行っています。
ルンド大学・イングバール・カンプラッドデザインセンター
VR眼鏡とコントローラーを使ってホルヤンスキーさんは夏の海岸を歩いています。満開の花が見えます。 さざ波の上でボートを漕いでいます。草原を飛び交う蝶を見ています。「すごく近くに蝶が!」「この門開けられるの?」 彼女は今、VRの世界を歩いています。 ルンド大学工学部で講師・建築家として働いているホルヤンスキーさんを含め、40人近くの人がモニタリングに参加しています。この研究所でのモニタリングが終了した後、今秋(2018年秋)には高齢者施設で実際に高齢者の人にVRを体験してもらうことになっています。
ルンド大学の研究者たち(ルンド大学HPより)
自然環境に身を置くことは健康にポジティブな影響があることは知られています。現在行っている研究では、仮想現実自然でも同じような効果があるかを調べています。 ホルヤンスキーさんは一回10分のVRコースを4回テストしました。それぞれの回の間にホルヤンスキーさんはアンケートに答え、心電図を取り、心拍数を測り、ストレスホルモンのレベルを測定するために唾液検査を行いました。こうして集められたデータは将来VRを使用する高齢者の睡眠パターンや使用している薬の情報と合わせて、仮想現実の中での自然が健康に及ぼす影響をみるために利用されます。 研究に携わっているルンド大学工学部デザイン科学科の研究者であるヴァーレルゴードさんは、「多くの人たち、例えば認知症、不眠症、ストレスが溜まっている人達にVRを使ってもらう予定です。彼らは外出して自然に接する機会があまりありません。ですから「自然」の方から家に来てもらおうというわけです。仮に高齢者が、仮想現実自然によっていい体験をしたと思えるのであれば、幸福度が増すでしょうし、もし、精神的に安定したと感じるのであれば、睡眠の質も上がり、薬の量も減らせるかもしれません」と言っています。 ホルヤンスキーさんがVRを試し終わったとき、環境は良く、不自然さはなかったと言っています。ホルヤンスキーさんは個人的にはVRの副作用は感じていないと言っています。彼女はVRの中でもっと人に会うことができたらいいと感想を述べています。研究に携わっている博士課程の学生ルンドステッドさんは「孤独は非常に重要な問題です。人との触れ合いが少ないと、孤独度が増します。より自然な環境を再現するために、こういった利用者の声は大事です」と言い、ホルヤンスキーさんのコメントをメモしました。 ルンドステッドさんは「VRの中でも感情や物理的なもの、ソーシャルなものを再現したいと持っています。VR開発の世界では『presence(臨場感、実在感)』と呼ばれています。これは現実に近い世界をVRで再現し、それを体験する上で、キーとなる概念です」と言っています。ヴァーレルゴードさんもそれに同意して、「VR眼鏡は以前は家庭用ではありませんでした。しかし、簡単に利用できるようになり、近年急速に普及しました。また、以前のVR眼鏡は使用後気分が悪くなったりしていましたが、今ではそういった欠点も少なくなってきました」と言っています。

VR用メガネを装着している高齢者(ルンド大学HPより)
今回のレポートでは、高齢者向けVRの研究についてお伝えしました。VRに関する商品は既に市場でており、外出が困難な人のために介護や医療の現場で部分的に利用されていますが、今後健康への影響などさらなる研究が進むものと期待されます。
今回は、介護現場におけるデジタル化についてお伝えしたいと思います。デジタル技術を利用して利用者や介護スタッフがより快適に生活できるよう様々な工夫が行われています。
スウェーデンの電話通信会社であるテレノール・スウェーデンによると、最近スマホやタブレットによるモバイル通信の利用者数が全国的に急増しているそうです。最も利用率が高いスウェーデン南部の都市ヨンショーピング市でさえ、急激に利用率が伸びているそうです。ヨンショーピング市では51~60歳のシニア世代の利用率が最も伸びており、伸び率は122%でした。次いで、70歳以上の高齢者世代の伸び率が110%でした。 「ここ数年ネットの利用の仕方が変わってきました。ライブ動画を携帯電話から配信するようになり、これが一番データ通信量を押し上げています。以前よりも無制限のデータ通信プランやデータ量が多いプランを選ぶ方が増えました。また、固定型のインターネットの代替としても使われています。利用率としては依然若者世代が最も多いのですが、シニア・高齢者世代とのギャップは縮まってきています」とテレノールの担当者は分析しています。また、国内の様々なものがデジタル化されたこともシニア・高齢者の利用率を押し上げている原因だと担当者は推測しています。
デジタル技術は訪問介護の現場でも活用されています。ストックホルムから西へ150kmほどのところにあるアルボーガ市では訪問介護サービスでデジタル技術を利用しています。スタッフはスマホのアプリからスケジュールの確認、タスクの確認、業務報告などができるようになりました。また、ドアの内側に取り付けてある電子ロックをアプリで開けることもできるようになりました。これにより、スタッフは事務処理を軽減することができ、鍵を探す必要もなくなりました。また、時間も節約できるようになりました。例えば、訪問先の合い鍵を他のスタッフに引き継ぐ必要もなくなりました。また、利用者にも好評のようです。以前は緊急の場合鍵を持っている人が駆けつける必要がありましたが、電子キーになってからは一番近くにいる人が駆けつけることができるようになりました。 アルボーガ市の担当者のサベリウス氏は「2013年までは紙とペンで業務報告をしたり、計画を立てたりしていました。明らかに全体を把握するのが難しく、プランを最適化するのが困難でした。デジタル化してからこういった状況は劇的に改善されました」と言っています。また、デジタル化された情報を分析することにより最適化することが容易になったそうです。サベリウス氏は、「これは訪問介護事業での画期的な出来事です。利用者にとっても、介護スタッフにとっても」と言っています。
アルボーガ市の担当者マルヨ・サベリウス氏 写真:アルボーガ市のMynewsdeskより
ストックホルムから南西に70kmほど行ったところにあるトローサ市も介護分野でのデジタル化を進めています。高齢者の生活の質を向上させるために、デジタル技術をどう生かせるかテストをしています。2017年までにトローサ市ではお掃除ロボット、オンラインショッピング、一人住まいのお年寄りの家に設置する夜間の介護用見守りカメラ、介護を受ける人やその家族とのオンラインミーティングなどをテストしてきました。 「デジタル技術を活用することで、より効果的で利用しやすいものにしたいと思っています。自治体の援助を受けている利用者とスタッフ双方にとって生活の質が向上すればと思っています」と担当者は言っています。
見守りカメラ左手前と利用者とスタッフ 写真:ヤンネ・アンダーション
スタッフがタブレットでカメラ映像を確認 写真:ヤンネ・アンダーション
また、スコーネやヘッセルホルムなどスウェーデン南部のいくつかの自治体が共同でEUから介護現場におけるデジタル化のためのプロジェクト予算を獲得しました。ヘッセルホルム市の担当者はスタッフのデジタルスキルが向上し利用者とのコミュニケーションが円滑になることを期待しています。「デジタル技術の導入によって利用者と介護スタッフのつながりが希薄になるとは思っていません。むしろ逆だと思います」と担当者は言っています。ヘッセルホルム市はプロジェクトの中でスタッフのデジタルスキルの向上などの人材育成を担当するそうです。
今回のレポートでは、介護現場におけるデジタル技術の利用についてお伝えしました。各自治体が訪問介護の現場で利用者、スタッフ双方が快適になるようにデジタル技術が積極的に利用されています。今後、ますます導入が進むと思われます。
住居はシニア・高齢者にとって関心の高い事項で、いつも様々なことが議論されています。今回は、シニア・高齢者の住宅事情についてお伝えしようと思います。
現在、スウェーデンのエレブロという街で未来型の高齢者向け住宅の建設が進んでいます。近々、次世代の高齢者向け住宅に関する発表会で詳細が発表されることになっていますが、デジタル技術を多く取り入れた住宅になるようです。例えば最新の音響技術を駆使したシステム、床に倒れた時に感知できるセンサーを埋め込んだ床、うるさい音が鳴らない静かなアラーム、従来型の鍵の撤去(携帯のアプリで開け閉めをする)、建物全体でWiFi利用可能にする、インターネットテレビ、入居者用の特別チャンネル(情報の共有のためなどに用いられる)、Facebook・Skypeなどを用いた連絡などなど色々なデジタル技術が導入されるようです。5階建て68部屋で、アクティビティールームや中庭などもあるようです。 上記のデジタル技術はこれまでに施設の利用者(入居者・訪問介護士など)の候補になる人たちからのフィードバックを基に計画されたものだそうですが、大学とも共同でさらに新しい技術もテストする用意もあるとのことです。
完成予想図 出典: エレブロ市Youtubeチャンネル
前述のような、未来型の住居に住むようになる人がいる一方で、問題を抱えている人もいます。マルガレータさんの場合がそうです。最近マルガレータさんはご主人をなくして、それまで住み慣れた一軒家に住み続けるか、あるいは小さなアパートに移るか決断を迫られています。健康状態が良くなくパートナーの助けがないと生活できない、というような状態であれば高齢者住宅などに引っ越す決心もつくのでしょうが、マルガレータさんは健康で、特に持病もありません。そのために迷っています。前もってこういった状況の準備をしていたつもりだったようですが、いざとなるとやはり難しいようです。子供や孫たちは600km近く離れたところに住んでおり、子供たちは「私たちの近くに引っ越して来たら?」と言っているそうですが、マルガレータさんは友達もいて、住み慣れている街を離れたくないそうです。マルガレータさん自身は住み慣れた家に住み続けたいと思っているのですが、問題がいくつかあります。まず、家のローンの支払いも残っており、銀行は利子が上がればマルガレータさん一人では返済能力がないと考えているようです。 マルガレータさんは「生活費は銀行の人が考えているより、少ないお金でやりくりしているし、贅沢もしていない」と反論していますがなかなか難しい問題のようです。また、子供たちも家(財産)の一部を相続したがっているようです。 しかし、今の家に住めなくなるからと言って、別の家に引っ越すとしても問題があります。スウェーデンでは家そのものを買うのではなく、家に住む権利を買うことが一般的です。家の大きさや場所により値段が大きく変わりますが、500万円から1.5億円程度で売買されています。マルガレータさんのように大昔に家に住む権利を買い、その家にずっと住み続けていて、その家を売ろうとすると、購入時と売却時の価格の差が大きく、多額の税を払うことになります(マルガレータさんの場合、300万円程度のローンで購入できた家の居住権利が、現在では3000万円まで値上がりしています)。そのため、税を払うことも難しく、高齢であり定年退職しているために新たに住宅ローンを組むことができないため、新たに別の家の居住権を買うことも難しい状況です。 結局、子供たちが育った想い出の家ということもあり、財政面などで子供たちの助けを借りて、住み続けることができるようになりそうなようですが、スウェーデンでは成人して一度家を出るとその後、「親の老後の面倒を見る」というようなことは基本的にないので、特別なケースと言えます。 この件は老後の住宅状況を考えさせられます。高齢者向け住宅の建設のみならず、高齢者が引っ越しやすい普通の家の建設、引っ越しがしやすいような、あるいはそれまでに住んでいた家に住み続けられるような税制上の優遇などが望まれているようです。
粉雪が舞う3月にも関わらず、ガラスの壁と屋根で囲まれた中庭にはヤシの木が茂り、南国の様相です。スペイン風にアレンジされた中庭で人がくつろいでいます。これは最近人気の退職者向けのリゾート型住居の様子です。中庭でくつろいでいるのは住民たちです。定年退職した人を中心に80人近くが住んでいます。その一人、ラーシュさんは定年後、子供たちの近くに住むためにこの家に引っ越してきました。
リゾート型住居の住民 写真: トーマス・セーデルベリィ
ガラスで外の騒音などはシャットアウトされ、ひとたび居住空間に入れば、中庭は明るく、緑が生い茂り、外部の薄暗さや寒さからは無縁となります。薄暗く、寒い日が続く冬場は特にこの環境がその”威力”を発揮すると言っていいでしょう。 中庭にはペタンク(スウェーデン語ではボウレ)と呼ばれる球技(カーリングのようなルールの競技で、カーリングのストーンの代わりに金属製のボールを投げる)をする場所も設けられています。ヨガ、気功、瞑想、サッカー観戦など住民の間で様々なアクティビティーが行われています。中庭には共同のトイレもあり、中庭で何かアクティビティーをしているときはわざわざ自分の部屋に戻る必要はありません。 ここにはご近所と強いつながりを持ちたい人たちが集まっています。住んでいる人は皆、口をそろえて「歳をとると社交的でなければならない、さもないと孤独になる」、と言っています。一人住まいの人も近所に人がいると孤独な思いをすることがなく、また何かあった時も安心です。安全面もしっかりしており、限られた人しか居住空間にアクセスできないようになっています。
リゾート型住居 写真: トーマス・セーデルベリィ
今回のレポートでは、高齢者の住まいについてレポートしました、未来型の施設、リゾート型の施設に住む人がいる一方で、住む場所に困る人もいます。高齢者の住居に関する議論の種は尽きません。誰もがさらに快適に、さらに安心して住める住宅づくりが求められています。
今年も毎年10月に行われているシニア展についてお伝えしたいと思います。毎年、ストックホルムで開かれるシニア展の様子をお伝えしておりますが、今年は同時期に別の場所で開催されたシニア展についてもお伝えしようと思います。
今年も恒例のシニア展がストックホルムで10月2日から10月4日の3日間開催されました。シニア展の様子はこれまでにもレポートいたしましたので詳細は省略しますが、今年も多くのブースが設けられ、著名な作家や女優、歴史家、トレーナーなどを招待し、講演が行われました。経済、保険、住宅、健康、旅行などをテーマにした展示ブースが設けられ、ディスカッションも行われました。ちなみに旅行社から日本への旅行についても紹介されました。
日本旅行の紹介
「日本 – 近代的な中にも伝統が息づく国
日本への魅力あふれる旅の御用命はワールドトラベル社へ。
素晴らしい建築群、モダン芸術、素敵な庭園。芸者に出会い、桜祭りへ行き、奇妙奇天烈な若者文化に出会おう。」
また、最近では高齢者の人も多くの人がソーシャルネットワークサービス(SNS)を利用していますので、今年はFacebook上で割引券が配布されるなど、SNSを利用した活動も見られました。
Facebook上で配布された割引券
ストックホルムのシニア展と同時期の10月4日にスウェーデン南部の都市、イースタッドでもシニア展が開かれました。ストックホルムの展示会同様、講演やディスカッションなどが行われました。市内のスポーツホールに大勢の人が押しかけ、関心の高さを示しました。眼鏡屋さん、眼科、不動産屋さん、旅行業者、救急救命士、自動車会社の人などが会場でブースを設け、様々な情報提供を行っていました。 このシニア展に始めて訪れた人もいました。シニア展がどんなものなのか見に来たそうです。彼らの目的は住まいでした。イースタッド市内に新しい家を見つけるために隣町から来たそうです。また、バス会社のブースでは地図を持ち出し、バス会社の人と参加者の人が、将来のバス路線についてディスカッションをしていました。参加者の一人は「この街では子供のころにバスに乗ったきりでそれ以後ずっと乗っていませんでした。以前75カード(75歳以上の人が乗車する際に使用できる券)をもらったけど、使いませんでした。今年の冬は使ってみようかしら」と言っています。このバス会社は運転手の募集もしていました。バスの運転手は常に人手不足で、55歳以上でバスの運転免許を持っている人、あるいは親戚などでバスの運転手になりたい人がいないか探しているそうです。
バス会社のブース 写真:マーク・ノードバール・ハンロン
また、各退職者協会から代表者を招き、パネルディスカッションが行われました。参加者の一人は、シニア展には多くの人が集まり、新しいことを色々学べますと言っています。この参加者は一番大事なことは高齢者のケアで、例えば、年を取って動けなくなっても、どこかに行けるようになっておかなくてはなりません、と言っています。
今回のレポートでは、恒例のストックホルムでのシニア展に加え、地方でのシニア展の様子も伝えました。同じようなシニア展は規模の大小はあっても、スウェーデン全国で開かれています。今後もますます盛況になるものと思われます。
今回のレポートではシニアのためのデジタル機器に関する講習会の様子についてお伝えしようと思います。
スウェーデンでは現金を使用しない、いわゆるキャッシュレス化が進んでいます。最近は筆者の周りでも「現金での支払いお断り」というお店が増えてきました。緊急時のために現金を少しだけ財布の中に入れてはいますが、ここ1~2年現金を使った記憶がありません。また、先日10年ぶりぐらいに、日本円の現金をスウェーデンクローナに両替するために両替店へ行きましたが、窓口の人から「日本ではまだ普通に現金を使っているのか?」と聞かれたほどです。 スウェーデンでは支払いのほとんどがクレジットカードで行われますが、そのほかにSwish(スウィッシュ)と呼ばれる電子決済システムを利用した支払いも日常的です。このSwishはスマホのアプリを使い個人の間で現金のやり取りをすることも可能です。それにしても先日、教会に行ったときにろうそく代をSwishで支払えるようになっていたのには驚きました。 また、銀行の役割も変わってきています。今、銀行に行っても行内にお客さんの姿を見ることはまずないと思います。いつもガランとしています。現金を数えてる姿もなく、おそらく銀行内に現金はほとんどないでしょう。今は利用者もインターネットバンキングで処理するためです。

このように現金が使えなくなると困るのが、これまでスマホ、パソコンなどのデジタル機器を使用してこなかったシニアの方たちです。そのためシニアのためのデジタル機器講習会が頻繁に開かれています。ひと昔前のいわゆる「パソコン講習会」ではインターネットへの接続の仕方、ワープロ、表計算ソフトの使い方といったものでしたが、最近ではネットの利用方法が中心になっているように思います。また、パソコンだけではなく、スマホやタブレットなどのデジタル機器も対象になっています。 先日ストックホルム南部のハーニンゲ市が開催したデジタル機器に関するシニアのための講習会は満席でした。高校生・大学生が講師役となり、3時間の講習の間にシニアの方たちはいろいろ質問をし、デジタル機器でやりたいことなどを聞いていました。市の担当者によると講習会は毎回盛況で60人~100人の人が参加するそうです。市としても様々なサービスをデジタルで提供しているので、そういったものをフルに活用してもらうためにも住民のデジタルスキルを上げてもらう必要があると考えているようです。 「どんなことでも聞いてください。恥ずかしい質問というものはありません」と担当者は言っています。 参加者によってやりたいことは様々です。スマホを使って前述のSwishのやり方を知りたい人、スマホからパソコンへ写真を転送する方法を知りたい人、銀行振込のためなどにインターネットバンキングのやり方を知りたい人、Skype、簡単なプログラミングをしたい人などなど様々です。 参加者の一人は「デンマークにいる家族とSkypeしたかったけど、やり方がわからなかった。講習会を受けてできるようになった。本当に良かった」と言っています。また、別の参加者はスマホからパソコンへ写真を転送する方法を教えてもらったそうです。でも、インターネットバンキングで支払いなどをするのは嫌だと言っています。宛先を間違ったり、金額を入力し間違えたりするのが怖いそうです。 夫婦で参加した人もいます。 講師役の学生、ノラさんが懇切丁寧に教えてあげています。旦那さんのエミリオさんは、「そんなのもうできるよ」と冗談半分に行っていますが、奥さんのイボンヌさんは、「何にもできないくせに」と突っ込みを入れていました。家ではイボンヌさんが支払いなどをインターネットバンキングで処理しているそうです。銀行に勤めている娘さんにやり方を教えてもらったそうですが、デジタル機器を使ってできるのはネットバンキングだけだそうです。ノラさんがご主人のエミリオさんのスマホに入ってるアプリや、写真の共有のやり方などの説明をしています。しかし、イボンヌさんはいわゆるガラケーを使っており、スマホにするつもりはないそうです。 「面倒くさい。一度息子からスマホをもらったけど、返した。電話出来て、テキストメッセージが送れればそれで充分。」と言っています。
講習会での様子。左からエミリオさん、ノラさん、イボンヌさん 写真: マリア・ローセンレーフ
講習会では質問する時間がなかったときに備えて、よくある質問をまとめた冊子も用意されています。 「ネットでどうやってニュースを読むか」、「アプリとは何か」、「料理のレシピの見つけ方」などなど色々なことが書かれています。また、コーヒータイムもあり、質問についてディスカッションしたりTIPsを交換したり、アドバイスしたり、心配な点を話したりしています。 主催者は「孫に聞きたいけど、面倒くさがって答えてもらえないような質問なんかもしてください」と言っています。「若い子たちはデジタル機器の使い方をわかりやすく説明するのが上手で、自分たちにそういう才能があるということに気づいていないという子も多い」と言っています。若者とシニアの交流のためにもこういった講習会は良いと思っているそうです。講習会を終えた参加者からは、次のレベルの講習会はあるのかとよく聞かれるそうです。今のところそういった講習会はありませんが、用意しなければいけないと思っているそうです。
今回のレポートでは、シニアのためのデジタル機器の講習会の様子についてお伝えしました。デジタル機器を使えないと、日常生活に支障をきたすようになってくるため、ある程度デジタルスキルを身につけないといけない状況ですが、ネガティブにとらえずに新しいことを学ぶ機会ととらえている人が多いようです。今回ご紹介したような講習会に参加して積極的に新しいことを学ぼうとすることは若さを保つためにも役立つのではないかと思います。
今回のレポートでは、シニア男性をスタイリッシュにするスタイリストのお話をレポート致したいと思います。
スタイリストとして活動しているカリーナさんとシャスティンさんは二人とも社交的で、陽気で、おしゃべり好きです。カリーナさんは普段ハイヒールをはいています。シャスティンは2年前に足を怪我して以来、ハイヒールは履けなくなりましたがおしゃれな靴を履いています。カリーナさんとシャスティンさんはご近所同士でシニア男性のスタイリストとして働くことを最初に考えたのはシャスティンさんでした。 シャスティン曰く、それまで会ったシニア男性は服装も髪型もスタイリッシュではなかったそうです。そこで、スタイリストとして活動しようと思い立ったそうです。二人は全くの素人というわけではありません。シャスティンさんはヘアードレッサーで、長年理容師学校も運営し、毎年多くの学生を卒業させています。カリーナさんは波乱の人生を送っており、これまでに三回結婚し、サンフランシスコとフロリダに住んだこともあります。また、一時期マックス・ガンペル(スウェーデンの競泳選手、オリンピックメダリスト、スウェーデン出身のハリウッドスター、グレタ・ガルボとも交際)とも結婚していました。その後、スウェーデンの船主として知られる、ゴーソン家へ嫁ぎ、現在に至っています。カリーナさんはファッションやスタイリングに常に関心を持っていて、「私はハイヒールを履いて生まれた」と言っています。
カリーナさん(左の写真の女性)とシャスティンさん(右の写真の女性) 写真:リナ・アーヴィドソン
カリーナさんとシャスティンさんがシニア男性をスタイリッシュにするアイディアについて話していたところ、一人の男性が興味を示したそうです。そこで、その男の人に実験台になってくれるかどうか聞いたそうです。数日後、その男の人はシャスティンの家に来て、髪をスタイリッシュにカットしてもらいました。シャスティンさん曰く「首筋の所のカッティングが一番重要」。また、シャスティンさんは髪を軽い色に染めるのもいいと考えています。グレイヘアーに影をつけるような感じの染め方が得意だそうです。主に洋服のコーディネートを担当しているカリーナさんは「ジーンズのズボンは最悪。粋な色のズボンがいい。」と言っています。カリーナさんはシニア男性が夏にお腹が出ているのが見えるような短すぎるシャツを着ているに気が付きました。少し長めのシャツを着たほうがいいと言っています。 また、パブなどに出入りするシニア男性を観察し、どうやったらスタイリッシュにしてあげられるかをディスカッションしたそうです。このような感じで、シャスティンさんとカリーナさんはスタイリングの事業を始めたようです。現在は有名なファッションハウスともコラボレーションをしています。
シニア男性のマッズさんとカール・グスタフさんはカリーナさんとシャスティンさんにスタイリングをしてもらいました。 二人はカリーナとシャスティンのスタイリングに満足してます。マッズさんは以前、カリーナさんとシャスティンさんのアドバイスでたくわえていた口ひげを剃ったそうです。10年若く見えるようになったそうです。今回、マッズさんは髪を染めることにしました。 また、カール・グスタフさんの方は、これまでスタイリストにコーディネートしてもらったことはなかったが、尋ねられた時すぐに興味を持ったそうです。 髪の毛の量が少ないのでヘアースタイルや髪の色のことを考えたことはなかったそうです。今回、シャスティンさんに髪を短く切ってもらい、スタイリッシュになりました。眉毛も染めたそうです。 マッズさんとカール・グスタフさんは髪の毛を整えた後、服のコーディネートをしてもらいました。 マッズさんは自分の姿を気にすることはなく、これまで鏡を見ることはあまりなかったそうです。マッズさんは最初カリーナさんに少し派手な柄のシャツを勧められて、少し躊躇したようですが、満足したようです。カール・グスタフさんは長身でスリムなので、カリーナさんは白のズボンが似合うと考えました。白はちょうどいいサイズがなかったので、ベージュを選択したそうです。カール・グスタフさんは「モダンで、いい感じ」と満足しています。仕事ではセミフォーマルな感じにしないといけないので、いい感じになりました」と言っています。 それでは、スタイリングをしてもらったお二人の写真を見ていただきたいと思います。
マッズさんとカール・グスタフさん 写真:リナ・アーヴィドソン
この日のスタイリングを終えたマッズさんとカール・グスタフさん。 マッズさん「今度から鏡を見るようにします。」 カール・グスタフ「髪の毛が少なくても短い髪にした方がいいと思いました。」 ちなみに今回ご紹介したスタイリストのカリーナさんは91歳、シャスティンさんは75歳です。
今回のレポートでは、スタイリストして活躍するシニア、そのスタイリストにスタイリッシュにしてもらった男性シニアについてお伝えしました。シャスティンさんカリーナさんにはいつまでもスタイリストとして元気に活躍していただきたいと思います。また、皆さんスタイリッシュで素敵なシニアを目指していただければと思います。
今回のレポートでは、シニアの運動、トレーニングについてお伝えしようと思います。研究結果、自治体の取り組みなどについてご紹介したいと思います。
スウェーデンのウメオ大学の研究者らによる調査結果で、簡単な運動でも毎日やれば筋肉をつけることができ、高齢者でもそれが当てはまるということがわかりました。 調査はもともとあまり筋肉がない70歳以上の人、70人を対象に行われました。半分の被験者には10週間のトレーニングプログラムをやってもらい、残りの半分の人にはこれまで通りの生活をしてもらいました。トレーニングをする被験者にはプロテインのサプリメントもとってもらいました。その結果トレーニングをしたグループは筋肉量が1.2kg増えたそうです。また、脂肪は500g少なくなったそうです。そのほかにも色々差がみられたそうです。調査を行ったウメオ大学のノードストレーム教授は「1.2kg増という数字ほどインパクトはないかもしれませんが、それでも体が強くなっていることに違いはありません」と言っています。 お金のかかるトレーニングは必要なく、簡単な運動で十分だそうです。筋肉をつけることにより転倒、骨折などのアクシデントのリスクを下げることができ、寿命を延ばすことができるとのことです。 「高齢者でもトレーニングの成果を確認することができました。高齢者の場合、健康寿命を延ばすためには特に筋肉が重要です」とノードストレーム教授は言っています。
ノードストレーム教授らによる論文
ノルショーピング市の職員で最近リンショーピング大学で学位を取得したアンソフィー・マース・トレッフさんは高齢者施設の入居者がどの程度体を動かすアクティビティをしているかを調査しました。まず、入居者及び職員双方に聞き取り調査を行った結果、入居者と職員の間で「運動」の定義自体に大きな差があることがわかりました。入居者は文字通り、体を動かすことを運動と考えているのに対して、職員はボタンをかける、歯を磨くといったことも運動の一部と考えているようです。 また、職員は従わなければならない規則に縛られていたり、やらなければならないルーチンワークなどを抱えていたりしており、時間もなく常にストレスを抱えた状態だということがわかりました。そのため入居者個人の意思が尊重されないような状態になり、入居者が運動をしたくてもできないような状況になっていることが調査で分かりました。 調査を踏まえてトレッフさんはリハビリなどを担当する理学療法士がもっと積極的に体を動かすアクティビティに関わるべきだと言っています。
スウェーデン南西部の群島からなるエッケルエー市では60歳以上のシニアを対象に健康増進のためのプロジェクトを立ち上げました。プロジェクトマネージャーのクリスティン・ヨセフソンさんは「健康寿命を延ばすためのプロジェクトです」と言っています。プロジェクトはシニア・スポーツスクールというで名前で3か月間、週に二回参加して、プール、ゴルフ、柔道、ペタンク、オリエンテーションなどいろいろなスポーツクラブで運動をするというものです。また、「理論」を勉強する日もあり、料理、ダイエット、心肺蘇生法などさまざまな講義を受けることができます。 このように週二回人に会うこと自体が友達を作ったり、社会的な生活を送ったりすることになり、健康につながるようです。また、こういった体験学習をとおして将来やりたいものを見つけてもらうという狙いがあるようです。シニア・スポーツスクールの活動は現在スウェーデン南部で普及し始めており、エッケルエー市の他にもエレブロ市やボロース市などでもスクールが開かれています。 ボロース市でスクールに参加したマリアンヌさん(69歳)は数年前に退職したあとはあまり外に出歩かなくなったそうです。そんな時、シニア・スポーツスクールに出会い、スクールでいろいろな体験をして、今では歩いて行うサッカー(Gåfotball、ウォーキングサッカー)をしているそうです。また、柔道も体験し、受け身のやり方は転倒した時などに役立つといっています。友人もたくさんでき充実した毎日を送っているそうです。
写真:エッケルエー市のHPより
今回のレポートでは、シニアの運動に関する調査研究、自治体の取り組みについてお伝えしました。健康寿命を延ばす取り組みが重要とされています。国や自治体としては健康寿命が延びれば、医療費を抑えることができるという思惑もあるのでしょうが、シニアの方々に「いつまでも元気でいてほしい」というは当然あると思います。そして何よりも、シニアの方々の「いつまでも元気でいたい」という思いをサポートする体制が重要だと思われます。
今回のレポートでは、最近スウェーデン人研究者が出版した、長寿の秘訣についての本をご紹介したいと思います。以前にも長寿の秘訣についてお伝えしましたが、今回はそのアップデート版といったところです。
誰しも健康で長生きしたいと思っていることと思います。以前にも「スウェーデンの長寿の秘訣」と題したレポートをご紹介しましたが、最近また医師でヨーテボリ大学の研究者のベッティル・マークルンド教授が長生きに関する本を出版しました。10 TIPS Må bättre och lev 10 år längre (心身ともに健康で10年長生きする10の秘訣)と題した本で、最新の研究結果に基づいた秘訣が書かれています。
若いころは若さが永遠に続くように感じるかもしれませんが、40歳を過ぎると何らかの慢性的な病気を抱えるようになってきます。老眼などもそうです。関節が痛み出し、動作をするたびに呻くようになるでしょう。誰しも歳を取ります。「寿命を延ばすことはできるのか?」と誰しも思うことでしょう。 マークルンド教授は「それは可能です。どんな遺伝子を持っていようとも。正しいライフスタイルで生活することで、感情に良い影響を与え、それが寿命にも影響を与えます。」と言っています。教授は一般の人と同様に、長い間、寿命には遺伝子が大きく関係していると信じていました。しかし、健康と寿命を決定する因子について色々と調べていくうちに、遺伝子の影響は25%程度しかないことが分かったそうです。つまり、残りの75%はコントロール可能なものだということです。そしてマークルンド教授はそのために生活スタイルを劇的に変える必要はなく、わずかに修正するだけで良いと言っています。 このことに気が付いたので、教授はこの発見とそれに関するアドバイスを一つの本にまとめることにしたのだそうです。そして、それをできるだけわかりやすく一般の人にも紹介するために先にご紹介したような本を出版した次第です。わずか100ページほどの本の中に長生きのための秘訣がぎっしり詰まっています。そしてアドバイスのほとんどがすぐにでも実行できるものです。10の秘訣が書かれていますが、どれか一つを実行するだけでも最高で7年は長生きするそうです。 高齢の方にはビタミンDを積極的に摂取するのが良いと言っています(スウェーデンは特に冬の間は日照時間が短いため子供から大人までビタミンDを取ることが推奨されています)。高齢になるとビタミンDを吸収する能力が落ちるそうで、教授は秋分から春分までの間はビタミンDを多めに取ることを推奨しています。太陽の光を浴びることも推奨しています。太陽が昇っている間に外でコーヒーを飲んだり、散歩をしたりするのが良いと言っています。 「歩くことは重要です。体を動かすことは生きていく上で必要です。健康に生きていくためには筋トレとフィットネスが全てです。走るのが難しければ歩くだけでも十分です。毎日歩くだけで、脳卒中のリスクが下がるという研究結果もあります。」 腹八分に食べることも大事だと言っています。満腹になるまで食べずに、いったん食べるのをやめて待ってみて、それでもまだお腹がすいているようだったら食べてもよいとアドバイスしています。 仲のいい友達と一緒に太陽の下、散歩をするというのもいいアイディアです。孤独が病気の最大の原因です。特に望まぬ孤独が最悪だそうです。孤独から抜け出すためには何かアクティビティを探すとよいとアドバイスしています(例えば、歌を歌ったり、ペットを飼ったり)。「孤独から抜け出す最初の一歩が一番難しいです。ひとたびその殻を破ればあとはうまくいきます」と教授は言っています。 このほかにも、正しい食生活、運動、社会的な活動を忘れてはいけませんとアドバイスしています。また、疲労回復、リラックス、休息を取ることの重要性を軽視してはいけませんと言っています。ストレスは喫煙と同じぐらい害があるそうです。免疫システムの80%は腸にあるので、繊維などを摂って、腸を健康に保つことも長生きするために重要だとアドバイスしています。また、ポジティブシンキングも大事で、ネガティブに考える人よりもポジティブに考える人のほうが長生きするという結果もあるそうです 「生まれつき悲観主義の人が突然楽観主義者になるのは難しいですが、例えばハッピーエンディングの本を読んだり、音楽を聴いたりして脳をだますといいかもしれません」と教授は言っています。 それでは最後に長生きするための10のアドバイスをまとめてみます。
①色々な色のフルーツと野菜を食べる。オリーブオイルを毎日、できればアボカドも。(アボカドとオリーブオイルにはオメガ3が豊富に含まれており、抗炎症効果がある)。
②歯磨きをしっかりして、口の中を清潔に。(口に問題があればそこから体全体に問題が広がるというのが教授の持論)
③健康的な習慣を身につけ、体重に気を付ける。
④一日に3~4杯のコーヒーか紅茶を飲む。
⑤体を動かす。ダンスをしたり散歩をしたり。
⑥太陽光を恐れず、ビタミンDを75歳以下なら一日10mg、75歳以上なら20mg。
⑦心に平穏を。
⑧睡眠、昼寝は健康のために必要。
⑨社会活動、エネルギーをもらえる人とのふれあい。
⑩ポジティブシンキングをする。
今回のレポートでは、最新の研究結果に基づいて出版された「長生きのための10の秘訣」についてお伝えしました。いずれのアドバイスもこれまでにも幾度となく言われていたようなことですが、最近の研究で、これらのことがこれまでに信じられていたよりももっと重要であったり、その効果が再確認されたりしてより確かなものになっているようです。
今回のレポートでは、これまでにも何度かお伝えした活躍するシニアについてお伝えしたいと思います。今回は看護師として働く女性と長年森の保護活動を行っている男性をご紹介します。
エバさん(女性)は76歳ですが、パートタイムでもいいので看護師として働き続けたいと思い、そうすることにしました。通常は一週間に2日ほどストックホルム郊外の病院で働いているそうです。勤務のある日は8時間勤務で、主に電話での相談に応じています。
「仕事を楽しんでいます。肉体的な負担も少ないので。」と膝に関節炎を抱えているエバさんは言っています。お金のために働いているのではなく、患者さんや同僚と触れ合うのが楽しいと言っています。勤務スケジュールは自分で決めれるそうで、フレキシブルに対応してくれる職場に感謝しているそうです。
エバさんが勤務している病院
医療関係者で構成されている労働組合、スウェーデン医療専門家協会のシネバ・リベイロ会長は高齢者の権利を確固たるものにし、さらに権利を主張していかなければ、シニアの人に医療の分野で仕事を続けてもらうことが難しくなると言っています。被雇用者の保護や社会保障がある年齢になったからといって急にやめるようなことがあってはならないと言っています。また、雇用者はより戦略を練ってシニアの人たちが持っている経験を上手く活用していくようにしなければならないと思っているようです。 また、リベイロ会長は「シニアの看護師は確かな・高い知識を持っているので、そういった人材が求められています。シニアの看護師は、わからないことも多く、ストレスの多い職場で働いている若い看護師をサポート・指導することができます。」と言っています。
スウェーデン医療専門家協会のシネバ・リベイロ会長(協会HPより)
ビョーンさん(男性)は小児科医でしたが、2005年に定年退職した後、森林保護活動を続けています。スウェーデン北部のピーテオを拠点に活動しています。長年森林の保護活動に携わっており、2010年には環境保護関係の雑誌、Miljöaktuellt (1973年に前身誌が創刊、2016年に他誌と合併して持続可能な社会に関する雑誌、Aktuell Hållbarhetとして継続)によって「最も森の環境にやさしい人」に選ばれました。1970年代初頭から定年退職する2005年まで小児科医として働いていましたが、以前からずっと古い森林を保護したいと思っていたそうです。森林が開発の名のもとに破壊されるのを目の当たりに見て森林保護に目覚めたそうです。森林伐採などをして開発を企業は目先の利益ばかりを考えていて、― それが企業の宿命なのかもしれないけれども ― 長い目で見ていないと嘆いています。仲間と共にそのような会社とも交渉を行い、アクティブに行動しています。 「引退した小児科医ですが、よく、森が最後の患者だと言っております。私の周りには子供のころから常に森がありました。今、恩返しをしたいと思っております。今後も頑張りたいと思います」とビョーンさんは言っています。
ビョーンさん 写真出典:Skydda skogen
今回のレポートでは、まず看護師として働くエバさんをご紹介しました。できる範囲で仕事を継続することで、社会的な活動を続けることができ、本人にとっても良いことですし、また同じ職場にいる若い人たちも経験者からのアドバイスをもらえるのでWin-Winの関係を築けるのではないかと思います。雇用する側にはシニア(経験者)の権利を尊重し、働く人に合わせたフレキシブルなスケジュールを組むなど、戦略を練って上手く活用することが求められているようです。また、二人目のビョーンさんのように、組織や会社に所属せずに、自分で活動の輪を広げていくことも、活躍するための一つの方法のように思います。
今回のレポートでは、文化的な活動によって認知症を予防することができるという、スウェーデンのヨーテボリ大学の教授による研究結果をご紹介したいと思います。
文化的な活動は認知症の予防になるか?という問いに対する答えが明らかになりつつあります。様々な病気を予防する可能性も指摘されているようです。現在では例えば、喫煙は健康によくなく、運動をし、規則正しい生活をするのが良い、といったことが知られています。しかし、文化的な活動が本当に認知症や病気の予防になるかどうかははっきりしていませんでした。ヨーテボリ大学のスコーグ教授によると、1970年代はそういった予防について述べるにしても、科学的な裏付けがない、あいまいな感じだったそうです。そのころは喫煙が害であるということが科学的に証明され始め、高血圧が良くないということを議論し始めた程度だったそうです。そして、当時は健康についてのアドバイスをしてもあまり一般の人には聞いてもらえないような時代だったそうです。その後健康に関する啓蒙活動を続け、一般の人々に健康に関する関心を高めてもらえるようになったそうです。それでもこういった活動には長い時間を要するようです。例えばスウェーデンでは1990年代まで病院の建物内やレストランで煙草を吸うことができました。習慣や規則を変えるために何十年もかかりますが、たゆまぬ努力が大事であると教授は言っています。
スコーグ教授 写真出典:Wikimedia Commons
話が少しそれましたが、それでは文化的な活動の影響はどうなのでしょうか?最近教授のグループが800人の女性を44年間追跡調査した結果をまとめ、論文を発表しました。論文によると、中年期における運動、知的な活動は、高齢者になったときに認知症に関連する病気になるリスクを約30%下げる効果があるということです。これはその人の教育のレベルや、社会的な地位に関係なく当てはまるそうです。知的活動が、認知症の予防になるということに対して、眉唾物だと感じる人もいるかもしれませんが、「知的な活動」の中でも読書やコーラス隊で歌う、楽器を演奏する、音楽を聴くといったことが効果があるそうです。これまでにも音楽セラピーのようなものもありましたが、おそらくあまり真剣にはとらえられてなかったかもしれません。
論文雑誌Neurologyに発表された論文
現在では、脳の活動の度合いを測定する手法がいくつか確立されていますが、音楽が一番脳を活性化させるそうです。こういった結果から現在では脳梗塞など、脳に関する病気のリハビリに音楽セラピーの適用が試みられています。 文化的な活動によって脳内のシナプスの数が増えるそうです。脳をトレーニングすることが可能であることも、ロンドンのタクシー運転手の脳に関する有名な研究(MRIで脳を撮影すると方向に関する脳の部位が発達しているなどの結果が得られた)によって知られています。脳をトレーニングすることによって「脳の予備力」のキャパシティが大きくなり、発症を遅くすることができると信じられています。このようなことから運動だけではなく、文化的な活動や脳のトレーニングも認知症を予防する上で重要になってくるようです。
脳の健康のために社会(国)がもっと文化的な活動に投資する必要があると教授は言っています。スウェーデンにおける認知症に関する社会的費用は約400~500億クローナ(4800~6000億円)です。日本での費用に関する資料は手元にありませんが、日本の人口はスウェーデンの10倍以上ですので、費用もそれに応じたものになると推察されます。教授は文化的な活動に投資することによって、例えば認知症になるリスクを10%下げることができれば、40~50億クローナ(480~600億円)を節約することができると言っています。教授の研究結果によれば、30%下げることができるそうです。この場合、スウェーデンにおける文化的な活動に関する予算160億クローナ(1920億円)程度に匹敵する額を節約できることになります。
今回のレポートでは、文化的な活動が認知症の予防に役に立つという最近の研究結果(スウェーデン人女性を対象にした研究)をご紹介しました。認知症予防のためにも教授が奨めているように、コンサートにいって、歌を歌って、読書をしてはいかがでしょうか?
今回のレポートでは、シニアのアルコール摂取に関するスウェーデン国内での最近の調査結果をお伝えしたいと思います。
アルコールはシニアに限らず、どの世代においても病気や事故のもとになりえます。シニア世代のアルコール摂取量は総じて若い世代よりも少ないそうですが、アルコールに関連した病気になったり、怪我をしたりするリスクは、シニア世代の方が高いそうです。研究者によると、少量のアルコールでも病気と事故のリスクは高いそうです。最近スウェーデン国内の大学、病院、研究機関が共同で、国内・海外のデータをまとめました。スウェーデン医師会(Svenska Läkaresällskapet)、ヨーテボリ大学、スウェーデン看護師協会(Svensk sjuksköterskeförening)、未来への責任基金(Stiftelsen Ansvar för Framtiden)、国際禁酒協会スウェーデン支部(IOGT-NTO)の共同研究によるもので、高齢者のアルコール摂取に関するレポートが作成されました。
レポート「アルコールと高齢者」(表紙)
近年、シニア世代のアルコールが原因とされる病気や事故が増えてきています。シニアの数そのものが急激に増加しており、そのことも原因の一つと考えられています。調査によると、75歳以上の女性で健康に関わるようなアルコールの摂取の仕方をしている人の割合は1977年にはわずか1%だったのが、2006年には10%だったそうです。また、男性に関しては1977年では19%だったのが2006年には27%に増加したそうです。 シニア世代が、アルコールによって健康を害しやすいのは筋肉の量が年齢とともに減少することが関係しているようです。筋肉には水分が多く含まれており、アルコールが水に溶けることを考えれば、筋肉が減って水分が減ると、アルコールが水に溶けずに「散らばっていく」ような形になり、血中のアルコール濃度の増加につながると考えられています。若者に比べて、シニアの場合、血中アルコール濃度が低くても交通事故を起こす確率が高いそうです。 また、このほかに前述の研究機関が書いたレポートでは、「少量のアルコールは体に良い」とするよく聞く説に強い疑問を投げかけています。「体に良い」、「体に良くない」とする結論、両方同じ程度に研究結果があるそうですが、「体に良い」とする研究結果(結論)は誇張されすぎているようです。レポートの著者の一人は「適切なアルコール量というものは存在しない。これは新しい結論ではないが、一般に周知するのが難しい」と言っています。
昔ながらのおばあちゃん像は今ではあまり当てはまらないようです。現代ではシニア女性はもっとお酒を飲むようになったようです。以前は高齢女性はそれほどお酒を飲みませんでしたが、今はそうではないようです。このことに関して、アルコールの専門家でカロリンスカ医科大学のアンドレアスソン教授は「医療現場では患者と医者のコミュニケーションが取れなくなってきているのではと言われてますが、多くのシニアがアルコールに関して医者とコミュニケーションをとる必要がある」と言っています。
アンドレアスソン教授 (大学のHPより)
定年退職後、お酒の量が増えるのは異常なことではないそうです。仕事のストレスから解放され、生活が変わり、自由を謳歌できる。楽しくなり、自然とワインの量も増える、ということのようです(日本では仕事のストレスでお酒の量が増えるというパターンもあるかもしれませんが、スウェーデンではストレスがあるとお酒を飲む気分になれないという人が多いようです)。また、シニア世代になると、自由な時間も増え、旅行する機会も増えます。旅行中は外食することになり、レストランではお酒が提供されます。こういったことからもアルコール摂取量が増える傾向にあるようです。 シニア世代がアルコールを沢山摂取することは多くの調査でわかっています。シニア世代になると経済的な余裕も出てきて、社会の新しい飲酒習慣(パーティーなどでよく飲むようになった)も手伝って、アルコールの消費量を押し上げているようです。 アンドレアスソン教授はシニアのアルコール問題は急激に大きくなってきていると言っています。「シニア世代になると病気になることも増え、薬を飲むようになり、体も弱くデリケートになる。そういった体にはアルコールの影響が大きくなる。今から対策を練っていないと将来大変なことになる。アラームが鳴っている。行動をとるときだ。人口統計を見ても、今後、シニア世代が増えるのは明らか。現在でも、もう充分多くのアルコールに関するケアが必要なシニアがいるのに。将来対処できなくなってしまう」とも言っています。 アンドレアスソン教授は飲酒に関するシニアのための新しいガイドラインが必要だと考えています。現在の基準では男性の場合1日に2スタンダードグラスとされています(330mlのビールが1スタンダードグラス(12gのアルコール)に相当します)。女性の場合は1日に1.3スタンダードグラス(一日15g)とされています。アンドレアスソン教授はこれはシニアには多すぎると言っています。シニアには平均一日に1スタンダードグラス(12g)あるいは一回の機会に最大2スタンダードグラス(24g)が適当であると提案しています。そして、社会庁(保健福祉庁)が音頭をとって、国レベルで飲酒に関するガイドラインを作るべきだと言っています。
1スタンダードグラスの例(左から低アルコールビール、ビール、赤ワイン、ポートワイン、ウイスキー) 1cl=10ml
今回のレポートでは、シニアのアルコールの摂取に関する調査研究結果についてお伝えしました。「少量のお酒は体に良い」とする説は否定される方向に行っているようで、「アルコールを摂取してもいいことは何もない」という医療関係者も多いようです。いずれにしても、適度にアルコールをたしなむのが良いようです。シニア世代は特にそのことを意識したほうがよいという調査結果のようです。
今回のレポートでは、スウェーデンで様々な議論が行われている年金制度とシニアのワーキングスタイルとの関係についてレポートしたいと思います。
スウェーデン国内の50万人を対象に経済状況を調査(2000人以上へのインタビューを含む)した結果、多くの70歳以上の人が仕事を続けていることがわかりました。70歳以上の人の25%が、77歳以上の人の10%が何らかの形で働いています。多くの人がボランティア的に働いており、健康であるために積極的に社会活動に参加し、刺激をもらうことが主な理由のようです。 スウェーデンでは現在のところ年金支給開始年齢は61歳ですが、実際は仕事と並行して年金生活に入る人が多いようです。仕事による収入と年金による収入を分けて統計をとるようになってから、どのように年金生活に入っていくのかが明らかになってきました。定年になって急に年金生活に入るのではなく、10年ぐらいかけて徐々に年金の割合を増やしていく人が多いようです。 70歳近くまで働き続ける理由としては、主に2つあり、前述のように刺激を求めるということと、年金生活者になったと思いたくないというメンタル的なものがあるようです。定年後も経済的な理由で働くことを余儀なくされている人の割合は20%程度で、30%の人が経済的に問題がなくても、より高い年金をもらうために働き続けていることがわかりました。また、男女差が大きいことも明らかになりました。女性の3割は生活のために働かないといけないと言っているのに対して、男性の場合は1割程度にとどまっているようです。
スウェーデンにおけるシニアの(定年退職後の)就業率はヨーロッパでもっとも高くなっていますが、スウェーデンと同じ北欧に属するアイスランドの場合はどうでしょうか? アイスランド人は、年金支給額について、現役時代の給料の65–70%は確保したいと思っているようです。スウェーデン人の場合はこれよりも低いようです。これは統計に基づいたものではなく、大体の感覚によるものですが、このような傾向があるようです。アイスランドの場合定年退職は67歳で、就業率も(シニアだけではなく全体で)高いようです。 「概して島国の人はより長く、沢山働く傾向にある。経済協力開発機構(OECD)諸国の中でアイスランドの人は最も長く、たくさん働く。就業率は高く、多くの人が、複数の仕事を持っている」と、かつてOECDで年金に関する調査報告書を作成し、現在スウェーデン政府の社会省で審議官を務める、ルンドベリィ氏は言っています。
ルンドベリィ氏 写真:LinkedIn
アイスランドでは60–64歳の人の約80%が、65–69歳の50%以上が働いています。スウェーデンの場合、60–64歳の人の場合約70%で65–69歳の場合となると20%まで下がります。こうした割合は年金受給額にもより、スウェーデンの場合アイスランドに比べ年金受給額が多いので、早めに年金生活に入るのは不思議ではないと分析されています。アイスランドの場合、給料と年金支給額の差がスウェーデンほど大きくありません。ただし、アイスランドはスウェーデンに比べて住居費、食費などの生活費が高いようです(一人暮らしか家族と暮らしているか、どのように生活しているかにもよりますが)。 「スウェーデンは男女平等だけではなく、ほかに多くのことをアイスランドから学ぶことができる」と前述のルンドベリィ氏は言っています。例えば、アイスランドでは2018年1月から男女間の賃金格差は違法となっています。また、2020年には完全に格差がなくなると予想されています。
「スウェーデンは高齢者と仕事に関する意識・概念を変えないといけない」と前首相のフレドリック・ラインフェルト氏はジャーナリスト、政財界の人などが出席した朝食会で述べました。 ラインフェルト氏曰く、「寿命は長くなり、健康寿命も長くなった。年金受給者の数は増えると予想されており、これまでの仕事量では高い年金は望めない。このままでは年金制度は徐々に崩壊していく。」 ラインフェルト氏はこれに対処するためには仕事と生活スタイルに対する態度・姿勢を変える必要があり、それに加え、高齢者とは何かという定義の変更、高齢者がどのように貢献できるかを考えていく必要があると思っているようです。また、個人の能力を評価する方法を変える必要があり、どのように雇用するかを考える必要もあると言っています。
フレドリック・ラインフェルト前首相 写真:Wikimedia Commons ラインフェルト氏は首相在職当時の2012年に75歳まで働く必要があると言って物議を醸しました。これは、長く働きたい人、働ける人を応援するため、また、長く働いてもらうための意識改革を求めたもの、徐々に考えを変えてもらうためのメッセージだった、と言っています。
今回のレポートでは、シニアの働き方と年金についてお伝えしました。スウェーデンでは年金制度を維持するための最善策を模索しているところです。また、それに伴い意識を改革していく必要があり、人々の意識は徐々に変わりつつあるようです。
今回のレポートでは、前回のレポートに引き続き、年金制度とシニアのワーキングスタイルとの関係についてレポートしたいと思います。
雇用主は69歳以下の人に退職を強要するべきではないとする法案に関する審議がなされています。この件については国会の作業部会で以前合意しており、政府はこの件について国会で審議する手続きに入りました。この法案が成立すれば、現在67歳までの人が対象の労働者保護法が69歳までに引き上げられます。まず、2020年に67歳から68歳に引き上げ、その後3年かけて68歳から69歳に引き上げる予定になっています。 労働大臣のイルバ・ヨハンソン氏は、「職場に残る権利を持つ人の年齢を徐々に上げていく必要がある。また、同時にできるだけ長く働けるように、労働環境の改善も重要になってくる」と言っています。
Wikimedia Commons
55歳以上の大部分の人が65歳までに年金生活に入ることを考えている(スウェーデンでは現在のところ早くて61歳から年金が支給される)。55–65歳の62%の人が、65歳までに年金生活に入ることを考えています。このことは残りの約40%の人が経済的な理由あるいは定年退職後の生活を充実させるために働き続けることを意味しています。男性よりも女性の方が経済的な理由を上げる傾向にあるようです。逆に、体力的に働けないという人もいるようです。25%の人が65歳以降に働くことは体力的に無理だと答えています。また、ほぼ同数の人が精神的にもきつく、仕事のテンポが速すぎると答えています。 「長く働くということは支給される年金額が高くなるということ。また、うまくやっていくためには、新たな労働市場が必要で、長く働けるように生涯学習を通した教育の可能性を探るべき」と銀行のエコノミストは言っています。
エコノミストのエルクエス氏 写真:本人のtwitterページより
前述のように調査によると65歳以降も働きたいと考えている人の割合は定年が近づくにつれて増えてくるようです。前述のエコノミストは「楽しいので働き続けたいという人が多い。必要とされていると感じることができる環境にいることが大事」と言っています。雇用者の方も長く働いてもらうことを積極的に考えているようです。労働者の7割近くの人が「雇用者は65歳以上の人が働くことをポジティブにとらえていると感じている」と答えています。長く働いて、年金受給額を上げたいと思っている人と、長く働いてもらって構わないという雇用者側の考えがうまくマッチしていて良好な関係が生まれているようです。
年金支給開始年齢は、現在は61歳ですが、2020年からは62歳に、2023年には63歳に2026年以降は64歳と、段階的に引き上げられる予定になっています。 保証年金の支給開始年齢も段階的に引き上げられています。今のところ、生年別に分かれており、以下のようになっています。 1958–1960生まれ: 66歳 1961–1963生まれ: 67歳 1964–1969生まれ: 68歳 1970–1982生まれ: 69歳 1983–1996生まれ: 70歳 1997–2012生まれ: 71歳 2013以降生まれ: 72歳 これらは年金制度を維持するための措置ですが、年金支給開始年齢を引き上げるのとは別の解決策を見つけるべきだと言う人もいます(年金の月々の支払額を上げる、仕事を始める年齢を早くするといった大胆な案もあるようです)。
今回のレポートでは、前回のレポートに引き続きシニアの働き方と年金についてお伝えしました。労働者の保護、労働環境づくり、個人の意識改革、大胆な年金支給制度の改革など様々な角度から年金制度を維持するための方策、長く働いてもらうための環境づくりが行われているように思います。
今回のレポートより、スウェーデン在住の松下幸代が担当します。
看護師として日々接するお年寄り、その家族、近所のお年寄りとの交流を通した生のレポートなどをお届けします。
この時期、0度を下回るのが例年ですが、ここ最近(2020年1月)の平均最高気温は5度前後。
多くの人が、本当の冬を迎えぬままに春が来てしまうのではと、不安と戸惑いの混ざった思いをこぼしています。
そのような現在、よく見かけるのは、愛犬と散歩を楽しむお年寄りたちです。ゆったりと犬のペースに合わせて歩く人、犬と一緒に早いテンポで歩みを進める人、まるでカップルのように、買い物時も通院時も犬と一緒という人など様々です。

今回は、ここ5年以内にスウェーデンで調査された「犬とお年寄りの関係」についての研究を紹介したいと思います。
Swall博士らは末期の認知症を患うお年寄りに対する介助犬の効果を、介護者の視点から調査を行いました。
介助犬とは、認知症患者が末期に患う、重度の身体的、精神的な苦痛を和らげるよう訓練された犬です。
介護者は患者と介護犬が交流する際に、犬をガイドする役割をします。博士らは、介護者へのインタビューを行い、その結果を質的に分析しました。
すると、介助犬とのふれあいが認知症患者の体を温め、認知症患者の発言を促している傾向が見られました。
もし、介助犬がいなければ、認知症患者は口を開くこともなかったということです。
介助犬と患者の身体的な接触が認知症患者の痛みと不安を軽減し、また介助犬がいることで、患者の幸福感が増したのです。
筆者が興味深く感じたことは、介護犬の患者に対する対応が、患者が困難な状況を前向きに考えることを促したということです。
介助犬は認知症患者の存在を認め、現在に集中することを促しました。博士らは介護犬と認知症患者の交流は、認知症患者に良い影響を与えると結論づけました。
Lundqvist氏らは、介助犬が障がい者の生活の質、幸福度、日常の活動レベルにどのような影響を与えるかを調査しました。
障がい者である研究参加者全員が、以前より犬と生活していました。研究参加者の平均年齢は44歳で、最高齢の参加者は68歳でした。
研究で用いられたのは身体補助の訓練を受けた犬、糖尿病患者に警告をする訓練を受けた犬、癲癇を警告するよう訓練された犬、聴覚障がい者に対して、
サポートするよう訓練された犬でした。
研究参加者は一般の集団と比較して、生活の質が低いことが分かりました。
参加者は訓練を受けた犬とのトレーニングを受け、3ヶ月後に生活の質、幸福感、身体活動のレベルの再評価が行われました。
この3つの点において、特筆した改善は見られませんでしたが、参加者の大多数が再評価時に、
家の外で過ごす時間と社会活動に費やす時間が増えたと報告しました。研究者らは介助犬が障がい者の緊張を緩和し、自立を高め、
社会的孤立のリスクを減らしていると結論づけています。
Mwenya氏らは、犬は飼い主の身体活動への支援と動機付けを提供することにより、飼い主の心血管疾患のリスクを軽減するのに有益と仮定し、
犬を飼っていることと心血管疾患、および死亡との関連を最大12年間の全国ベースのデータを元に調査しました。
結果、単身および複数世帯で、犬を飼っていることが、死亡リスク、心血管疾患による死亡リスクの低下に関連していることが分かりました。
その一方で、単身世帯に限った場合、犬を飼っている人に心血管疾患患者が多いことが分かりました。
猟犬を飼っていることは心血管疾患のリスクが最も低いことと関連していました。研究者らは犬を飼っていることは心血管疾患のリスクを低下させ、
世帯の大きさに関わらず死亡率の低下につながると結論づけています。
今回ご紹介した研究は、お年寄りを含めた人々の生活の質の向上に犬の存在が良い影響を与えていることを示しています。
スウェーデンでは犬が飼い主の監督なしに過ごすことができるのは最大5時間と法律で定められ、
日中は最低限6時間ごとの散歩が義務づけられています。家族が日中、家にいないなどの理由で、就労世代の家庭が犬を飼うことは難しいと聞きます。
この点で、退職後のお年寄りが犬と散歩する光景をよく見かけるのは、自然なことのように思えます。犬に限らず動物との暮らしは飼主としての責任が問われます。
お年寄りが動物とともに健康と生活の質を保つことができることは素晴らしいことですね。
参考
Lundqvist, M., Levin, L.Å., Roback, K., & Alwin, J. (2018). The impact of service and
hearing dogs on health-related quality of life and activity level: a Swedish longitudinal
intervention study. BMC Health Services research, 18(1), 497. doi: 10.1186/s12913-018-3014-0.
Mubanga, M., Byberg, L., Nowak, C., Egenvall, A., Magnusson, P. K., Ingelsson, E., & Fall,
T. (2017). Dog ownership and the risk of cardiovascular disease and death - a nationwide
cohort study. Scientific Reports, 7(1), 15821. doi: 10.1038/s41598-017-16118-6.
Swall, A., Craftman, Å., Grundberg, Å., Wiklund, E., Väliaho, N., & Hagelin, C. L. (2019).
Dog handlers' experiences of therapy dogs' impact on life near death for persons with
dementia. International journal of palliative nursing, 25(2), 65-71. doi:
10.12968/ijpn.2019.25.2.65.
Jordbruksverket. (2020). Så sköter du din hund. Hämtad 29 januari, 2020, från
https://www.jordbruksverket.se/amnesomraden/djur/olikaslagsdjur/hundarochkatter/skotselav
hundochkatt/saskoterdudinhund.4.207049b811dd8a513dc80001977.html
スウェーデン在住の松下です。看護師として忙しい日々を送る中、私は心の健康、体力維持のため、Måbraというヘルスセンターに通っています。Måbraはモーブラと発音し、いい気分という意味のスウェーデン語です。このヘルスセンターでは13歳以上なら誰でも参加できるアクティビティが揃っています。会員の約半数が50歳台から年金生活者ですが、トレーニングウエアーも若い世代と変わりないクールなデザインのもので、個人に合ったリハビリテーションやトレーニングが行われています。
MåBraの事業コンセプトは、病気の人と健康な人、両方の状況にとっても、スウェーデンで最高な環境のヘルスセンターを開発すること。利用者の年齢や身体能力に関係なく、健康改善するための専門的な治療と個人に合った指導が提供されています。Måbra では、医療的なアドバイスをするケア部門と、トレーニング部門に分かれており、利用者は両方のサービスを必要に応じ、使い分けています。
ケアの部門では、ストックホルム県の医療システムにのっとり、プライマリーケアやリハビリを実施しています。 例えば、理学療法士、カイロプラクター、栄養士、作業療法士のケアを受けることができます。具体的には、 減量、リハビリテーション、変形性関節症患者のための講習、メディヨガや、アクティブなライフスタイルを目指したグループ講習が開催されています。 ストックホルム県からの補助があるため、これらのケアにかかる料金は1回200クローナで、約2250円(2020年2月現在)。年間 1150クローナを支払った場合、それ以降のケアはその年内に限り無料になります。
トレーニング部門では、有酸素運動、筋力強化のための設備を備えたジム、リハビリテーションや、負荷の少ない筋力トレーニングのためのマシーン、バイクエクササイズルーム、ダンスやヨガ、乳児とお母さんのためのグループトレーニングルーム、温水プールがあります。パーソナルトレーナーが常駐しており個人の要望に応じたアドバイスが受けられます。料金体系は、契約期間やどのサービスを受けられるかで様々ですが、一般料金の1ヶ月500クローナに対し、65歳以上は400クローナ、学生と未成年者は350クローナです。別料金でマッサージのサービスも提供されています。

Måbra Instagram(https://www.instagram.com/mabrahalsa/)より
この施設では、体に良い食べ物をコンセプトにしたカフェ、Good Foodも併設されており、年齢層に隔てない、憩いの施設となっています。Good Foodでは持続可能な健康を目指して、食べる人が幸せに感じられる、バランスのとれたメニューが揃っています。Good Foodでは色々なアレルギーに対応しており、糖尿病や乳糖不耐症に対応したメニューもあります。


Good Food Instagram (https://www.instagram.com/goodfoodnordic/)より
それでは、ここで、スウェーデンで近年行われた、理学療法士主導のトレーニングに関する2つの研究を紹介したいと思います。
Ho研究者らは、変形性膝関節症の患者が、最初に医療機関を受診する際、理学療法士か、医師のどちらを選ぶかで、長期的な治療過程にどう影響するか、患者の痛みと身体機能に関連した生活の質に違いがあるかを調べました。12ヶ月後の評価の結果、両ケースの患者で痛みと生活の質に改善が見られ、理学療法士と医師の診断が初期の診断者として、同等に評価されると結論づけられました。
Jönsson研究者らは、変形性関節症の患者にライフスタイルや身体活動の関節症への影響に関する理論的な講習、また理学療法士主導のトレーニングが患者の痛み、生活の質、自己効力感へどのように影響するか研究しました。変形性関節症の患者は一般的に、身体活動が少なく、座りがちな生活をしている人が多いと言われます。この研究では、講習とトレーニングを受けるグループと、それらを受けず、ライフスタイルを変えぬよう指示されたグループでの、比較が行われました。3ヶ月のフォローアップ時では、両グループの身体活動に費やされた時間、座っている時間に差が見られませんでした。しかし、痛み、生活の質、自己効力感の点で、講習とトレーニングを受けたグループに、より高い効果が見られ、痛みの緩和と生活の質は12ヶ月後もその効果が持続することが分かりました。
薬を用いない方法で、健康を保ち、体の不調を治療できるのは個人にとっても環境の観点からも良いのではないでしょうか。この二つの研究は、ある程度、長期的に継続することが大切だということを示しています。現在、自粛傾向にある様々な活動が、一日も早く安心して行える日常に戻ることを願ってやみません。
参考
Good Food HP Retrived from http://goodfoodnordic.se/
Ho, C-M., Thorstensson, C-A., & Nordeman, L. (2019). Physiotherapist as primary assessor for patients with suspected knee osteoarthritis in primary care-a randomised controlled pragmatic study. BMC musculoskeletal Disorders, 20(1), 329. doi: 10.1186/s12891-019-2690-1.
Jönsson, T., Ekvall Hansson, E., Thorstnsson, C-A., Eek, F., Bergman, P., & Dahlberg, L-E. (2018). The effect of education and supervised exercise on physical activity, pain, quality of life and self-efficacy - an intervention study with a reference group. BMC musculoskeletal Disorders,19(1), 198. doi: 10.1186/s12891-018-2098-3.
Måbra hälsa HP Retrieved from http://mabrahalsa.se/mabrahalsa-morby
Region Stockholm. (u.å.). 1177 Vårdguiden, FAQ - Patientavgifter i Stockholms län. Retrieved from https://www.1177.se/Stockholm/sa-fungerar-varden/kostnader-och-ersattningar/faq---patientavgifter-i-stockholms-lan/